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辺境高校生  作者: にしむらぱすた
【本編】
38/64

第36話 キャンプ(2)

 川にさんざ浸かっていたので皮膚がふやけそうな感じだ。

 河原で火を起こし、夕食の準備に入る。

 男子ズは海パン一丁で、女子ズは水着かそれにパーカーのようなものを羽織ったりして固まる。

 飯ごうを吊るし、鍋にカレーの食材を放り込む。

 塩をまぶしたアユを串に刺して、その周囲にぐるりと並べる。

 ・・・なかなか美味そうじゃん!


 食材や調理器具は当初ミズタニンがまとめて自動車で持ってくるはずだったのだが、「鉄道を使って移動し、皆と同じ行動をしたい」ということで、それぞれが少しづつ持ち寄ることに。しかし鍋はちょっと勘弁して欲しかったわ。デカくて重い。俺ん家から持ってこさせられたわけだけど。

 

「いただきまーす!」

 

煮込んでトロトロになったカレーをいただく。

 いいね!


「おいしーい!」

 

 小山さんも大満足だ。俺も嬉しい。


「みんなで食べるの、初めてじゃない?」

 

 と篠田。


「うん、初めてだよ!外でごはんつくってみんなで食べる・・・いい思い出になるねきっと」

 

 清川の発言に皆納得した。



「しかし、さすがは田舎だよな。アユとか初めて見た」

 

 串に刺したその魚はいい感じに焼けている。

 香ばしい。

 うん、うまい。

 食べたことは2,3度あるが、自分で捕まえたり調理して、というのは初体験だ。


「地元民なのに?」

 

 俺の発言に小山が口を出す。


「小山はある?」


「実はない」

 

 苦笑い。


「田舎は広大だね。まあ、宮川を除く周辺町村はもう全部田舎と言ってもいいくらいだけど」と高橋。


「まあつまり、私の家以北の人はみんな田舎人ということかな」

 

 と清川。


「宮川市内も、まあ田舎に毛が生えた程度のもんだけどね」

 

 と笑って応ずる高橋に納得する篠田。二人は宮川市民だったなそういえば。


「ちょっと待って」ミズタニンが地面に並んで刺してある串の一つを拾う。「この大きめの魚は何?」


「ああそれ、先生。釣堀の場所で釣れたんで持ってきたんだけど・・・よく見たら大きいアユじゃないな?」

 

 俺がまじまじと見るに、明らかに別種。


「ニジマスじゃないかな、これ」

 

 高橋が言ったんで思い出した。「そうそれ!ニジマスだ。看板に書いてあったような。まあ複数の魚が釣堀に居ても別におかしいことじゃ」


「これ・・・釣堀の場所じゃなくて、そのとなりで飼育してるやつじゃない?」

 

 なんだって。


「え」


「ああ、そうそれだ!養殖用って書いてあったよ!だめだよ取ってきちゃあ!」

 

 小山氏、よく見ている。

 げ・・・。


「マジですか」


「マジです」


「うわー。やっちゃったわねー」とミズタニン。「どうしよう」


「しかし、もう腹に入ってしまったものは仕方がない・・・」


「あとでここの施設の人にあやまっときなさいよ蔵田。お金ちゃんと払って」

 

 篠田はさすがに追撃が容赦ない。


「うーん払いたくない・・・あやまるけど・・・高橋、腹抑えてくれ、戻すわー」


「あはは、無理無理」笑う高橋。


「ちょっとやめてよこんなとこで!」後ずさる篠田。

 

 そこで先生が篠田と高橋の間に割って入る。


「明日、私があやまっとくわよ。もう。ちゃんと施設の看板見てよね」

 

 まったくだ・・・弁解の余地もない。

 というか、皆さん、アユと大きさも形状も明らかに違うのになぜ今まで気付かない。


「じゃあ、この、ほかに刺さってるこれとかどうしようか?」と清川。「もとの場所に戻しとく?」

 

 さすが清川サン、発想が柔軟だぜ・・・。


「それもいいかもしれないな。翌朝、通りがかった人が見ると、『堀には串に刺さって焼かれたニジマスが泳いでいた・・・』な、何を言ってるかわからねーと思うが・・・」


「はは、バカ言って!」

 

 ミズタニン、笑う。


「ミステリーですね」清川。


「ミステリーですね!」小山。


「ミステリーというか、怖い話はみんな好き?」

 

 不意に水谷教諭。


「好きです!」

 

 いい反応を見せたのは清川。そうか。そうなのか。


「よし、じゃあ、怪談でもしない?」


「はい、賛成!」


「じゃ、決定!」

 

 ちょ・・・皆の同意も得ずに!

 賛成してるの、清川だけじゃん!


「ちょっと先生ー!」

 

 同じことを考えてたのか、同時に小山と篠田から異議ありの声。


「いやいや、折角だから」なんとか言いくるめようという方向にもっていく水谷氏。「みんな何かあるわよね?一人一つづつ、お話しましょうよ。テントの中で円になって。まあどうせオチがつくような可愛らしいネタ話ばっかりになると思うけど」

 

 どうやら反応を見ている限りは小山と篠田は苦手そうだな。


「ま、まあオチありなら私もいくつかできるかな・・・」


「シノちゃんに同じく・・・」

 


「先生、蝋燭(ろうそく)持ってきてます」


「あら丁度いいわね」

 

 まさかこのときのために用意してきたんじゃないだろうな、清川。


「百物語でもするつもりかい?」

 

 高橋もやや呆れ顔で笑っている。


「100本はないけど30本くらいなら・・・」

 

 多すぎるだろ、それでも。


「じゃあそれ、火をつけて楽しみましょう!」

 

 いや、楽しめるといいな、これ・・・。

 




「では私の番だね!タイトルは『悪魔の足跡』!」

 

 声を挙げる小山。

 あ。もうオチ解ったわ。

 でもまあ、聞いてあげるのが筋だよな。




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