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第11話 リゾットとメタリッカー

「小豆は手に入った。次はもち米だ。

 米ダンジョンに行くぞ」


「もち米……スティッキーライスっすね。

 米ダンジョンの第6階層っす」


「米ダンジョンの魔物は、第1階層から順に、インディカライス、エンシェントライス、ライスワインライス、ジャポニカライス、ローアミロースライス、スティッキーライスよん、ア・ニ・キ♪」


 インディカ米、古代米、酒米、うるち米、低アミロース米、もち米……。


「とりとめがねェな……いや、そうか、粘り気の弱い順に並んでやがるな? となると、もち米より深い階層には何が出るんだ?」


 低アミロース米は、うるち米ともち米の間ぐらいの粘り気をもつ品種で、冷めても柔らかい。つまりお弁当向きの米だ。

 インディカ米はタイ米とかの細長い粒の品種だな。一時期コメ不足で騒動になって輸入した時があったが、たしかパラパラのチャーハンを作るのに向いてたっけ。うるち米みたいに炊いて食おうとすると若干パサパサしている。

 酒米はよく分からん。酒を作る用の品種だから、そのまま食う人は少ないだろうし。


「へぇ〜、そんな順番なんすね」


 バランが感心する。

 勉強しろテメエ! 料理人が食材の知識足りなくてどうすんだアホが!


「第7階層からは、もう一度インディカライスからのループよ。強さは段違いになるけどねん」


「ああ、そういう……」


 ゲームでよくある、同じグラフィックの使いまわしだ。

 プレーヤーとしては、新しいグラフィックを用意するのが面倒だったのか? と開発チームの怠慢を疑ってしまうが、実際には「データ量を抑える」という目的でおこなわれる事が多い。

 初期のスー〇ーマ〇オなんかは、その最たる例である。1体のキャラクターを上下左右に4分割して、必要な部分だけ別のグラフィックに差し替えて描写したり、ステージクリアのSEと死亡時のSEは再生速度を変えただけの同曲だったりする。

 また、銃撃戦を描写すると飛び交う弾丸の描写で負荷が大きくなるから、と戦闘を避ける方向で作った銃撃アクションゲームが、かの有名なメ〇ルギアだったりする。

 しかし現実になったこの異世界で「データ量」だの「負荷」だの気にする必要があるか? 創造神みたいなやつがいて本当に気にしているとしたら、この世界は超高性能のコンピューターが演算する壮大なシミュレーションかもしれない。

 ……ま、実際にはもっとシンプルな理由だろうけど。人間がレベルアップできるのに、魔物がレベルアップできない道理はねェわな。


「しかし、サムソンは随分くわしいな。

 その調子で頼むぜ。俺はお前らに案内を期待してんだからよ」


「兄貴ィ♪」


 サムソンが抱きつこうとしてきた。


「やめろサムソンてめえ! せめて外では控えろよ!?」


「サムソン、迷惑をかけるのはダメだよ。兄貴も『余った分は他の人を助けろ』『嫌がる仲間に無理やり食わせるぐらいなら、公園にでも行って無料配布してこい』って言ってたじゃないか。兄貴に恩返しを押し付けるのはダメだよ」


 じゃれ合っていると、サムソンがじろりとどこかを睨む。

 その視線を負ってみると、昨日の……ローズだったか? 見た目だけは好みの女がいた。なんかしらんが不利を悟ったような顔して立ち去っていく。パーティークラッシャーは次にどこへ行くのか……できればもう会いたくねェな。



 ◇


 つーわけで、米ダンジョンだ。

 ベジタブルヘルズ伯爵領に米ダンジョン。日本人としては「米は野菜じゃねえだろ」と言いたくなるが、ヨーロッパでは米は野菜として使われると聞いたことがあるような気がする。

 ハンバーグの添え物にブロッコリーとかニンジンとかコーンとか付ける感じで、米を付けるらしい。コーンも穀物の一種なんだから、と考えると、そんなに不自然なことでもねェのかも……。なんかポテサラの代わりにおかゆとか出てきそうで怖いな。

 とはいえ、リゾットとかパエリアってのもあるわけだし、必ずしも野菜扱いってわけじゃあないのかもな。


「……え? メタリカ? 何の話だ?」


「メタリッカーっすよ、メタリッカー!

 金属っぽい色の特殊個体っす! 金銀銅に似た3色があって、実際にはオリハルコン・ミスリル・ヒヒイロカネでできた体をしてるっす! 固くて倒すのは大変っすけど、一攫千金のチャンスっすよ!」



「は? え? あいつが?」


 目の前には金色の稲穂をもつうるち米。

 第4階層だ。


「金色の個体……オリハルコンね。

 あの量なら、ナイフの1本ぐらい作れるかしら? だいぶ高く売れるわよォん」


「そうなのか!? よしっ! まずは連結の罠で逃さないようにして……」


 高く売れると聞いちゃ黙っていられねェ!

 連結の罠でガチガチに固めてから、傷つけないようにじっくりと……ぐふふふ!


「あっ、逃げたっす」


「なにィィィ!? 行動阻害耐性だとォ!? こんな浅い階層で!?」


「兄貴、メタリッカーは『固い』のよ。耐性だってモリモリに盛ってるわ」


「な、なら埋没の罠で移動速度を下げて……! ああっ!? ダメだ! 移動阻害耐性まで持ってやがる!」


「あ、兄貴とメタリッカーの相性が悪すぎる……」


「初めて兄貴の弱点を見つけたわァん。うふふ……兄貴ったら、可愛いわねェん」


 うるせー! ぶっ殺すぞサムソンてめえ!

 こうなったら高火力のスキルで耐性もろともぶん殴っ……だ、ダメだ! 埋没の罠と連結の罠で作った簡易アイテムボックス……! あの中にあるアイテムが損壊する!

 よくあるアイテムボックスと違って、別の空間に収納してるわけじゃあねェからな。単に地面に穴ほって投げ入れただけの状態で「穴ごと引きずって」運んでいるわけだから、高火力のスキルだと爆風とかが穴の中まで入り込む。

 普通なら爆風ってのは「下」にはあんまり行かねェんで、穴ほってその中へ隠れるってのは有効なんだが、爆発の威力が戦車の主砲ぐらいもあると話が変わる。爆風を防いでくれる地面もろとも吹っ飛ばしちまうからだ。


「畜生めぇぇぇ! 俺のカネぇぇぇ!」


 逃げられた。

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