千夏の考え4
承諾したが千夏は気が進まない。なんせ義妹は一癖も二癖もある厄介者だ。此の家に嫁ぐ前から夫になる功治さんから家族構成は聞かされていた。だが嫁いでから別に妹が居ると知らされた。それを告げたのは、夫でなく義理の妹、菜摘未だった。これにはエッ! と驚いて直ぐに「どうして今まで黙っていたのよ」と夫を問い詰めた。灘の酒造組合にも似たような不倫問題もあって、気分を悪くしてもそう驚かなかった。それが嫁ぎ先でも、となると驚いた。しかも菜摘未は腹違いの兄弟を、更に親しいお姉さんみたいに呼ぶから「何なの此の家族は」と余計に気が動転した。それでも菜摘未さんから香奈子さんを紹介されて、此の人なら菜摘未さんが、あたし同様にお姉さんと親しく呼んでも申し分ないと思った。この様に菜摘未は世間に対する拘りを余り気にしない人だと千夏は感じた。
その日はいつもより遅く起きて朝食を済ませた義父の為に、店の開店時間に間に合わず、朝食の後片付けを義母に任せて事務所に行った。
朝食の後片付けする千夏に義母は「夕べは会合で家の人は午前様で今朝も慌てて出て行ってしもた」
「お義父さんも明け方まで大変ですね」
「どうせまっすぐ帰らず祇園辺りで呑んだんやろう」
「でも灘の酒造組み合いの寄り合いでも、会議が終わると親睦を図るのに付き合ってましたから……」
「祇園でもこんな遅うまでやってる店はおまへんやろう」
と後片付けに負われる千夏に申し訳そうに言って「表の店を開けなあかんさかいに」とキッチンから追い出された。
先に朝食を済ませた菜摘未は、もう珍しく事務所で作業をしていた。
千夏は話の切っ掛けを掴むために、時を見計らって、景品付き限定販売の話を持ち出すと、菜摘未は躊躇した。
「まあそこに座って話だけでも伺いたいの」
事務所内にある応接セットに二人は向かい合って座った。
「なあにー、お義姉さん畏まって」
先ず話を聴いたのが小谷と知って菜摘未は惚けた。いつ席を立つか解らない義妹に、千夏は手短に事業の進捗状態を訊ねた。




