表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/177

境田が語る菜摘未2

「それって、どうしてそこまで彼女の気持ちを引きつけられるんですか」

 恋は心のシーソーだ。出会った時は丁度真ん中で釣り合いが取れて、真ん中で推移している。それが次第に気持ちの持ちようで、どちらかに傾くと、もう一方は浮いて来る。押せば引く、引けば押す。常にそうなればまどろっこしくなり、恋は惚れた方が負けだと言う。この場合どっちが牽引車になって走り出すかだ。

「そのうちに菜摘未が、その恋の駆け引きに苛立って積極的になり誘って来たんだ」

 境田には、小谷のために菜摘未がウキウキランラン気分で、玄関のドアを叩く姿が想像できない。

「毎日来るんですか」

「仕事もあるからなあ、来られないときはごめんねとメールを寄越してた」

「そんなメールなんて、一度もない。来るのは奢ってと云う催促ばかりだ」

 お陰で懐はいつも寂しい。

「虚しいデート生活を送っているんだなあ」

「今は慣らし運転と思って、まだそこまで気持ちは行ってませんよ」

 まさか手も握らされてないのか。まあそれは菜摘未の気性からして有り得ないだろう。なんせ思いついたら、激情の女だけに、相手構わずに感情が表に出る。これも有史以前記録のない御嶽山の噴火のように、いつやってくるか誰も知らない。あの噴火は日曜の昼の昼食時で悲惨な結果だった。

「暇だから付き合ったげる、そんな雰囲気を滲ます時が結構あるんですよ」

「何だそれは」

 此の辺りになると菜摘未に関しては、完全に小谷の優位性が際立って、境田は劣勢に立たされている。

「それでもいいんです。一緒に隣を歩いていればゴールにいつかは辿り着けるでしょう」

 それまで心変わりしないで待つなんて、何ともはや気の長い話だ。そもそも大学時代に顔見知った仲だそうだが、おそらく遠くから眺めていて、偶に挨拶ぐらいは交わす程度だ。それが卒業後に急に声を掛けられた。それから始まった交際なら、あばたもえくぼの例えで、菜摘未の何がいいのか気になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