エピローグ
春。
駅と列車は数々の歴史と麗しい記憶を抱いたまま、長き休息に入っていた。
公園として整備され、やがてまた、一面の花が駅を彩る頃には。
より沢山の人がここを訪れることだろう。
快晴。
日差しは心地よく、ホームのベンチに並んで座るふたりを照らしている。
もう動くことのない列車が、プラットホームの肩にぴたり、寄り添う。
まるで目の前に居るふたりのように。
小山菜波は蔵田靖雄の肩にもたれて寝息を立てている。
少年は優しい手つきで少女の髪を撫でていた。
黄色い菜の花が沿線に咲き乱れ、満開の桜が駅舎の上で枝を揺らす。
飛び回る蝶たち。
遠くで鳴くホトトギス。
これだけ心地よい天気なら、うたた寝も悪くないな・・・そう思って少年は少女のあどけない寝顔を見つめながらふと、笑みを洩らすのだった。
いつか遠くに行くことになっても、そこで暮らすようなことになったとしても。
必ずまたここに戻ってこよう。
俺たちはここから始まったのだから。
【あとがき】
長らく続けてきましたこのお話も、いったんここで終了となります。
最後まで読んでくださったみなさまに感謝しつつ。
このお話は、実際に廃線になった某ローカル線をモチーフに、近くのローカル線などを参考に話を考えました。
一番最初に実際に見たのが、廃線跡の駅のホームに佇む列車の光景で、これに感銘を受けて「このシーンを最後に物語を組み立ててみよう」ということでこのお話は生まれました。
また気が向いたら番外編みたいな小話をやるかもしれません。
そのときはまたお相手してやってください。
よろしくお願いいたします(ぺこり
詩月カオリ『I'm home』を聴きながら
(このお話の勝手に脳内EDテーマ。iTunes配信中!いい曲ですよ~ ←ステマ)




