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こんなファンタジー認めない

短編小説を書こうと思ったんですけど、ついつい長くなってしまう。


よし、仕方ない。これ連載にしよう。


勢いだけで始めた拙作でございますが、楽しんでいただけたら幸いです。

 ファンタジーと言えば、皆は何を思い浮かべる?

 勇者に魔王に女神様。

 戦士に僧侶に魔法使い。

 ドラゴン、スライム、ゴブリン、オーガにヴァンパイア。

 高飛車美人なドリルお姫様。ボインでバインなエロフのお姉さん。快活元気なケモ耳ボク娘。

 ……最後は少しおかしい? けど皆ファンタジー小説に欠かせない、カレーのスパイスのようなキャラ達。たまに使い古された、何て言うやつもいる。けどそれは、何度でも読みたくなる魅力が彼ら、彼女たちにあるから、何度でも形を変えて蘇るのさ。

 そんなキャラ達が、恋をして、冒険をして、バトルをして、料理をして、生産をして――本当に実在しているような、生きている姿を想像して、俺はえもいわれぬ多幸感を覚えるんだ。

 ファンタジーてのは、俺にとって空気と同じ。なければきっと俺は死ぬ。そういっても過言じゃないほど、俺はファンタジーを……愛している。

 だから……だからさぁ――


 「こんなファンタジー! 俺は認めねーーー!!」


 ☆


 「何を急に叫んでいるの? 主」


 「なんですか? 考え過ぎで壊れましたか? ポンコツ主」


 「ふぐぅ、ひぐ…………いや何でもない。ちょっと叫びたくなっただけだ」


 「ならその顔、早く何とかしてね。主」


 「不細工が泣くと、さらに不細工になるだけです。不細工な主」


 「そこまで言われるほどひどい顔してないよ!?」


 幻想世界エリオージュ。夢も希望も……存在しない、どこか退屈な理想郷。そんな世界にやってきた、小説家志望の男が一人。相棒二人に弄られながら、今日も『俺』は――筆を執る。


 ☆


 転生、もしくは転移とは、いわば神様からのご褒美だ。考えてもみろ? 地球人口70億人。確か今はもっと増えてんだっけ? その中から選ばれた一人。いや、作品によっては百人程度しか経験することのできない、夢の国へのワンダーチケッツ。そんなもん生きてるうちに、いや死んだとしても遭遇できる確率って、いったいどんだけあると思うよ。

 そんな幸運を手にしたのが、何を隠そうこの俺だ。

 地球の皆様初めまして。異世界からトモヤ=ムガミがお送りしております。……え、何で名前がカタカナなんだって? 異世界かぶれ? いや、そういう訳じゃないんだけどさ。あ、そこ聞く? 聞いちゃう? 

 じゃあ少々長い話になるが付き合ってくれ。それを説明するにはまず、俺がどうやってこの世界に来たのかを説明する必要があるからさ。


 ☆


 「……まただ……」


 東京の安アパート。今時風呂、トイレ共同。しかも隣人はドキュンな兄ちゃん。その一室で俺は送られてきた書類、そこに書かれた文字を見て、絶望していた。


 「何で、何で理解されないんだ……」


 電気もガスも水道も、三日前に止められた。たった一つ残っていたカップ麺を生でかじって、今日まで何とか生きてきたんだ。


 「だって、こんなに面白いじゃねーか。……設定がありがち? ……分かってねー、分かってねーよ、この審査員」


 バイトは先日クビになった。当然だよな、仕事中もずっと小説を考えててミスばっかりだったし。


 「畜生……どうすりゃいいんだ。この作品に賭けてたのに」


 貯金はない。そもそもキャッシュカードすらない。ブラックリスト入りしてからは、サラ金から金も借りれなくなった。


 「もう……いいや」


 もういい。そうだ、もういい。誰も俺の小説を理解してくれないなら、


 「死のう」


 俺は隣からビニール紐を借り(初めて話したけど、意外といい人だった)、それを何重にも縛って縄を作った。自殺の方法はスタンダードな首つり。はは、ひねりがねーな。ああだから落とされたんだっけ?

 もうすぐ日が落ちる。そうなりゃこの部屋には外の光すら入らなくなる。まるでおれの心を表してるようじゃないか。

 小説を書くために、借金取りからも死守した俺の相棒である丸机。その上に乗って、さあ逝こうってときに、俺の口から勝手に言葉が出てきた。


 「神様、仏様、閻魔様。もし聞いてるならお願いします。……もし次があるなら」


 ……くっくっく、俺小説を応募するたびに祈ってんだよな。今まで無視してきたんだぜ? 今更聞いてくれんのかよ。


 「また俺を人間にしてください。また、小説を書かせてください。……馬鹿と思われるかもしれないけど、俺、こんなにつらいのに、こんなに報われないのに……」


 おいおい、何言ってんだよ。今さっき自分で言ってじゃないか。もういいってよ。


「……おれ、がぐのやめだぐないんです。おれのじょうぜつを、もっといろんなびどに、よんでもらいたいんです……」


 うるせーよ。我ながら往生際の悪いこっちゃ。止めろよ、不細工な面がよけいに不細工に見えらぁ。


「ひ、ぶぅぅあ……おねがいじますーーー!!」


 たく、最後まで締まらねーな。本当によ。


 ………………畜生が


 思いのたけを盛大にぶちまけながら、俺はその日、確かに死んだ。


 ☆


 ――そのはずだったんだけどなぁ


「おい坊主。こんなところで何をしている?」


「……へ?」

 

 ……このコスプレしたおっさんはどちらさま? 


地の文が少々うっとおしかったですかね?


書いてみて分かったけど、バランスが難しい。なんのバランスって、


ウザ過ぎないバランスです。


いやこんな主人公いたら、見てて面白いけど友達にはなれないだろうな~。


……あれ気のせいかこいつ、なんか俺に似てるような?

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