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香奈子に聞く3

「香奈子さんは小学生の頃から菜摘未を知ってるんでしょう」

「でもそれは小谷さんもそうでしょう、お兄さんから聞いたけれど」

「十和瀬が言ったんですか」

「意外とあの人は色んな事を教えてくれるのよ」

「いつから」

「多分菜摘未ちゃんからあたしのことを色々と訊いているうちに関心を持ったみたい」

「だけど俺は十和瀬とは十三年の付き合いだが彼奴あいつが香奈子さんを紹介したのは半年前だ、それまでもう一人妹がいるなんてどうして黙ってたんだろう」

「言いにくかったんじゃないかしら」

「大学生になってもか、いっぱしの大人がそんなもん気にするか」

 他人の話ならいいが、身内のしかも両親の浮気話を、子供時分は気が引けて言えない。大学生ともなれば気の合う者なら、親近感を伴って耳に入れても何の違和感もない。問題は腹違いの妹の存在を十和瀬は躊躇ちゅうちょしたのに、突然菜摘未の為という理由づけで告白したあいつの真意が未だに掴めなかった。

「お父さんの浮気話は菜摘未の怪我で突然知った時、十和瀬はどうして俺に今まで黙っていたんだ。別に言っても同情こそしても彼奴あいつの人格に差し障るはずもない」

「貴方の人柄は兄も十分心得ているから、この件で云っても言わなくても友人として何らかの影響がなければ掻き回されたくないのよ」

 そっとしておいて欲しい、それが兄の心境だと彼女は理解している。

「だとすれば十和瀬が、あなたを妹の為に利用した根拠が、境田を哀れむ気持ちから出ているのならお笑いぐさだ」

 別れさすのに小谷を香奈子に紹介する、そんな遠回しをしないで直接妹に意見すればいいものを、十和瀬は滑稽な演出家だ。

「それは全て菜摘未ちゃんの性格から兄が取った処置でしょう」

 希実世さんは、そんな過激な行動に出ないのに、自分が煩わしくなければ、他人事ひとごとと思えば十和瀬は勝手に独走するところがあった。


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