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2:異能(ギフト)

本来は一話ずつの投稿ですが、少し書き溜めできたので今回はもう一話アップします。

次話は予定通り来週の火曜日更新予定です。

 

「それでは地上に降りる前に異能ギフトについて話をしましょう。

 まず地球からこの世界に転移する事で授けられる能力、異能ギフトがあります。」


 現在文字化けしている異能ギフトの事だな。


「文字が一部おかしいので、はっきり確認ができませんがヒビキさんには既に二つの異能ギフトがあるようですね。これはとても稀な事です。幸運ですね。」


 本当に極稀なケースのようで、説明するフレア様が少し興奮している様に感じられた。


「その他に、この管理世界を通った転移者にはそこで出会った神々からそれぞれ一つずつ異能ギフトが授けられます。」


 神様からも異能ギフトが貰えるのか。


「ヒビキさんは、今回主神様と見習いではありますが女神である私フレアから合計二つの異能ギフトを受け取ることができます。」


 なんと!二つも貰えるのか!


 異能ギフトと言うものがまだどんなものか解らないが、魔法とか超能力とか男子なら一度や二度は憧れた事があるはずだ。

 そんな超魔力を想像しながら俺は内心ワクワクしていた。


異能ギフトの能力について、ヒビキさんには何かご希望はございませんか?」


「希望ですか?」


「はい。異能ギフトとは本来神々より分け与えられた力の事です。

 その力は与えられた者の希望に答えるように、また与えられた者の魔力や性質によって独自に変質し、望んだ能力......またはそれに近い能力として形を留めるのです。」


 ちなみに転移によって自動的に授けられる異能ギフトは完全にランダムで、与えられる者の希望で形を形成する事はないらしい。何が当たるかは『運』次第である。


「ですから、受け取る前にどのような能力を望まれるのかはっきりとイメージを持たれたほうが良いのです。」


 なるほど。神様から与えられる力を自分自身に取り込む事で、その力が自分の望む能力になろうと独自に変化するのか。その時に自分の魔力や性質が影響すると。


 必ずしも希望通りの形になる保証はないが、より近くなるように自分でイメージを固めることが大切なんだな。


 さて。どんな能力を望もうか......。


 ステータスの技能スキルには、弓術や魔力操作があったな。

 弓術は、地球でアーチェリーを続けていた影響だろう。道具さえあればいくらでも鍛錬を積み技術を上げていくことは可能だろう。

 魔力操作は、きっと魔法を使う時に必要になる能力だろう。という事は、魔法を覚える可能性があるという事だ。

 何でも努力する事は嫌いじゃない。きっと魔法を覚える手段はあるだろう。方法さえあれば使えるように努力すればいいのだ。


「ひとつ質問したいのですが、俺が地上に降りた後で魔法を習得する事は可能ですか?」


「はい。色々な手段がありますが、魔法は後からでも自分の努力で習得する事が可能です。

 まずは、魔導書を手に入れる方法。これは超上級や伝説級の魔導書になると希少で入手も難しいですが、初級から上級の魔導書は比較的手に入れやすいでしょう。

 次に、迷宮ダンジョンの宝箱から稀に排出される魔法玉。これは、魔法玉を入手する事でその魔法玉に込められた魔法限定で習得する事が出来ます。

 後は、レベルアップ時に覚える事の出来る魔法も存在します。これは、本人の素質による要素が大きいので誰でも習得できる方法ではありませんが。

 最後に、SP(スキルポイント)と交換で技能(スキル)を獲得する事が出来ます。その中には魔法もあります。」


 戦闘技術も魔法も自分で習得できる可能性があるのなら、異能ギフトは全く別の物にしよう。


 異世界で一人生きていく為に、俺に必要なもの......。


「......では。まずは仲間を作る能力が欲しいです。」


 うん。これだ。


「恥ずかしながら、俺は極度の人見知りです。

 初対面の人と会話をする事が非常に難しく、無意識に睨みつけたり素っ気ない態度と誤解され人を怒らせてしまう事もあります。人とうまくコミュニケーションが取れません。

 地球には、時間を掛けて心を許し合える友も出来ました。

 しかし、この世界には誰一人頼る者もおりません。俺に"心を許せる友"を作る事の出来る能力をください。」


