3 プロットは主人公の目的に向けた小目標の集まり
筆者は、大目標となるメッセージに従いながら、重要なフラグメント(小目標)を達成するための物語と、キャラクターの感情や世界観などを伝えるための物語との2つを複雑に組み合わせて、プロットを構築します。これらの手法についてお話ししましょう。
さて、プロットを構築する際に、まずは主人公の目的をひとつ決めます。さきほど決めた目的とは異なります。あくまで主人公の目的です。
そして、この目的の達成にはどのような状況になるかを考えます。これがプロット内の最終到達点、すなわち、「結」の部分です。
主人公は、最終到達点に到るまでに、重要なフラグメント(小目標)を回収していく必要があります。この小目標がプロット内のひとつのブロックになります。長編なら、ここからさらに目標達成のための目標を設定して小分けにしても構いません。
目標の中には挫折を含んでもよいでしょう。何でもかんでも、とんとん拍子に目標達成していく物語は少々不自然だからです。
こうすることで、ひとつのブロックを章単位として区分けしやすくなります。
こうしたフラグメント方式とは別に、もうひとつの手法があります。キャラクターの感情や世界観を描写する手法です。2つの領域は、二項対立ではなく、互いに重なり合う部分があります。筆者は、2つの手法を組み合わせて使うことがほとんどです。
感情や世界観の描写から、伝えたいメッセージを浮かび上がらせます。言い換えれば、メッセージを伝えるために、感情や世界観の描写をします。あるいは、キャラクターの生活の厚みを増やすための描写をします。本筋と全く関係なくても構いませんが、骨組みとしてのプロットを組んでからでも遅くはありません。
本筋と関係を持たせるなら、感情の動きや人物相関の動きなどを表現することで、小さなフラグメントを達成することができます。このように、フラグメントは多様な側面で位置づけられます。
基本的には、本筋をプロットとして組んでから、肉付けを行うことをおすすめします。
同時並行で、キャラクターを決めます。