十和瀬の考え2
「それは小谷、お前次第ってことだ」
「俺に責任を転嫁するな、お前がしっかり妹を見てなかったからだろう。しかも見ていないのは菜摘未だけじゃあない。奥さんの希実世さんもちゃんと出来てないんだから」
「お前に言われる筋合いはない」
「嫌にハッキリ言う奴だなあ。まあそう言うところが気に入っているが。問題を戻そう、菜摘未は何を考えているんだ」
「菜摘未は弱みをつけ込まれないために、負けず嫌いを気取って見栄を張ってるだけだ」
「うぬぼれが強いと謂うことか」
「そうじゃない、妹は本当は寂しがりやなんだ。しかしそれを悟られるのが屈辱と受け取るから厄介なんだ」
「同情してもらいたくないってことか」
「まあな、それも妹は中途半端じゃないぞ」
哀しいかなそれを一番理解しているのが境田なんだ。それを解らすために一度引き離す必要があると思った。本当の愛は魂の底から湧いてくるものだと信じてな。
「最近の妹を見ていると図星だろう」
妹はなりふり構わず追求し始めたのだ。
「それで見返りがなければ、本人は苦しくないのか」
「最初はなあ、しかし馴れるもんだ」
と、しゃあしゃあとした顔で言われると、そう思いたくもなるが、それが妹の強さだと十和瀬に言われて少し躊躇した。そんな小谷を見て「今更どうした」と笑って肩すかしを喰らった。
「それなら此の話は真面目に訊いた方がいいのか? 会長はどうなんだ、此の前はその酒を試飲させられて悪くないと言ったのだが……」
「それは千夏と相談しろ、だがおやじにはまだ言うな。採算度外視して乗るかも知れんからなあ」
それより香奈子とはどうだとすり替えられた。それで香奈子を紹介したのも十和瀬の手の内なのかと、小谷は思わず十和瀬を睨み返した。そんな変な顔をするなと嗤われてしまった。




