優しき乙女の円舞曲と追憶の調べ
斬る、斬る、斬る斬る斬るっ
ただひたすら斬る
気づけば、立っているのは俺一人。
血に染まった大地に刺さる黒き剣。
少年はそれに手をかけ一息に引き抜く。
どす黒い感情とともにすさまじい力が流れ込んでくる。
すると唐突に耳に息がかかった。
湿っぽい吐息。甘い囁きが少年を殺意へと掻き立てる。
「…い。おーい。朝だぞー。」
その声で俺を飛び起きる。
「ずいぶんうなされてたよ?大丈夫だった?」
えっと……?見覚えがあるけど…だれだっけ?
「もしかして……寝ぼけてる?」
えっとたしか…戦場でこいつと共闘して・・・?
「なんで俺がお前の邸宅にいるんだ?」
「なんでって…私が連れてきたからに決まってるじゃない。」
・・・・・・え?
急に頬を朱に染めてすさまじい剣幕でまくし立ててきた。
「あ、あんたが戦場で不意を突かれた私をかばってくれたから…。その、あの、そ、そうよっ。死んでもらったら寝つきが悪くなるからよっ!」
ツンデレありがとさん。そんな冗談を言う余裕すら俺にはなかった。
だって女の子の家に泊まったことなかったから少々キョドっていた。
「ほら。あんたは寝てなさいな。仮にでも怪我人なんだから。」
「…大した傷じゃないさ。うぐっ。」
思ったより重傷だったらしく、ちょっと痛む。
「ほら。言わんこっちゃないわね。まったく。包帯がほどけてるわ。ちょっと見せてみなさい。」
あがこうと無駄だと悟り抵抗せずに身をゆだねる。
しゅる。しゅるる。
こそばゆいような、くすぐったいような、それでいて心地よい感覚だった。
「静かにしてなさいよ。御飯作ってくるからさ。」
台所に行ったアリス。
俺は何を思ったのか、自らの過去について無性に語りたくなってきた。
自らの罪という黒い歴史を語るのであった。
次話へ続く…
さてさて、こんにちわ。KAIRIです。
そろそろ主人公の謎の核心に迫れそうですね。
次話でついに彼の罪が明らかになります。ぜひ読んでくださいね。
以上KAIRIでした。