シーズン1 第4話 竜の騎士
スカルドラゴンを倒した興奮が冷めやらぬまま、バザンたちは階段を上がり、再びダンジョンのフロアへと戻った。しかし、そこに広がっていたのは、彼らが想像もしなかった光景だった。煌びやかな甲冑を身につけた騎士の集団が、フロアの隅々まで丹念に調べているのだ。剣を構え、警戒しながら探索を進める彼らの姿は、明らかに何かを探しているようだった。
「おい、そこのお前」
冷たく、しかし威圧感のある声が、バザンたちの背後から響いた。振り返ると、ひときわ長身の男が立っていた。他の騎士たちとは一線を画す豪華な装飾の甲冑を身につけ、その佇まいからは並々ならぬ経験と指揮官としての風格がにじみ出ている。男の鋭い視線が、バザンたちを射抜いた。
バザンは一瞬、このまま逃げ出したい衝動に駆られた。彼らの剣は磨かれ、その立ち姿は熟練の戦士であることを物語っていた。正面からぶつかれば、勝機はないだろう。しかし、ここで疑われるわけにはいかない。彼は平静を装い、努めて冷静な声で「なんですか?」と答えた。
男はバザンたちを値踏みするように見つめ、問いかけた。「お前も竜の卵を探しているのか?」
その言葉に、バザンたちはとっさに顔を見合わせた。竜の卵。スカルドラゴンとの死闘を引き起こした、あの漆黒の卵。まさか、彼らがそれを探しているとは。
「いいえ、俺らはスカベンジャーなので、お宝を探しに来ただけです。それでは」
バザンはそう言い放ち、出口へと足早に向かおうとした。ゴードン、リリア、フィンも、その意図を察して素早くそれに続いた。騎士たちは、訝しげな表情でカイたちの後ろ姿を見ていたが、それ以上追ってくることはなかった。彼らの背中には、警戒と不信が混じった視線が突き刺さるような気がした。
ダンジョンの出口が、まるで別世界への扉のように見えた。バザンたちは、胸に一抹の不安を抱えながらその扉をくぐり抜けた。
外に出て酒場に向かうこと1時間、到着すると
大半のスカベンジャー達が地べた倒れ戦意喪失していた。
ガタガタと肩を震わせる者。上の空になる者。
号泣する者。急に暴れ出す者など、その様子を見て
察した。
そこに身なりのいい男がやってくると
「お前ら、ドラゴンの卵は見つかったのか」
誰も返事をしないことに腹をたてたのか
大声で「何を黙っている。見つかったのか。ドラゴンの卵は」
「うるせえなぁ。見つからなかったんだよ」
1人のスカベンジャーがぶっきらぼうに言うと
咳を切ったように全員がダンジョンで何が起きたかを叫ぶと全員立ち上がって歩き出す。
「おい、何をしてる。戻ってこい。おい」
木の陰から見ていたバザンと3人は、気付かれないように宿屋へと歩き始める。
「あいつもドラゴンの卵を狙っていた」
革のポーチに入っているドラゴンの卵を見る。
「そんなにあれが欲しいのかな」
フィンは無邪気にそう言うと「わからんなぁ」
「でさぁ、どうする?これから」
リリアはバザンに聞く。困った顔をする。
「そうだなぁ、また旅に出るかぁ。ドラゴンの卵も気になるし、ダンジョンも気になる」
「そうこなくっちゃなぁ」
ゴードンはガハハハと笑いながら
宿屋へと向かっていた。