2 小説作品が伝える目的を決める
次に、小説作品が伝えるメッセージを考えましょう。メッセージなどというものは存在しないと考えているかたは、無視して次に進んで下さい。筆者も、ときにはメッセージを無視して書くことがありますし、いくらメッセージを伝えようとしても、誤読されればそれまでのためです。したがって、あくまで作品を構成する上での有効な手段のひとつとして考えて下さい。
ここでいうメッセージは、小説を通じて伝えたい教義のことです。これは、小説作品を書く上での大目標になります。あなたの信念をここに置いてもいいですし、大衆(読者)の考えをここにあてはめてもよいでしょう。無いなら無いで構いませんが、設定するとキャラクターの行動に明確な理由付け・役割付けができます。また、世界観の設定にも役立つでしょう。
あなたの目的が自由に作品を書くことなら、メッセージが目的になることもあります。
目的はひとつだけに絞ります。ひとつに絞らないと後で混乱します。
目標は、目的達成のための具体的な到達基準です。目標はいくつあっても構いませんが、伝えたいメッセージ(大目標)はなるべく絞りましょう。
とりわけ長編の場合は、複数メッセージを設定するなどしてもいいですが、基準となるメッセージがひとつあると、物語の方向性や骨組みが固まると考えられます。例えば、メッセージが「罪を犯す者は必ず罰せられる」なら、「罪を犯さない者が幸福になり、罪を犯す者が不幸に陥る」物語をイメージできます。今回は単純化したメッセージで例示しましたが、もうすこし長い、複雑なメッセージを設定しても構いません。
複数のメッセージ同士が矛盾していても構いませんが、あまりおすすめはしません。もちろん、誤読されたり、変わった読みかたをされたりすれば、それまでです。しかし、作中における論旨の一貫性があるほど、あなた(あるいは大衆)の理念が確固たるものとして浮かび上がってくることでしょう。ここで共感が起これば、読者は引き込まれていきます。共感できなければ、普通、切られます。論文ではありませんから、共感できないものをわざわざ読むのは、数少ない本好きや研究者くらいのものでしょう。
メッセージ伝達の議論はさておき、あなたの中で決めたメッセージは、純粋なものですから、当然、あなたなら理解できます。したがって、メッセージを設定することで、あなたの伝えたいことは、まとまります。作品の全体的な方向性は、あなたの設定したメッセージに従って動かすことができます。
メッセージが決定したら、プロットを書く手順に移りましょう。