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第2話 門番に大爆笑された

 2週間ぐらい、道に迷いながら――ていうか、道が見つからなくて、さまよった。

 んで、ようやく街にたどりついたわけだが。


「……やっべー。お金もってねーわ……」


 目の前には街がある。

 防壁に囲まれ、門番が立っている。

 門の上には「ベジタブルヘルズ」と看板が出ている。

 これって、あれだよな? 中に入るためには税金払えとか言われるやつだよな?

 んでもって、ここへ来るまでに助けた商人だとか貴族のお嬢様だとかに貰ったお金だかアイテムだかを使って無事に中に入れました、て感じになるシーンだろ。


「出会ってねーよ! 商人にもお嬢様にもォ! どーすんだ、畜生めぇぇぇ!?」


 お金がないと中に入れない。

 中に入らないとお金を稼げない。

 ……詰んでね?


「おい貴様! 何をひとりで騒いでいる!? 怪しい奴め!」


 うぉい!? 門番に見つかったぁ!?

 どどどどどうしよう!?


「あっ……あっ……あの、えっと……!

 い、い、田舎から出てきたばっかりで……その……勝手がわからないもんで……えへへ……ど、どーもすいやせん」


「田舎からァ? そんな立派な格好して『田舎から出てきた』ねぇ?

 どこだ? どこの村から出てきたんだ?」


 ぎくううううっ!?

 て、てめーの装備がザコすぎんだよォーッ! レベルカンストしてんだから、こんぐらいの装備で当たり前じゃねえかッ! 集めるのにどんだけ苦労したと思ってんだテメエーッ!

 ……とか言えるはずもねぇぇぇ……!


「えっ? えっ? あ、あの……その……えーっと……」


 チクショー! なんでだよッ!? 普通これで誤魔化せるだろ!? 俺が履修したラノベだとそんな感じだったぞ!?

 どうする? 適当な名前を言ってみるか? でも「そんな名前の村は聞いたこともない」とか言われて、ますます怪しまれるんじゃ……?


「ええい、怪しい奴め! 大人しく縛に付け!」


「え……ちょっ……あの……!」


「大人しくせんか! 詰め所でネッチョリ調べてやるわ!」


「ね、ネッチョリ……!? え? 何? 何されるの俺!? やだ! 怖いんだけど!?」


「さっさと来いッ!」


「アッ――!」



 ◇



「だァーッはっはっはっ! ひーっ! 苦しい! 腹イテェ!」


「バカだ! バカがいる! 見たことねェよ、こんなバカ!」


 詰め所。

 取り調べを受けた俺は、正直に話して門番に大爆笑された。


「あのな、この街は入るのに税金いらないんだ」


「領地の境目にある街だけでいいんだよ、そういうのは」


「そ、そうなのか……?」


「『あの、その……気づいたら草原にいて……お金がないので、街に入れないと思って……』

 バっカでぇー! そのままタダで入れるっつーの! 第一、わかんねーなら聞きゃあ良いじゃねーか! それをオマエ……くっくくくっ……ひ、独りで勝手に困ってやがる! ぎゃはははは!」


「ぶはははははは! やめろー! 腹がよじれる! 俺を殺す気かぁ!?」


 こ、こいつらぁ……! そんなに笑わなくてもいいじゃねーか……!

 ぐおおおお……! が、我慢だ……! ここは我慢だぁぁぁ!


「そ、それで、そのぉ……お金を稼ぐには、どうしたら……?」


 聞けというから聞いてみたら、門番たちはキョトンとして俺を見た。

 そして一拍置いてから、また腹を抱えて笑い出した。


「だーっはっはっはっ! そんなもん、働きゃあいいじゃねーか! 没落したばっかの貴族のお坊ちゃんかテメーは!」


「僕ちゃん働いたこと無いんでちゅかー!? これから生きるの大変でちゅねー! ぎゃははははは!」


 うん? 貴族の坊っちゃん?

 この装備って、そんなふうに見えるのか? 椿の職業は「罠師」なんだが。

 どっちかっつーと、狩人とかに見えるんじゃねーのかな。弓とか持ってないけど、ほら、デザイン的にさ。

 あまりにも「装備の質」に対する認識の格差がありすぎて、さっきまでの怒りがどっか行っちまったよ……こいつら貧弱な装備しか知らなくてカワイソーになってきたな。

 高レベルプレイヤーの高性能な装備を見て「デザインだせぇ」とか笑ってる初心者プレイヤーみたいな感じ? ちょっと痛々しいというか、でも知らないんだからしょうがないよねーと子供が調子こいてるのを苦笑して見てる感じというか……。


「あー……いや、その……仕留めた動物とか買い取ってくれるところがあると助かるんだけど……」


 そう言うと、門番たちはまたピタリと笑うのをやめて、顔を見合わせた。

 それから一拍置いて俺を見る。

 で、また腹を抱えて笑い出した。


「だぁーははははは! マジかよコイツ!? 冒険者ギルドも知らねーのか!?」


「ぎゃはははは! どんだけ笑わせてくるんだよ! もーいいよ! もうお腹いっぱいだって!」


 うん。やっぱりムカつくわ。全然カワイソーじゃあねえな。

 しばらく下痢になる罠とか仕掛けてやろーかな。

 ……まあでも、とにかく、この世界のことがちょっとずつ分かってきた。

 冒険者ギルドって、よくあるアレだよな。とりあえず行ってみよう。


「じゃあその冒険者ギルドに行ってみますね。

 疑いも晴れたし、もう出てってもいいっすよね? あ、冒険者ギルドの場所は?」


 聞いたらまた笑われた。 

 冒険者ギルドは、どの街でも同じ場所――中心部にあるらしい。

 人・物・情報が行き交うハブみたいな場所になるわけだから、考えてみたら当然っちゃ当然だな。市役所や駅みたいなもんだ。



 ◇



 教わった通り中心部へ向かうと、冒険者ギルドがあった。

 ドドンとでかい看板が出ていて、とても分かりやすい。

 さて、それじゃあ中へ――


「バラン! しっかりしろ! 誰か! 回復魔法かポーションをくれ!」


 うん? なんか騒がしいな。

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