5 書くときは緩急をつけ、わかりやすく書く
おまけとして、書くときのアドバイスのようなものを記しておきます。冒頭で基礎的なことは述べないと記したので、一歩進んで役立ちそうなことを書いておきます。
長い文と短い文では、読むときのイメージが変わります。長い文はゆっくりとした印象を、短い文はスピード感のある印象を読者に与えることでしょう。
また、比喩表現は、ターゲットとなる読者が理解できるものにしましょう。例えば、あなたが高校生に向けて作品を書くとき、土地の広さを比喩するとします。このとき、数値で示すよりは、「東京ドーム2個分の土地面積」などと言うほうがわかりやすいでしょう。この比喩がもっとマイナーなものであったり、世代が異なるものであったりすると、うまく伝わりません。ほかにも学術用語や専門用語を用いる際であっても、ターゲットとなる読み手の知的水準に合わせて書きましょう。簡単に用語の説明をしておくと、読者はすんなりと読めます。
このとき、定義の順序を間違えてはいけません。特に、プログラム経験者は、事前に用語を定義してから、用語を用いた文章を書こうとしてしまいがちだと思います。筆者もそうでした。しかし、そうではありません。逆の順序です。また、小説は論文ではありませんから、定義ではなく簡単な説明でよいのです。例えば、「机の上にはリモコンが置かれている。このリモコンは、テレビのリモコンである」となるわけです。これが「そのリモコンは、テレビのリモコンである。机の上にはテレビリモコンが置かれている」だと、分かりづらくなります。「○○というものがある。○○とは……」と続くのが普通です。