十和瀬の新居2
「こうやって此処で吸えるのも子供が出来るまでだなあ」
「何言ってんだ、もうお腹の子には悪いぞ」
そうかなあ、と言いながらも全く気にしていない。この辺の配慮のなさが此の先に大きく響かなければよいが。
「どうだ希実世は、ちゃんと憶えていただろう」
おそらく菜摘未が吹き込んだのだろう。しかしあの時は別の男と付き合っていながら小谷とも付き合っていた。小谷は十和瀬を通じて、彼女とは自然と接して居るだけだが、それ以上に菜摘未の好感は薄々感じていた。
「多分、菜摘未が希実世さんとよく喋って、俺の宣伝もしてくれたのだろう」
「菜摘未か、彼奴はふらふらしていて処置なしだなあ」
此処で煙草を吹かす十和瀬の方が処置なしだ。
「菜摘未ちゃんがどうかしましたか」
紅茶を淹れたカップを三つトレーに載せて希実世が来ると、彼女はロウテーブルに紅茶を配膳してトレーを脇に置いて十和瀬の横に座った。
「お前が小谷の事を憶えていたのは、妹が吹き込んだお陰だと言ってたんだが、そうなのか」
あの人可愛い人ですねと、希実世はウフフと笑いながら小谷を見て言った。これに十和瀬は眉を寄せている。
「あれはぶりっ子なんだよ」
十和瀬は希実世に説明しても「アラそうかしら」と彼女は小谷の顔を見ながら「中々いいセンスを持っているわよ」と菜摘未を持ち上げる。
「あれから菜摘未とは会ってるんですか」
訊かれた希実世は、小谷を不審に思い夫の顔に視線を落とすと、呼び捨てなんですかと彼に迫った。
「妹が小学生の時から小谷は知ってるんだ、勿論最初はちゃん付けだったが悪戯好きな妹に時々は呼び捨てにしていると、それがそのまま今まで続いてしまったんだ」




