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魔王のぼくと農民のきみと無職のあいつ  作者: 木島冴子
魔王の家族
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魔王の家族1

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『ぼくの家族』


シラカバの里小学校

六年三組ティスナ・バナトル



ぼくは三人「家族」です。


兄ちゃんと姉ちゃん、そしてぼくの三人、ひとつ屋根の下で暮らしています。


姉ちゃんによれば、ひとつ屋根の下で暮らし、同じ釜の飯をたべたら「家族」だそうですが、ぼくらに血のつながりはありません。


正確には、兄ちゃんは父方のお祖母ばあさんの、そのまたお祖母さんの兄だからちょっぴり血はつながっていますが、二年前に知りあったばかりなのでほぼ他人です。姉ちゃんとは種族すらちがいます。


姉ちゃんは現在十八歳。人間種族の元勇者。二年前まで打倒魔王をかかげて活躍していました。今は気ままな農民です。戦場で剣をふるうかわりに田畑でくわをふるっています。


勇者を引退した今でも国王の使者がやってきては復帰を願いますが、姉ちゃんは「戦争は終わった」といってそれを断りつづけています。


兄ちゃんは元魔王で今は就職活動中の無職。ただし、仕事をみつける気は皆無です。


三百二十一歳のいい年齢としをした大人(ぼくら魔人種族の成人は百歳)が一日中家のなかにいて家事手伝いにいそしんでいます。人間社会でいうところの“主夫しゅふ”というものです。


かつて冷酷無比とよばれた魔王の面影はまるでありません。「もともと戦争はきらいだったからねぇ」といって窓辺の植木鉢に水をやる姿はご隠居そのものです。


そして、十二歳のぼくはご存知のとおり魔王です。


人魔平和条約にのっとって現在ぼくは人間社会の小学校に通っています。


はじめのうちはとまどうこともありましたが今はもう慣れたものです。


元勇者の姉ちゃん、元魔王の兄ちゃん、現魔王のぼく。


どうしてぼくらが「家族」になったのか。


それには色々とフクザツな事情があります。




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