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菜摘未の思惑1

 境田は菜摘未に、日本酒百本を景品付き限定販売に小谷も乗り気だとメールを送ると、直ぐに会いたいと返信を寄越した。今までにない素早い反応に、これは恋じゃない商売だと、思いながらも境田は飛び上がった。

 実際メールの送受信して一時間後には、龍馬通り商店街の喫茶店に二人は顔を合わせていた。

 菜摘未が穏やかな表情で迎えてくれたのは、境田には珍しく前代未聞だ。いつも喧嘩腰とはいかないが、顔がほぐれるのに境田は時間を要した。入って来るなり笑顔で迎えられると、お尻までこそばくなる。しかもどうだったと、優しく確認を求められれば、気持ちは天界を彷徨さまよってもおかしくない。

「何か嬉しそうですね」

 注文した珈琲に一口吐けて境田は抑え気味に切り出した。

「あの人商売っ気がないのよ、だから御用聞きみたいなことしかやってないのに、賛成するなんて思ってもいなかったからよ」

 そうか、それで境田はピンと来た。小谷さんはこの商取り引で、どうやら香奈子さんに会えるのが、最大の理由だと理解した。目の前の菜摘未さんはどうリンクするのか、恋のライバル意識なのか? なら俺の出番はあるのだろうか。此処はもう少し恋の手ほどきをしてくれた小谷さんの真意を確かめないと、この恋の成就は望めない。その前に二人の関係も、此の機嫌の良さにつけ込んで、聞ける所まで訊きたい願望が湧いた。

「どうして菜摘未さんは小谷さんに拘るんです」

「あなたはあの頃のままで、いやに他人行儀な喋りかたね」

 此の人はいつ変わったのだろうか。いや、そんなことはない、いつ急変するか解らない人なんだ。

「今は煩わされないようにしてますから」

「なにッ、あたしがいつわずらわせたと言うのッ。まあそれは置いといて」

 ヤレヤレいつもの彼女の片鱗が出るか、と思った瞬間に引っ込められた。

「そんなことを訊くために来もたんじゃないから、あの堅物な小谷さんがどうして賛成したのかと思って……」

 ハッキリと承諾したわけではない。ただ、いい感触を掴んだだけだから、今は彼女の出方を知りたい。


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