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余命宣告を乗り越えた幼馴染の愛が重い  作者: ミソネタ・ドザえもん
第五章

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18/22

18.サプリメント

 奏に導かれてたどり着いた人気のない場所は、校庭と校舎の間を進んでいき、ゴミ捨て場を更に超えて、鬱蒼とした木々の奥。そこには、随分長い間使用されていなさそうな焼却炉があり、焼却炉のそばには色あせたベンチが置かれていた。

 

「ここだよ」

「君、中々すごい場所を見つけてくるね」


 焼却炉に到着する手前にあった鬱蒼とした木々らへんから、ズイズイと進んでいく奏に対して、マジか……と動揺を隠せなくなった。

 開けた空間になっている焼却炉周りは全然だが、木々の間を抜ける時は、結構な数の虫と遭遇させられたのだ。


 俺は昔から虫が嫌いだった。

 ただ、思い返せば奏は……昔から、虫が好きだった。特にカブトムシとか、夏休みの度に採集に付き合わさせられた気がする。


「でも、ここなら誰も来ないよ?」

「そりゃあ、来ないだろうね」


 学校に備え付けされているような小型の焼却炉は低温のため、ゴミ焼却のために有害物質が発せられるため、今ではほぼ全ての学校から焼却炉が失われたと聞く。

 事実、俺もこれまでの学生生活。小、中と学校で焼却炉なんて見たことはなかった。どこも撤去していたのだろう。


 ……しかし、恐らくこの学校は資金難だったのか、焼却炉が撤去出来なかった。

 撤去のためにはさっきの鬱蒼な木々を伐採しなければならないから、費用が余計に嵩んだ、とか……?


 まあともかく、恐らくこの焼却炉は現職の先生さえ扱いに困っているだろうことは想像に難くない。

 それか、既に現職の先生は……俺達学生と同じく、この焼却炉の存在を覚えてすらいないかもしれない。


「……あっくん」

「何?」

「人気のない場所だよね、ここ」


 奏の再確認。


「なんでもし放題だね、ここ」

「あはは。確かにそうだね」


 勿論、何もしないけど。

 能天気に笑っている俺の頬に、奏の熱視線が刺さっている気がした。

 ……熱視線と言う割には、奏の視線は、ジットリしている気もした。


「お昼、食べようか」

「うん。……と言っても、俺、いつも学食で食べているんだよね」


 両親は平日……はおろか、度々休日さえ仕事に出掛けるくらいのワーカーホリック。

 俺もお弁当作りは億劫だったので、学校では学食でお昼ご飯を食べていた。


「そうだと思ってね」

「奏?」

「はい」


 一足先にベンチに座っていた奏が、くまさんの巾着袋を渡してきた。


「お弁当。あっくんの分も作ってきたの」

「……えっ」

「あっくん。あたしのお弁当、食べて?」

「……」

「……」

「いいの? なんだか悪いなあ」

「うふふ。これくらいお安い御用だよ。他でもないあっくんのためだもの」


 俺は奏の隣に腰を下ろしつつ、彼女からお弁当を受け取った。


「ありがとう」

「いいえ」

「じゃあ、食べようか」

「うんっ」


 俺達は巾着袋をほどいて、お弁当箱を取り出して、蓋を開けた。


「うわあ……」


 奏の用意してくれたお弁当は、ご飯。麻婆茄子。卵焼き。アジのから揚げ。ナポリタンが入っていた。


「あはは。図ったように俺の好物ばっかりだ」

「本当? 良かった」

「頂きます」


 俺は奏お手製のお弁当を食し始めた。

 彼女のお弁当の品々はどれもとても美味しかった。味付けは、どことなく母に似ていた。

 もしかしたら今朝、俺が起きるよりも早く家にいた時に、母と一緒にお弁当の準備をしていたのかもしれないな、と思わされた。


「……あ、あっくん」

「え?」

「……どう?」


 よく見たら奏は、お弁当にまだ箸を一口もつけていなかった。

 それどころか、緊張しているような面持ちを見せて、俺がお弁当を食べている様子を見守っていた。


 ……ああ。

 いくら鈍感な俺でも、奏の意図を理解した。


「奏、すごい美味しいよ。ありがとう」

「……良かった」


 奏が胸を撫でおろした。


「美味しい。本当に。毎日食べたいくらいだよ」

「わかった。これからは一生毎日用意するね」

「あはは。本当? 嬉しいなあ」


 ……ん?

 一生?


「あっくん。あっくん」

「何?」

「今日のお弁当さ、一つだけ失敗だったと思う部分が実はあってね?」

「え、全部完璧だと思うけど?」

「ううん。栄養バランスが偏っているなって」

「……ああ」


 確かに、今更だが奏の作ってくれたお弁当には、あまり野菜が入っていない。

 

「ごめんね? これからは気を付ける」

「大丈夫。むしろ、色々気にかけてもらってごめん」

「ううん。……そこでなんだけどね?」


 奏は持っていた小さ目のポーチから錠剤を取り出して、俺に差し出した。


「……これは?」


「ただの。サプリメントだよ?」


「そっか。ただのサプリメントか」


 なら、わざわざただの、の部分を強調する必要はないような?


「ごめんね。今日はこのサプリメントで……足りない栄養素を確保してもらえる?」

「……」

「……」

「うん。わかった」

「うふふ。うふふふふ」


 奏は水筒を取り出して、俺に差し出した。


「はい」

「奏は本当、気が利くなぁ」


 将来、良いお嫁さんになりそう。

 そう思いながら、彼女の差し出したサプリメントを飲んだ俺は……。


「……ふわぁあ」


 お弁当を食べてしばらくした頃に、猛烈な眠気に襲われた。


「あっくん。眠い?」

「……うん」

「……大変。きっと勉強をしすぎたのね」

「……そう、かな?」

「そうだよ。……少しの間、眠ったらどうかな?」


 奏は自らの膝をポンポンと叩いていた。


「頭、のっけていいよ?」

「いいの?」

「うん」

「……じゃあ、失礼します」

 

 奏の膝に頭を乗せると……枕以上に柔らかい感覚に、眠気が一気に深まった。


「……ぐー」


 まもなく、俺の意識は遠のいた。

 ただ、上部から冷たい視線を感じるのは……気のせいだろうか?

なんでもし放題な場所とは言ったけど……お前が何かする方かよ

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― 新着の感想 ―
これ明らかに一服盛っ……いや…もう少し様子を見よう。 俺の予感だけでみんなを混乱させたくない。
一服盛るくらい造作もないですよね 両親そろってワーカホリックってくらい働いてるのに留学と予備校どっちもは経済的にダメ ……妙だな 稼ぎを何に使っている…?
昏睡レイ(ry
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