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11:初クエスト

リアルが忙しく、今書き上げました。

いつもは2度~3度読み直しをして誤字脱字をチェックしていますが、今回は時間がなくそのままアップします。誤字脱字のご報告お待ちしています。

アップ後自分でもチェックして発見次第訂正いたします。



※一部誤字修正しました。

 

 朝起きて宿で朝食を済ませると、昨日買った魔導書をひと通り読む。

 誰が何の属性に相性が良いかわからないのでクエストで町の外に出たら色々試してみようと思っている。


 その後俺達はバロックの武器屋を訪れていた。ノエルの装備を揃える為だ。

 ノエルは身体が小さいし体力もないので、物理攻撃防御と魔法攻撃防御効果のある丈の短めのローブを購入した。

 武器は、技能スキルに剣術があったので腰に差す短剣と投擲用のナイフを10本を購入した。


 それから冒険者ギルドまで歩いて行く。

 またフラフラ屋台に引き寄せられる裕太を止めながら冒険者ギルドに到着した。

 朝早いので人気のクエストを受託したい冒険者達でギルドの中は賑わっていた。

 受付にも短い列ができていた。その列に並んで自分達の番を待つ。


「あら、ヒビキさん。ユウタさん。おはようございます。」


「おはようございます、マキノさん。」


「今日はクエストを受けに?あら、そちらのお嬢さんは?」


 マキノはノエルに気付いた。


「新しい仲間です。ノエルと言います。一緒に旅をする事になったので彼女も冒険者登録をしに来ました。」


「そうですか。ではこちらへ名前の記入をお願いします。」


 ノエルに確認すると文字の読み書きは出来ないようなのでマキノが取り出した羊皮紙にノエルの代わりに名前を記入する。先日と同じようにマキノが一度奥へ行きギルドカードを持って戻ってくる。

 ノエルも魔力を操るのは初めてで俺の時のように裕太が説明をし、10分程度かかって漸くカードに魔力を通す事ができた。

 ノエルのステータスにも魔力操作Lv.1の技能スキルが新しく増えていた。


 その後、依頼ボードからランクFの『魔物討伐』と『薬草採取』の依頼を受託し町の外へ出る事にした。


『魔物討伐』は町の周辺に出没するランクF~Eの魔物を5匹以上討伐するという内容で、討伐数や魔物の種類に応じて報酬が支払われる。

『薬草採取』は回復薬ポーションと毒消し草に使われる薬草を一定量採取する依頼だ。

 薬草は、回復薬ポーションに使われるリネラ・ポポフと毒消し草に使われるクリネオという薬草で10本で一束にして採取する。ある程まとめて買い取ってくれるらしい。


 街の外に出たらまずスマホで探索を行う。魔物はここから500m程先に居るようだ。

 薬草は80m程先に一定量まとまって生えているようなのでまずはそちらへ向かう事にした。


 少しゴツゴツした岩場の隙間に薬草は生えている。

 岩に登ったり隙間に手を入れたりしながら採取していく。

 コピーすれば後は採取する必要がないのでは?と思うかもしれないが、自力でクエストを達成するのもこの世界で生きていく上での醍醐味だろう。


 すでに太陽は高く昇り、裕太の腹の虫が盛大に合唱を始めたのでリュックからサンドイッチを取り出し昼食をとる。裕太はそれだけでは足りないようで屋台で買った肉の串焼きなども取り出して食べている。ノエルはオレンジジュースが気に入ったようで嬉しそうに飲んでいる。

 食事中や採取中はフレア様が気配探知で魔物の接近がないか警戒してくれている。


「東の方向から魔物が接近中。ランクEのフェザータートルです。」


 言われた方を見ると、50mぐらい先に横にしたドラム缶ぐらいの大きさのカメが見えた。



 フェザータートル Lv.12 (ランクE)

 HP:350 MP:120



 見た目は亀なんだけど、頭や手足や尻尾にフサフサとした白い毛が生えている。甲羅は硬く防具の素材としての重要があり、フサフサとした毛の部分も装飾に使われるらしい。

 人が歩く程の速さでこちらへ移動している。


 俺は弓に矢をつがえて放つ。『フェザータートル』の頭に命中したが即死する程の威力はない。大きな叫び声を上げ、先程よりやや速度を上げ突進してくる。

 次に初級魔法の魔導書で覚えた雷魔法"サンダーボルト"を放ってみる。イカズチのような魔法が『フェザータートル』に命中する。感電したように一瞬動きが止まったがまだ息があり、フラフラしながらも地面に立っている。

