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余命宣告を乗り越えた幼馴染の愛が重い  作者: ミソネタ・ドザえもん
第三章

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6.学校

 翌朝、いつも通りの時間に目を覚ました俺は、朝の日課である勉強を行った。

 一時間くらい勉強をした後、リビングへ行き、母の作ってくれた朝食を頂いた後、俺は家を出た。


 道中、歩きスマホをしながらまた勉強をして、気付いた時には駅に到着していた。


 電車が来るまでの間、スマホをボーっと見ている時のことだった。


「あっくん。あっくん」


 背後から聞き馴染みのある声が聞こえてきた。


「……あ、奏」

「おはよっ」


 振り返った先にいたのは、奏だった。

 

「おはよう。奇遇だね」


 待ち合わせもしていないのに、まさか同じ時間の電車を待っていただなんて。


「本当だね。すっごい偶然。なんだか運命を感じちゃうね」

「……いや、何もそこまでは」

「運命、感じちゃうね!」

「……うん」


 昨日、奏と再会を果たしてから少しだけ思っていたことだが、なんだか奏の奴、小さい頃に比べて全体的に圧が増した気がする。

 まあ、ごり押しがすごい性格をしていた部分もあるから、割と肯定的に受け止めているのだが……なんだろう。時々、少しだけ怖い時があるんだよな。


「……あっくん。どうかした?」

「え? ……ああいや、なんでもない」

「そう? 顔色優れないよ? 休憩する?」

「大丈夫大丈夫」

「そう? 無理しちゃ駄目だよ?」


 ……まさか、奏に体調の心配をされるとはな。


「さ、電車が来たし行こうか」

「うん」


 俺達はやってきた電車に乗り込んだ。


「あっくん」


 しばらくの間、俺達の間に会話はなかったが、奏が口を開いた。


「学校、楽しい?」


 あまりに唐突な質問だった。


「楽しいも何もないよ。学校って、勉学に励む場所でしょ?」


 そして、勉学は楽しいものではない。


「……ふうん」

「……」

「あっくん。もしかしてクラスメイトに虐められたりしてる?」

「え?」


 あまりに飛躍した質問だ。

 俺は思わず、目を丸くしていた。


「……そんなことないけど?」

「そう? でも、昨日再会したばかりだけど、なんだかあっくん、昔に比べてあんまり楽しそうじゃないよね」


 ……誰のせいだと思っているだろう。


「だからさ、心配になっちゃったんだよね」

「……大丈夫。いじめられてなんかないから」

「そう? 無理しちゃ駄目だよ」

「無理なんて……」

「何かあったら相談してよ」

「相談したら、何かしてくれるの?」

「勿論」


 奏はニッコリと微笑んだ。



「他でもないあっくんのためなら、あたしなんでも出来るよ?」



 そっか。

 であれば、絶対に相談は出来ないな。


「……奏こそ、昨日の放課後は空気を読まない行動に出て、大丈夫なの?」


 車窓から外の景色を見ながら、ふと昨日の放課後の出来事を思い出した。

 昨日の奏は、俺以外のクラスメイトの多数に遊びに誘われたが、結局それらを全て無下にして、俺の家に寄った。


 恐らく、あのクラス内でも特別カーストが低い俺との時間を、他クラスメイトとの時間よりも優先したのだ。


「……図に乗っていると思われちゃうかも」

「図に乗っていると思われたら、どうなっちゃうのかな?」

「……君こそ、いじめられるかも」

「あはは。そっかそっか」


 奏は笑った。


「一度死にかけたあたしからしたら、たかだか高校生にいじめられるくらい、なんでもないよ」


 ……なんだろう。

 今の奏からは、戦場で生き延びて母国に帰国した軍人並みの風格を感じる。


「……駄目だよ。いじめられるだなんて」

「ん?」

「……折角、病気を治してもう一度学校生活を楽しめることになったんだから。たった一度の学校生活、楽しまないと」


 俺の言い分に、奏は目を丸くしていた。


「あっくんが言う?」


 そして、奏は正論を吐いてきた。

 確かに俺はさっき、学校は勉学に励む場所で、楽しむ場所ではないと言っていた。そんな俺が、奏に対しては楽しめ、と言うのは……矛盾も良いところだ。


「……じゃあ、あっくんも学校生活を楽しんでくれるのなら、あたしも学校生活を楽しむよ」

「……そうですか」

「うん」


 奏は力強く頷いた。


「あたし達、運命共同体だもんね」


 なるほど。初耳の設定が沸いて出てきたな。

 まもなく電車は学校最寄り駅に到着した。


「あ」


 改札を出たタイミングで、俺は思い出した。


「そういえば奏、昨日、俺の部屋に忘れ物しなかった?」


 鞄を漁りながら、俺は尋ねた。


「……」

「……奏?」

「あー。……うん。充電器、忘れたかも」

「そうだよね。はい」


 俺が鞄から取り出したACアダプタを差し出すも、奏はそれを中々受け取ろうとしなかった。


「別に、ACアダプタくらい、あっくんが使ってくれても良かったんだよ? 消耗品だし」

「駄目だよ。こういうことは、キッチリしないと」

「……」

「他でもない君とだから……キッチリとしたいんだ」

「それなら仕方がないねっ!」


 さっきまでの渋り具合から一転、奏は満面の笑みで、俺の手からACアダプタをひったくった。

 

「あっくん! 何ボーっとしているの! ほらほらっ、早く学校に行こうっ!?」

「……急にめっちゃ元気じゃん」


 再会を果たして一日と少し。

 俺はまだ生還した奏のテンションに追いつき切れていないようだ。

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