 俺の赤面物の『コミュ障だからお友達ください』宣言に、アラミス様はにっこりと頷いた。


 そして、もう一つの能力はこれだろう。


「もう一つの能力は、俺にこの世界を案内してくれる能力をください。

 俺はこの世界の国々をよく知りません。きっと色々な法律や常識や習慣にも戸惑うでしょう。

 なにより、ただでさえ極度の人見知りのせいで人的トラブルは避けられないでしょう。

 ですから知識不足でのトラブルを避けるために、俺が行く先々で旅のガイドや道案内、俺の知識の足りない部分を丁寧に補ってくれるナビゲーション能力をください。」


 俺の言葉にフレア様もにっこりと頷いた。


「わかりました。それでは二つの異能ギフトをあなたに授けましょう。

 その力があなたの中でどのように変質し、どんな能力として形を留めるのか......。

 あなたの望む能力に近い形になるように祈っています。」


 そうして二人の神々から手のひらサイズの丸い光が出ると、その光はスウっと俺の心臓に吸い込まれるように入っていった。

 すると、なんとも温かく溢れるように力強い何かが身体の中を満たして行った。


「地上に降りる頃にはその力も馴染んであなたの異能ギフトとして形を留めているでしょう。

 それではそろそろあなたを地上に送ります。あなたの行く先に幸せがありますように......。」


 祈るようなフレア様の言葉が終わる頃、眩い光に包まれ地上に送られた。

 その時、結局一言も喋らなかった主神様が、小さく手を振ってくれたのが見えた。





 眩い光が治まると、俺は荒野の真ん中に居た。


 土地が痩せ雨が少ないのか植物は少なく、背の低い木や疎らに生える草、石や大きな岩がゴロゴロしていた。


 所々人よりも大きな岩がある為遠くまで見渡す事ができず視界が悪い。


 とりあえず、授かった異能ギフトがどんな能力になったのか興味がありステータスを開いてみた。




 名前:ヒビキ・クロガネ

 種族:元 人間ヒューマン

 年齢:16

 レベル:1

 職業:---


 HP:2500

 MP:∞

 AT:550

 DF:480

 SP:300


 技術スキル:弓術Lv1、魔法操作Lv1、言語理解【転移者スキル】


 異能ギフト:豪運【古井戸に落ちし者】、具現化魔法、

  召喚【主神の加護】、ナビ【女神見習いの加護】


 称号:【転移者】、【古井戸に落ちし者】、【主神の加護】、【女神見習いの加護】





 異能ギフトの能力がどうのより......色々ツッコミどころ満載な気がするが......、どうだろう。



 どうやら、文字化けは修復されたようで、見えなかった部分も全て確認出来るようになっていた。



 まず種族だが......。


 "元 人間ヒューマン"ってどういう事やねん。(爆)


 ーーーーはっ、しまった。ついエセ関西人に憑依されてしまった。


 勝手に人外宣告されて取り乱してしまったようだ。

 俺はいつの間に人間をやめていたのだろうか......。


 あと、MPの表示。あのマークは無限を表すマークだよな?

 転移者は一般市民と10~20倍のステータス差があると聞いたが、無限になるのはおかしいんじゃないか?


 それに、異能ギフトの"豪運"。めちゃくちゃ運がいいんですよ~的な感じだろうか。

 カッコで【古井戸に落ちし者】と書いてあるから、井戸に落ちた事が関係しているんだろうな。

 井戸に落ちたけど、死なずに奇跡的にこの世界に来れた事で"豪運"の異能ギフトが付いたのか?


 記載されている順番から、"具現化魔法"と"豪運"が、さっき文字化けしていた地球からの転移によって授けられた異能ギフトだな。


 "召喚"は主神様、"ナビ"がフレア様から授かった異能ギフトのようだ。



 "召喚"と"ナビ"って。(笑)



 仲間を作る能力が欲しいけど地力が足りないから、異能ギフトで仲間を召喚しなさいってか。

 神様、俺のコミュ障はもう治らないレベルなんですかね?

 ああ......、目から汗が大量に......。


 で、旅のガイドが欲しいから、......ナビ?カーナビ?

 そのまんまだな。(笑)


 望んだ能力か、それに近い能力になるという説明だったから、望んだそのままの機能が付きました!って事で運が良かったのか?まさに"豪運"か?やったね、俺!


