そして少女の世界を跨いだ旅が始ま・・・る訳が無い!
〔見切り〕発車オーライ!!!
「~♪~♫~~♬ あ。ばーちゃーん!おはよーございます!!」
登校が粗方終わり、もう学生服をほとんど見かけない時間。
昔から駄菓子屋のババの耳に元気な声が聞こえた。
ババはちらりと時計を見やり、寝坊でもしたかと溜息をつきながら声の主に挨拶を返す。
「おやおや・・おそようさん。随分と遅いご出勤で(苦笑)」
「ん~‥寝坊しちゃった(笑)」
この時期は眠くて眠くて‥‥とバツが悪そうな顔で目を泳がす少女に、あんたは一年中そんな感じだろと軽く返す。
「働き始めるとそうはいかないよー??」
「だいじょーぶたいじょーぶ‥‥いざとなったらばーちゃんのところで雇ってもらうから!!」
「あらやだよアンタみたいな重役出勤は」
「なんですと?!!」
ショック!!とオーバーリアクションをとった少女に、ババはカラカラ笑いながらまた時計をチラリ
「あんた学校はどうした?」
「あ!!!い、いってきまーす!!!!」
「気ぃつけていきなーー」
「はぁーい!!」
少女の少々うるさ‥‥もとい、元気な声が朝の住宅に響き渡る。
ババは小さくなっていく背中を見送り、あんなに慌ててコケなきゃいいけどと笑うのだった。
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走り出したはいいものの、途中の信号で止まってから再び走る気にならず、主人公はてくてくと学校までの道を歩いていた。
「くそ・・・・眠い。休むか‥‥う~しかし揚げパン‥‥」
軽い問題発言をブツブツを呟きながらいつもの道を歩く。
「あれ・・・・・・??」
いつもの道を歩いてる・・・・・・・・・・・・・・・・・・はず。
「こんな細道あったけか。」
見たことない人一人通れるかどうかぐらいの極細の小道が、あたかもずっと昔からここにありましたとでも言うかのように存在していた。
「・・・・・・・・・ふむ」
これは行かなきゃぁ・・・・・・・
「女が廃るってやつだよね!」
と、探検気分で足を踏み出す。
その頭の中は先程まで考えていた学校だとか登校時間だとかが好奇心や探究心と名のつくものに追いやられていた。
少女は知らない。
この行動で自分の人生が180度どころか一周回って368度くらい劇的に変わってしまうことを。
ここまで読んでいただき感謝の極み。
誤字脱字のご報告有難く頂戴してますm(*_ _)m