香奈子に聞く2
菜摘未は此の勘違いで、思いも寄らぬ行動を取らされて困惑をきたす事もある。確率は半々だから熱意がまだ残っていればおそらく境田と謂う男も、その気まぐれに期待してやって来たのだ。菜摘未にそれほどの価値を見出せない者だけが、彼女の気まぐれから逃れられる。
「あの子はお父さんに似てるのかなあ」
「そんなことはないでしょう。鴈治郎さんはうちの母と向こうのお母さんと同じように愛したが、それに比べて菜摘未ちゃんはそんな器用な人ではないでしょう」
二人の女性を均等に愛したつもりでも、愛を受け止める側の価値は人様々だ。
「それだけ菜摘未は一人の人を真剣に愛せるのか?」
「それも当てはまらない」
千夏の意見に小谷も同感だ。
「取り敢えず来たバスに乗って、目的地が代われば乗り換えればいいって考えるタイプだと想うけれど」
子供の時から答えが出る算数には熱心に取り組むが、幾通りにもある答えには深く取り組まない。でも思い込むととことん追求するアンバランスな処があの頃はあった。それが菜摘未が人を想う気持ちで、恋愛には躊躇なく現れている。今回もその一環じゃないかと考えていた。菜摘未が境田を振った本当の原因には香奈子は気付いていない。単に菜摘未の気持ちが萎えただけなんだろうと理解している。
「香奈子さんは菜摘未の心変わりの原因を知っているの?」
以前、聞いて返ってきた答えは、人を好きになるのも嫌いになるのもその人の自由で、それをどうして理由づけするのか解らないと言われた。ああ、此の人はまだ人を真剣に好きになったことがない人なんだ。それだけに此の人も後戻りしょうとはしない。つまり恋に目覚めたら突っ走るんだ。同じ情熱でも香奈子は知性で引っ張られるが菜摘未は直感的だった。