 ところで、残る一つの異能ギフト、"具現化魔法"。これはどんな能力なんだろう。

 具現化って響きが便利そうな気がする。



 後でいろいろ検証してみないといけないな。




 とりあえず、現在地とこれからどこに向かえばいいのか、それが知りたいな。


 荒野に一人ぼっちなのも寂しいな。


 そうすると、まずは異能ギフトの"召喚"と"ナビ"だな。

 ぼっちも寂しいから、まずは"召喚"を試してみるか。


 俺は、ステータスの"召喚"の文字に意識を集中させてみた。


 すると、まずは能力の説明のような知識が頭に流れ込んできた。

 どうやらこの異能ギフトSPスキルポイントと引き換えに仲間を召喚できる能力のようだ。


 召喚と言うと、魔物とか神獣とか呼び出せるのだろうか。それとも精霊とか......まさか、悪魔なんか呼び出してしまったらどうしよう。


 もう一度"召喚"の文字に強く意識を集中した。


 すると、新しい半透明な画面が目の前に現れた。





召喚可能メンバー        召喚必要SP

≪ナビ≫              200

≪勇者≫              100

≪大魔導士≫            100

≪賢者≫              100

≪豪商≫              100

≪鍛冶師≫             100

≪錬金術師≫            100

≪神獣≫              350


 ※SPはレベルアップ時僅かに獲得

   魔物討伐時 魔物のランクに応じて獲得

   迷宮ダンジョンにて宝箱から入手できるSP玉にて獲得







 もう一度ツッコんでもいいだろうか??



 ナビ......も召喚できるんだな。神獣はSP足りないなぁ。


 いや、それよりも......。

 勇者、大魔導士、賢者......って。



 召喚してもいいんですか???



 勇者召喚って、ネット小説で国の王女様が、魔法使い集めて輪になって、うんたらかんたら呪文唱えて召喚したら、「魔王を討伐してこの世界を救ってください。お願いテヘペロ。」っていう、アレじゃないんですか?


 マジかーーーーー。


 画面を見ながらしばらく考える。


 でも、あれか。勇者召喚できるなら召喚しちゃって仲間にすれば、最初から強いわけだから戦力アップで、魔物に襲われても怖くないし。うん。いいかも。


 今あるSPは300。勇者で100、ナビで200。


 ナビを召喚するって言うのも意味が解らないけど。いいよね。

 危険はないだろうし。

 もしかしたら、綺麗なバスガイドさんみたいなお姉さんが召喚されるのかもしれない。


 あ、綺麗なお姉さんだと俺の人見知りが発動してしまうかも。



 よし、とりあえず決めた。勇者とナビを召喚しよう。


 俺は勇者とナビを召喚すると決めて、再度意識を集中させた。


 すると--------。


 一つは俺の正面の地面に、もう一つは俺が背負っていたリュックに、光の魔法陣が現れた。


 少し驚いたが、地面の魔法陣の横にリュックを置き二つの魔法陣を見つめた。


 暫くすると、地面の魔法陣の方からは人の足が現れ、だんだんと光の輪がゆっくりと上に上がっていく。

 光の輪と共に徐々に足から上が現れてきた。


 リュックの方の魔法陣は、リュックの上で光ったまま動かない。

 何かが出てくる様子もない。


 地面の魔法陣ではどんどん光の輪が上昇し、人の腰までが姿を現した。


 俺は自分の目を疑う。


 その足から腰に掛けて現れた人物が履いているのは、今俺が着ている学校指定の体操服ジャージのズボン。


 どんどんと、既に胸の辺りまで現れたその姿は上下共、学校指定の体操服ジャージ


 体操服ジャージの左胸には、それぞれ持ち主の名字が刺繍されている。


 その名字は--------。


 まさか。


 俺はありえない期待を抱き始めた。


 今召喚されている人物は--------。


 どんどん光の輪は上昇し、ついにその人物の顔が現れた。



「ユウタ!!」



 その人物の体操服ジャージの左胸には、『鳥越』の文字。


 その顔は見覚えのある見慣れた親友のものだった。



「あれ?ヒビキ?」



 裕太は俺の顔を見るとキョトンとした表情で、それからキョロキョロと辺りを見回した。


「ここどこ?なんだか西部劇の荒野みたいなセットだな。どこのクラスの背景なの?」















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誤字一部修正済み

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