愛人の存在3
そこで小学六年生の菜摘未が、兄弟が別にもう一人居ると知って、高校生の俺が小学生に浮気をどう説明していいのか、結局兄と二人で兄妹は多い方が良いと納得させた。妹は同じ質問を香奈子にもした。彼女は最低の男がすることだと言うと、じゃあ香奈子さんは最低な男の人の子なの、と言われて何も言えなかったそうだ。
「俺はあの時にちゃんと納得したと思っていたがそうじゃなかったんだ」
妹が大学生の時に男が出来たが、それがあの自転車事故の時に複雑な男女の人間関係の説明が災いして別れた。
「それで自転車も男も上手く乗りこなせないのか、キチッとあの時に説明すべきだったと兄貴と俺は妹には今でも引け目を感じているんだ」
「でも菜摘未が振ったんじゃないのか」
「最終的には妹はうじうじするやつが性に合わないんだ」
「そう言われても俺もそんなにサッパリした男じゃないがなあ」
「あいつは母親に似てるんだ。未だにお袋は君枝さんを許しちゃいないから駅に行くときはあの踏切から大手筋通りの二筋目のあのスナックのあの通りは絶対に通らないんだ」
「菜摘未もか?」
「香奈子に用事のあるとき以外はなあ、妹も君枝さんとは性に合わないんだ。君枝さんは元々は祇園のスナックで勤めていたときにおやじが通い詰めて物にしたんだからなあ」
「そうなんか、それで五十でもまだ粋な色気が残ってるのか」
「ああ、酒の呑みっぷりが凄いからなあ。おやじよりも現役でまだ強い」
「それで菜摘未はどうなんだ。何で希実世さんはお兄さんの功治さんでなく妹にそんな話を持って行くんだ」
「仲が良いからさ、直接おやじや兄貴に言うより話しやすいんだ」
「じゃあ、俺はどう言うわけで呼ばれたんだ。此処までのお前を見ていると大したものではないように見えるが……」
十和瀬酒造の酒蔵が目の前に現れた。




