表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/178

香奈子を誘う2

「ちょっと聞きたい事があるんだけど。こないだまで境田と、ああ、此の前に龍馬像の船着き場で会った人」

「知ってるわ、その人どうしたの?」

 菜摘未の使い走りをさせられてしまって、二人とも今は往生している訳を話した。

「そうなの? あの人、彼女の、何が問題なの?」

 お互いに相手の彼女とは、干渉しない約束と言うか取り決め事を説明した。

「それなら別に問題ないわよ」

 とこうして香奈子さんと親密になれば、境田は何も言えないだろう。

 二人は休日で人通りの多い河原町通を北へ向かって歩いた。香奈子にしてみれば日曜は混雑するのが目に見えているだけに、独りの場合はほとんど来ない。それだけに今日の混み具合にはうんざりしている。

「どこへ行こう?」

 人混みに歩き馴れない香奈子に気付いて、やっと小谷は人混みの鬱陶うっとうしさに辟易したようだ。

「鴨川にはユリカモメが乱舞していたわよ」

「じゃあ、いつもバンクズを投げ与えている、あのおばさんが居たのか」

「あらそうなの、あのおばさんは有名なの?」

「十和瀬の話だとそうらしい」

 此の辺りまで歩くと、さっきまでの香奈子さんを待つ不安が、一気に消し飛んだ。これで境田に盛んに進展をアピールした肩の荷がやっと下りた。

 彼女ともっと親密度を増すためにはどこへ行けば良いか。彼女は着物に関心があり、絵その物が好きで着物の柄になる絵を描いていた。彼女が今まで勧めてくれたのは、なぜか文学小説ばかりだ。本屋さんか図書館では、彼女とゆっくりとお話が出来ない。そうだ、十和瀬に紹介されて最初に伺った時に、彼女は音楽を聴きながら、反物に素描き友禅をやっていた。

「最初の頃はドン・マクリーンの『アメリカン・パイ』を聴いていましたね」

「良く憶えてるわね」

 嬉しそうに返事をされて、うろ覚えなだけに当たりー、と胸が弾んだ。あの時はそれで暫く話が進んだ。調子がいいのか筆運びまでが軽くなっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