 今度は雷属性を纏った矢をもう一本放つ。頭に命中し、断末魔の叫びを上げながら地面に倒れた。

 今度こそ絶命したようで、裕太が死体の回収に向かってくれた。


 薬草を採取しながら、俺達は朝読んだ魔導書の魔法をそれぞれ試していた。

 俺は『雷』と『風』の魔法と相性が良いらしく、初級魔法の"サンダーボルト"と"エアカッター"を覚える事が出来た。

 裕太は『雷』と相性が良かったが、まだ初級魔法習得まではできておらず、その代わりに剣に雷属性を纏う事が出来た。

 バロックの店で買った剣でもかなり攻撃力UPする事が出来た。俺が最後に放った矢にも雷属性を纏わせて威力をUPさせた。

 ノエルは読み書きが出来ないので、俺が習得した風魔法を自分が感じたイメージと感覚を基に口頭で教えた。

 センスがあるのか、両手の間に小さなつむじ風程度を起こす事が出来たので『風』との相性は良さそうだ。


「通常の魔法は、生活魔法のように一度読んだだけで習得出来るものではなく、鍛錬を積んで習得していきます。初見では魔法のセンスがないと、属性を纏ったりつむじ風を起こす事すらできませんので、皆さんとてもセンスがあると思います。

 特にヒビキさんはすぐに初級魔法まで発動出来ていますので、大変素晴らしい才能です。」


 フレア様が褒めてくれた。俺はやればできる子だ。


 そう言うフレア様もポケットに入ったままでもホログラムを投影出来るようになっている。

 しかも、最初はスマホの全長ぐらいのサイズだったのに今では小型のスーツケースぐらいの大きさになっている。

 スマホの中で魔力操作の鍛錬をする事で、効率よく魔力を使う事が出来るようになり、その分サイズが大きくなっているようだ。

 まだ向こう側が透けて見えているが、レベルを上げる事で質感も手に入れるつもりのようだ。

 そのうち、実物と変わらない姿のフレア様と並んで歩ける日が来るのかもしれないな。


 そんな事を考えながら薬草を採取しているとまたフレア様が気配を察知した。


「南から魔物が接近中。ランクEのホーンラビットです。」


 言われた方を見ると、50mぐらい先に頭に角の生えた犬ぐらいの大きさの兎が3匹居た。まだこちらには気付いていないようだ。



 ホーンラビット Lv.10 (ランクE)

 HP:280 MP:80



 フレア様の気配察知は通常50m程の範囲で相手を認識出来るようだ。

 精度を下げると気配だけなら10倍は範囲が広がるそうで、種族やレベルまで察知するには今の範囲が限界らしい。

 まだ距離があったので採取を続けていると10m程の距離まで近付いて来た。

 裕太とノエルは剣と短剣を片手にホーンラビットに近付いて行く。

 相手もこちらに気付いたようだ。


「ギギギギギギ。」毛を逆立てながら威嚇している。


 俺は岩の上から矢を放つ。今度は風属性を使い矢のスピードを上げる。

 矢は1匹のホーンラビットの頭に命中する。

 それを合図に裕太が剣を振るい1匹を切り捨てる。

 俺は続けて残った1匹の足を狙い動きを止める。矢が命中し倒れた所をノエルが短剣で止めを刺す。

 あっという間に3匹のホーンラビットを仕留め、これも裕太が死体を回収しながら帰ってくる。


 怪我の治ったノエルは身軽で動きも早く十分戦闘に参加できていた。


「ご主人様!!ボクの戦闘見ててくれた?ご主人様のおかげで1匹倒す事が出来たよ。」


 ノエルが嬉しそうに走って戻ってくる。


「上手だったな。えらいぞノエル。」


 俺は頭を撫でてやる。するとノエルは耳をフニャっと下げ尻尾を嬉しそうに激しくブンブンと揺らしている。

 同い年だが、つい幼い子供を相手にするような扱いをしてしまう。幼い見た目のせいでノエルに対する人見知りもなくなり言葉の詰まりもなくなってきた。

 大人相手ではこうも早く慣れる事はない。


 十分な量の薬草を採取する事が出来たので、俺達は最初に魔物の気配を察知した場所に移動する事にした。

 魔物は多少移動してここから300m程先に居るらしい。


 俺は移動中投擲用のナイフを一本出し、ノエルに念動力で浮かべながら移動するように指示した。

 最初は10cmも浮き上がらなかったが、採取中も浮かせる練習をさせていたのですぐに自分の目線ぐらいまで上げる事ができるようになっていた。それを浮かべたまま移動するのだ。

