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千夏の考え7

 どこまでも彼女が音を上げない限り、先ず景品の切り子細工のコップを知らなければ話を詰められない。千夏は微妙な間合いで、トコトン追求するつもりだが、菜摘未はもうあの切り子細工のコップは境田に渡し、他には持ってなかった。今は手元になく、似たような物なら新京極のアンティークな店に行けば置いてあるかも知れない。とにかく雑誌やテレビで見た切り子細工のイメージを千夏は想像した。

「それって中途半端な値ではないでしょう。ひょっとしたらうちのお酒より景品の方が高いんじゃないの」

 千夏に言われてみれば菜摘未も、店で買った値段を言うのを躊躇ためらった。

「それは今、先方と交渉中で何とも言えないけども」

「本当に交渉しているの」

 何か胡散臭いと、千夏は菜摘未に問い掛けた。千夏に見詰められた菜摘未はエへヘと照れ笑いを浮かべた。まだ舌を出さないだけましだが適当らしい。と言う事は先方とはまだ詰めた話はしていないようだ。

「それでどこまで話してるん」

「まだ殆どしてないんや」

「ほな、あれは作り話、そんなんで、もし小谷さんが店の人に相談してたらどないすんの、うちの信用はがた落ちになるんとちゃうの」

 このままでは店が成り行かない、が、そこまでして気を惹きたかったのには驚いた。その発想の全てが半年ぶりに見た境田の顔から浮かんだのなら、菜摘未が考える胸の内を知る必要がある。それでも幸弘から訊かされた菜摘未を想像するとウーンと唸りたくなる。

「ねえ、菜摘未さん、菜摘未さんが小谷さん知ったのはお兄さんの幸弘さんが家へ連れて来てからでしょう」

 急に景品の話から急転回させて、千夏は用心深く彼女を覗き込んだ。


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