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魔王のぼくと農民のきみと無職のあいつ  作者: 木島冴子
元勇者の家族
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元勇者の家族1

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『わたしの家族』


ニレの街小学校

六年一組アン・ソーマ




わたしの家族はもういません。


前はお父さんとお母さん、それからお姉ちゃんの四人で暮らしていましたが今は一人です。


去年、故郷の村が魔族の襲撃をうけたとき彼らは殺されてしまいました。


山中に逃れたわたしだけが無事でした。


焼け落ちた村に帰ってみると家の中には三人の死体がありました。


魔族は人を食べるといいますが、ほんとうです。


お父さんの遺体にはいつくかの欠損がありました。


くわしく書くと気分が悪くなるのでここには記しません。


少なくともわたしはお肉がしばらくのどをとおりませんでした。


それから栗色だった髪の毛は、おばあさんのように真っ白になりました。


お医者さんの話では恐怖によるものだということです。


山中に逃れたあと、たくさんの悲鳴がきこえるなかで一夜をすごしたからかもしれません。


わたしの村は一夜にして魔族に滅ぼされてしまいました。



人間種族と魔人種族との戦いは五千年におよびます。


圧倒的な力をもつ魔族に人間はなすすべもありません。


たった一つの対抗手段は「勇者の剣」です。


勇者の剣は魔族の長である魔王もおそれる武器です。


それをふるえるのは選ばれた者だけ。


つまり「勇者」です。


この世界に勇者の剣はいくつもありますが、それを使うことができる勇者はわずかです。


わたしは勇者になります。


そして魔族を、その長である魔王を倒します。


勇者になるためにはたくさんの勉強が必要です。


女性で勇者になった者は今のところいません。


もしわたしが勇者になったら初の女勇者です。


家族の無念をはらすためならなんだってするつもりです。


どんなにつらくても、父さんたちが死ぬときにあじわった苦しみにくらべればたいしたことはありません。


わたしは魔族を滅ぼすまで戦いつづけます。




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