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辺境高校生  作者: にしむらぱすた
【本編】
14/64

第12話 ご当地ヒーロー(1)

 そういえば部活のはじめの頃、「山に行きます」とか言ってた気がするけど、まだだな。

 ふと思い出したが、小山さんは気まぐれなとこも多いので忘れてるかもしれないし、予定変更になったのかもしれない。

 まあ、そのうち山でなくても谷だの川だの出かけることになるだろう。

 そんな気がする。


「ゴールデンウィークの予定がある人~!」


 緊張感のない小山の声が部室に広がる。


 今日もそれなりに平和だ。


「ないです~」

 

 清川の声もおっとりしているな。


「ないわよ」

 

 なんで篠田は不満そうなのか。


「ないね、僕は」


 高橋もか。

 どうしてこう皆、揃いも揃って暇人なんだ。

 

 まあ、そのほうが部としては・・・

 ああ、小山がこういうことを言い出すということは何かあるなぁ。

 皆それを解ってて言ってたりして。


「蔵田君!」

 

 不意に小山に指差される。

 だからその、人の顔に指を立てる癖はやめたほうがいいと言っとろーに。


「ああ、ない。・・・といいたいところだが」


「言いたいところだが?」

 

 篠田も覗き込む癖があるなあ。

 まあ、俺も何かしらあるかもしれないが。


「田植えが」


「田植え~!?」

 

 オーバーな反応だな・・・。


「まあ市内在住の篠田お嬢さんには縁のないことでしょうがな・・・」


「いやまあ、市内でも田んぼはあるし農家の人も居るけど」


「ああ、そうだったね、そいえば蔵田は去年もそんなこと言ってたよね。思い出したよ。祖父母の家で厄介になってるから、この時期だけは手伝いたいとか」


「そんなとこだ」


 高橋は去年一緒のクラスだったからそんなことも言ったかもしれないな。


「えらいねー!」


「いや、全然えらくないぞ清川。田植えと稲刈り時期だけ手伝ってるだけだ。あとはなんもしてないしな」


「いやいや、なかなかできないですよー」

 

 まあ清川は体力なさそうだから出来ないかも・・とか言ったら怒られるな。せっかく褒めてもらったのに。


「うーん、そっかぁ。どうしようかなあ」


「予定か?小山」


「部活?」と篠田。


「いや、連休中に宮郷線絡みのイベントがあるから、もし暇ならみんなでどうかなとか思ったんだけど」


「ほうほう。どこで?何日に?連続して?どんなイベント??」

 

 矢継ぎ早に篠田の質問が小山に浴びせられる。


「ヒーロー戦隊ショーみたいなのやるよね!」

 

 お。

 実は今俺が言おうと思ってたのを、高橋が喋ったぞ。


「高橋、知ってたのか?」


「ん?そういう言い方だと、蔵田も知ってたみたいだね」


「・・・ああ。小山から教えてもらったからな」


「なになに?何を教えてもらったって?」


「篠田、顔が近い・・・」


「ごめ」


「蔵田君、『宮郷線を守る会』のサイト、見たんだね」


「そそ。小山の言うとおりに」


「あら?それ知らないわ?それ見ると年間スケジュールとかわかるの?」

 

 篠田が口先を尖らす。


「わかるよ。大体のイベントは出てる。結構面白いこと計画されてるよ」と高橋。


「んー、知ってた?キヨ?」


「知らない・・・」


「なんだー自分らだけだよキヨ~!どうしよう!」


「すっかり乗り遅れちゃったねえ・・・一緒に頑張ろうシノちゃん!」

 

 よくわからないが清川と篠田が部屋の隅で抱き合っている。


 せっかく口を開いたので高橋の説明を聞く。

 まだ知らない清川と篠田のためにも。


「TVで放映されてる、あるいはされてた戦隊とかライダーみたいなのではなくて、今地方で活躍してる”ローカル戦隊”とかあるの知ってる?”ご当地ヒーロー”とか」


「んー、知らないかな・・・名前だけは聞いたことあるような気がするけど」

 

 篠田はそう言う気がした。


「ああ、たまにスーパーの広場に来てたりする・・・TVでやってないやつでしょ」

 

 清川は想定どおりの反応。


「まあ、TVでやってるほうも時々見かけるような気はするけどね。この地元で有名らしいローカルヒーローって誰でしょう?」

 

 皆、沈黙。

 なんだろうな、この間は。


「知らない」篠田。


「知りませんー」清川。

 

 地元民が知らず、サブカル方面に詳しそうな清川が知らないんじゃ、有名って言えるのか・・・?


「勿論俺が知るはずも無い」


「ああ、僕も知らなかったんだ。イベント案内のサイト見て、何だろうって思って調べたら『埴輪戦士ハニャワン』とか出てきて・・・」


「はにわせんし?」

 

 清川が訊き返す。


「そうそう。尾早稲古墳をもとに考えられたとかいう」


「小山、やっぱり知ってたんじゃないか」


「うん、高橋君が聞かないもん」


「ごめんごめん、小山さんなら知ってると思ってさ。まあ、やっぱりだったね」


「くくく・・・古墳からあらわれたハニワの戦士・・・あはははは!」

 

 篠田はよく笑う。というか笑いすぎ。

 何かツボにでもはまったんだろう。両手を腹に当てて床の上を転がっている。

 大丈夫か?


「”はにゃわん” とか!あははははは!」


「シノ~、大丈夫う?」


”ハニャワン”ねぇ。どう考えても”戦士”って感じじゃないよな。響き的に。

 ゆるキャラが関の山だろ・・・。


「小山、篠田のことはともかく、あの土偶饅頭を思い出したんだが・・・」


「ああ、そうだね。尾早稲といえば例の饅頭が有名って話をしたよね!」

 

 いや、それもあんまり有名じゃないような・・・。


「尾早稲古墳からは埴輪は出土したんだっけ?」

 

 小山に聞いてみる。


「いや、出てないよ」


「マジか・・・なんで出土したものでやらないかな・・・」

 

 誰なんだよ作ってるのは。


「『土偶戦士ドグゥーン』というのも共演するそうだね」


「それも尾早稲出身なのか?高橋」


「そのようだね。でも尾早稲っていうよりは尾早稲地区のある源田町のキャラクターみたいだね。ちなみにドグゥーンは今年初参加というか、できたてのキャラクターみたいだよ」


「宮郷線のイベントに出るのは初参加が最後にならなければいいな・・・」

 

 なにそれ、ぶーぶーと小山が叫んでいる。


「土偶戦士ドグゥーンとか!あはははは!そのまんま!なんの!ひねりもない!あははははは!」

 

 篠田は笑いが止んだと思えば新たな火が注がれてしまった。

 笑いすぎでおなか壊すんじゃないか?





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