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境田が語る菜摘未5

 高校生になるまでは何を考えているのか分からない子だった。それを十和瀬に一度訊ねた事があった。

 ーーあれは口数が少なく見えるが、その分かなりのお前の事を鋭く観察している。

 ーー何のために。

 ーー俺たち兄弟とは相容れない人物だと観ているんだろう。

「十和瀬は余りにも抽象的すぎて具体的にはなにも指摘しないから、その頃はぼんやりとしか菜摘未は解らないが、大学生になった頃からいやに積極的に俺の前で振る舞うようになってもそんなおどけた身振りは一度も見せなかったんだ。だから境田さんは特別視されてないのか?」

「特別視? 普通でないものの見方が菜摘未さんにはあるんですか?」

 彼女は負けん気が強い。それは競技でなく、心、気持ちの問題だ。こうした方が美しく観える。こう囁いた方が人の耳には心地良く伝わる。こう説得すれば人は頷いてくれる。同じ屋根の下に居る十和瀬さえその判断がつきにくいものを菜摘未は心得ているんじゃないか。そんなものは受け取る人に依って価値判断が違う。ある人は心地よくてもある人にはつまらなく見える。恋と言うのもそんなもんだ。人はそれぞれ変わらない目標、信念がある。その人に関心を持つのなら、その信念を掴めばいい。

「彼女が何を欲しているか、それは無意味な行動にもある。それを見極めれば、自ずと恋は引き寄せられる」

 俺の目の前でおどけて役者の真似事をするのが、特別視って言うのなら、そんな菜摘未さんが目標とする恋ってなんなのだろう。

「菜摘未さんの普段の癖とは違う無意味な行動に何かあるんですか?」

「思い当たる節でもあるのか?」

「例えば猫です」

 何だそれはと変な顔をした。構わず境田は続けた。

「まあ可愛い」

 と彼女は手招きして捕まえて暴れ出すと、ネコの首筋を掴み「可愛くないわね」と塀の向こうへ投げ捨てた。


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