 集中力を必要とするので途中何度も落としたが、1時間もするとその状態を維持したまま移動出来るようになっていた。

 その代わり移動速度は遅いので1時間で100m程しか進んでいない。

 安定してくるとナイフをもう一本増やした。


 そうこうしていると、魔物達もこちらの方向へ移動してきていたようで。


「東の方向から魔物が接近中。目標としていた個体のようです。ランクDのオーク(戦士)2匹と、ランクEのゴブリン(ウィザード)とゴブリン(戦士)です。」


 オークと言うのはこの町に来た夜に裕太が食べていたステーキ肉の二足歩行で豚顔の魔物で、ゴブリンとは二足歩行で背が低く醜い顔をした魔物である。

 オークとゴブリンは基本戦士型で、棍棒を武器にして持っている。言葉は話せないが猿と同じ程度の知能があり道具を使える。派生で魔法使い(ウィザード)や回復士ヒーラーと言った魔法を使える個体もいる。

 上位種にはランクDのクイーンやランクCのキングがいる。

 オークや人型の鬼顔の魔物であるオーガなども同じように派生となる個体がいる。

 個体の能力や強さによってランクが上下するようだ。


 今回のオーク2匹とゴブリン1匹は戦士型、もう1匹のゴブリンは魔法使い(ウィザード)型である。

 フレア様の鑑定によれば、魔法使い(ウィザード)型は水魔法"アクアボール"を使えるらしい。


 裕太は武器屋で買った剣を一旦しまい、異能ギフト"勇者の攻防"を発動させる。防具は重ね付けになるが動きに影響はないようだ。

 突然始まったヒーローの変身シーンに、ノエルは驚いている。


「なに、これ!すごーい!!」


「俺がオーク2匹を引き受けるよ。」


 そう言って魔物達に近付いて行く。俺がノエルにゴブリン(戦士)に向かうように指示を出すと、ノエルは軽く頷いて裕太の後に続いて行く。

 俺は岩の上からまずはオーク1匹の足を、続いてゴブリン(戦士)の足を狙い射貫く。

 2匹を足止めした事で魔物達もこちらの存在に気付き戦闘態勢をとった。無傷なオークと裕太の戦闘が始まる。

 その間に俺は雷属性を矢に纏わせゴブリン(ウィザード)に矢を放つ。ゴブリン(ウィザード)は"アクアボール"をぶつけ、矢の勢いを弱めたが止める事はできず、肩に命中する。

 間髪入れず『雷』の矢を放つ。今度は頭に命中し絶命した。

 その間に裕太は難なくオーク1匹を切り捨て、2匹目のオークに向かっていた。

 ノエルもゴブリン(戦士)に何度も切りつけたがパワーがない為致命傷にはなっていない。しかし、確実に体力を削っていた。しかし、ゴブリン(戦士)も棍棒を振り回して抵抗する。

 俺はもう一度ゴブリン(戦士)のもう片方の足を狙い矢を放つ。命中するとゴブリン(戦士)が地面に倒れる、そこをノエルの念動力で浮かべていたナイフがゴブリン(戦士)の喉元を掻き切った。

 同時に裕太もオークに止めを刺し、戦闘は終了する。

 オークは魔石以外に肉が食えるが、ゴブリンは魔石と棍棒のみ回収する。

 裕太が死体と魔石を回収している間にノエルが俺の元に走って戻ってきた。


「ご主人様-------!!やったよ--------!!ボクの戦闘どうだった?」


「近接では短剣で切り付けて、距離を取った時に念動力でナイフを操って攻撃。ノエルは動きも素早いから相手の攻撃を避けながら少しずつダメージを与えていく攻撃は合っていると思うよ。」


 頭を撫でながら褒めてやるととても嬉しそうだ。


 戦闘中も念動力でナイフを浮かべた状態を維持させて隙があれば攻撃するよう指示していた。まだ止めを刺すまで操るには時間が掛かると思っていたので、予想以上の上達速度だ。


 この戦いで俺と裕太はLv.4に、ノエルもLv.3にレベルアップし、俺は弓術がLv.2に上がった。

 "サンダーボルト"と"エアカッター"を習得した時に雷魔法Lv.1と風魔法Lv.1の技能スキルも増えている。


ステーキはあんなに旨かったのに、見た目は全然旨そうじゃないのな....。」


 オークと間近で戦った裕太が複雑そうな表情で戻ってくる。

 豚顔だが二足歩行の人型なので、日本人としては食料と考えるのは複雑だろう。


「......まあ、旨いからいいか。」


 いや、単純だったようだ。こいつは能天気であまり悩まない奴なのだ。


「オーク美味しい?」


「ああ、ノエル。オーク肉のステーキは旨いぞぉ!!」


「うわぁ!!ボクも食べてみたいなぁ。」


 今日の夕食はオーク肉のステーキになりそうだ。


 俺達は魔物討伐のノルマも達成したので町に戻る事にした。

 途中"ファイヤーウルフ"3匹と"ホーンラビット"7匹を倒し、ノエルは念動力の訓練をしながら、俺と裕太は他の魔法の訓練をしながら町まで帰った。







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