香奈子と千夏3
「でもそれも今では意地の張り合いでしょう」
「さあどうでしょう、あの人の場合は浮気されたのだからそのひと言で片付けられないわよね」
「その娘が菜摘未か。背筋が寒くなるなあー」
「アラッ、どうしてなの?」
「いや、何でもないちょっと十和瀬が大変だと思っただけだ」
「あの姑、小姑かあー、希実世さんがあの家に居たくない理由はその辺かしら? それ以上に千夏さんの方が大変なんじゃないの?」
「あの人は心配入りませんよ。十和瀬より上手く丸め込んでますから」
「まあッ、人聞きの悪い事を言う人ですね小谷さんは、でもあの人と菜摘未さんは対になっているようね」
何だそれは初耳だ。
「さっきも聞いたが、香奈子さんは千夏さんとは余り面識がないのにどうしてそう言い切れるんだ」
「だからかしら、希実世さんも同じ事を先ず菜摘未さんに頼んでから千夏さんに頼んだのよ」
「それは中々動いてくれずに痺れを切らしたからでしょう」
「いいえ、どっちも計算づくなのよ、ただ順序だてただけよ」
「ハア?」
それじゃあ益々解らなくなる。
「多分千夏さんもそれで気を良くして纏めたようよ」
気さくな人だけれど口添えはしても、そんなに影響力を持っているのか千夏さんは。
「千夏さんには良く会ってるんですか?」
「最初に会ったのは功治さんの結婚式」
「エッ! 呼ばれたんですか、式に」
「式には呼ばれなかったけれど、披露宴では千夏さんがこっそりと席を設けてくれたの『ここに幸あれ』を歌って上げたわよ」
それじゃあこっそりじゃあない、と二人とも笑ってしまった。
「また随分と古い歌ですね」
「出席者に年配者が多かったから、義姉も私の歌を初めて聞いたけど印象に残ったって云ってたわよ」
それで千夏さんには気に入られたのか。




