表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
余命宣告を乗り越えた幼馴染の愛が重い  作者: ミソネタ・ドザえもん
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/23

19.満を持して

 遠くからそよ風が木の葉を揺らす音が聞こえている気がする。

 奏の膝枕の感触を後頭部でしかと感じながらつく眠りは、中々に極上な体験だった。


 一体、どれくらい俺は眠りについていただろう。


「あっくん、そろそろ起きて」


 奏に呼ばれて、頭の中がボーっとする中、俺は目を覚ました。

 眠さのあまり、目を擦りながら、俺は上半身を起こした。


「……おはよう、あっくん」


 薄目のまま、周囲を確認した俺は、近くにいる奏に気が付いた。

 奏は笑顔を見せていた。

 しかし、随分と違和感を感じる状況だった。


 さっき俺は、奏の膝枕で眠りについたはずだったのに……どういうわけか、今、俺はベッドの上で眠っていた。

 ベッドのある場所をよく見ると、薬品や白いカーテンが視界に飛び込み、ここが保健室であることに気が付いた。


「……どうして保健室に?」

「あっくん。あまりに熟睡していたから、保健室まで運んだの」

「え。そうだったの?」

「うん。保健室の先生も、日頃頑張り過ぎたんだろうねって言ってたよ」

「……っていうか、今って何時?」

「十七時」

「ガッツリ放課後じゃん……」

「……ごめん」


 奏が申し訳なさそうに謝罪をしてきた。


「どうして奏が謝るのさ。悪いのは、根詰めすぎた俺だろう?」

「……」


 奏は微笑んでいるものの、額に薄く汗を掻いていた。


「……午後の授業はサボっちゃったわけか」

「ごめんね?」

「だから、謝らないで? 大丈夫だから」


 俺はベッドから立ち上がった。


「あら、もう大丈夫なの?」


 立ち上がった拍子に、保健室の先生から声をかけられた。


「はい。ご心配をおかけしました」

「ううん。でも、あんまり根詰めしすぎたら駄目よ?」

「はい」

「あなたが勉強熱心なのは教師陣では有名な話だけど……まさか睡眠不足に陥るまで勉強に耽っていたとはねえ」

「……ごめんなさい」

「まあ、これに懲りたら少しは自重しなさい? 可愛い恋人をあんまり心配させないように」


 保健室の先生の発言に……。


「こ、こいび……っ!?」


 奏は顔を真っ赤にさせていた。


「……あはは。それじゃあ、失礼します」

「はーい。お大事にー」


 俺は歩き出す。


「奏……?」


 しかし、すぐに背後を振り返った。

 奏が顔を真っ赤にさせたまま、その場に立ち竦んでいることに気付いたためだ。


「……はっ」

「あ、気が付いた」

「そ、それじゃあ帰ろうか。あっくん」

「うん」


 俺達は保健室を後にして、廊下へ出た。

 さっきまで空は雲一つない快晴だった空は、今では夕暮れで真っ赤に染まっていた。

 今日も今日とて、校舎からは吹奏楽部の奏でる音色が聞こえてくる。


「あっくん」


 背後にいる奏から声をかけられた。


「何?」

「ごめん。すっかり忘れてたんだけど、はい」

「ん?」


 奏は俺にスマホを手渡してきた。

 

「……え」


 よく見たらそれは、俺のスマホだった。

 ……一体どうして俺のスマホを奏が持っているのか?


「……うふふ。あっくんが寝ている間に、ポケットから落ちそうだったから、預かっておいたの」

「……」

「……」

「……なんだぁ。そういうことか」


 俺は安堵のため息を吐いた後、奏からスマホを受け取った。


「てっきり奏が俺のスマホに工作をするために一旦借りたのかと思ったよー」

「……うふふ」


 ま、奏に限ってそんなことするわけないか。

 

「さて、さっさと教室に戻って、帰宅しようか」


 まだ頭の中はグワングワンしているし、今日は早めに寝ようと思った。

 ……ただ、ちょっと面倒だと思っているのが、教室に帰ってクラスメイトに声をかけられないか、と言うことだ。


 いくらクラス内に友達がいない俺でも、午後の授業をずっと休んでいたとなれば、居残りのクラスメイトから心配される可能性だってゼロではない。


「……あれ」


 と思ったら、教室には一人としてクラスメイトが残っていなかった。


「あ。そういえば今日は、皆で親睦会に行くって言っていたよ?」


 ……そういえば今朝、吉平君がそんなことを言っていたような気がする。


「そうか。……それは楽しんでいるといいね」

「もしかして、あっくんも行きたかった?」

「……うーん」


 俺は一瞬悩んだ。


「いやまったく」


 しかし、特別仲の良い人がいるわけでもないクラスメイトと親睦する意義をやはり感じず、俺は返事をした。


「それこそ、奏は良かったの?」

「え?」

「誘われたんでしょう、奏も。親睦会」

「……ああ」


 奏は納得した後、微笑んだ。


「あたしも別に……あっくんといれればいいかなって思ったから」


 ……その奏の微笑みに、気付けば俺は見惚れていた。


「そっか」

「うん」

「……じ、じゃあ、帰ろうか」

「うんっ」


 俺達は仲良く帰路についた。

 帰宅後は奏は我が家で夕食を食べて、勉強会をして、帰宅していった。


「あれ……?」


 奏を駅まで送った後、ポケットに入れていたスマホを見て、俺は驚いた。

 いつもならこの時間帯には、スマホのバッテリーは大量に残っているのに。

 今日はもう十パーセントも残っていなかったのだ。


 今日なんて午後からはほとんど寝ていて、スマホの使用時間はいつもよりも短かったはずなのに。


 ……不思議だなぁ。

第五章終了です

何かと陰謀論に振り回される人が多い世の中で、あっくんは他人に疑問を抱かないメンタリティの持ち主なのだ。

褒められたもんじゃねぇな


評価、ブクマ、感想よろしくお願いします!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
【ベストアンサー】 Q.幼馴染がスマホを貸してくれなくてゴニョゴニョ…なアプリがインストールできません  どうしたら良いでしょうか A.睡眠薬で眠らせてる内に仕込む
不思議だなぁじゃないよ! もっと理由考えろよ!
仕込んだな(意味深) ポンコツ幼馴染はあっくんだったか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