042 ジェイドの戦いとカナデの研究ノート(2)
説明文が長く続きます。苦手な方は読み飛ばしてください。
挿絵が挿入されています。自分のイメージを大事にしたい方はご注意ください。
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一章 二十四話(2)
私の異世界での事を書き綴った「研究ノート」はすでに10冊を超えている。
全てアイテムボックスの中に収納してあるので、人目に触れることはない。
しかも、日本語で書かれているので、この世界の人にとっては暗号と変わりない。
以前書いた部分に、付け足したり修正したりの作業をしばらくしていなかったので、今日は、時間までその作業をしよう。
カナデの研究ノート
さて、まずは魔物の生態だな。
私は、動植物についてまとめたノートを開いた。
今日は、『まちぼうけ』の事だけだな。例の裏技の事をまとめておこう。
【愛 称】まちぼうけ
【種 族】兎型魔物
【脅威度】D→狂乱状態(C)
【活動停止】有
・耳をつかんだまま両足を拘束すると動かなくなる
【霧 散】
・C級以上の冒険者なら剣や手刀を体に当てるだけ
【素 材】
魔石D 食用肉 毛皮(銀貨1枚)
(狂乱状態)高級食肉 高級毛皮(金貨10枚)角(1億3千500万円)
魔石C+ (『奇跡の魔石』の称号)
【特殊技能】
・音と振動による気配察知
・身体強化した強靱な後ろ足でのジャンプ。2m~3m飛び上がる
【容 姿】
・体長 50~100㎝
通常の耳は30~60㎝
・耳が体と同じぐらい長く伸びる
・目は茶色、毛皮の色は夏は灰色冬は白
【生息地】1層草原、2層草原と森の中
【食べ物】魔力草全般 世界樹の葉(色)
【性格行動】
・極端な臆病者
・自分の縄張り内では、聞き慣れない音や振動がした時点で隠れてしまう。
・魔力草は、柔らかい葉を好む
・食べたらその場に糞をする
・豆類が大好物(特に袋豆)
・袋豆は、必ず下から2番目から食べる
・縄張り内では、基本の行動パターンが決まっている
・カメムシを避ける。1m手前にいてもびっくりして飛び上がる
【特記事項】
・とても弱い生き物だが、臆病で逃げ足が速く挑発にも反応しないので、なかなか確保できない。
・捕まらないのでD級に認定されている
・縄張りは、だいたい半径50m位
・狂乱状態になる前に逃げてしまうので、その状態になったところを見た人はいない。なので、その状態で活動停止にできたら素材の価値が上がる
・死を覚悟するなどの極度な興奮で狂乱状態になるはず(目が赤くなり額に角が生える)
【捕獲についての考察】
・大好物の袋豆の下から二番目に、酔いどれ草でふらふらにしたカメムシを入れておく(カメムシの臭いが消える)
・それを食べた「まちぼうけ」は、カメムシがびっくりして噴射した強烈な臭いで必ず狂乱状態になる
・縄張りの中を本能で飛び回り、いつもマーキングをする木にぶつかれば、角が突き刺さり動けなくなるはず
・動けないでいる間に活動停止にする
このフラフラしたカメムシのことは、食虫植物の「酔いどれ草」を観察していたときに見つけたんだよな。この発見があったから、狂乱状態にする方法が分かったんだ。
いやー、基礎研究って、本当に大事だよ。
『まちぼうけ』は、カメムシが苦手だ。1m手前にいても分かるほど敏感なので、まず、カメムシが潜んでいる「袋豆」を食べるはずがない。
酔いどれ草で臭いが消えたカメムシのことを知らなければ、どんなに、袋豆にカメムシを入れても、まちぼうけは逃げていくだけだ。
ふふふ、冒険者諸君。2匹目のどじょうはいないのだよ。
それを夢見て袋豆の罠を仕掛けても、その名の通り、『まちぼうけ』だ。
それと、実は、私のアイテムボックスの中に、この方法を試す実験で捕獲した、もう一匹の狂乱状態のまま活動停止をした「まちぼうけ」が氷漬け、いや、時間漬けになって、眠っていることは当分黙っておこう。
さて、次はカボーグ家の事だな。
大樹暦1961年 4月10日
1カボーグ家にて
(1)町の名前 『入り口の町』
・出入りに厳重な身元確認がされる
・案内人がいる
・冒険者もいる
・ギルドもある
(2)大樹の森
・10層に世界樹様が樹立している
・9層に結界がある
・深度は木の年輪のように広がっている
・深度が深いほど幅が狭いがそこには強力な魔物が生息している、A級案内人でないと入れない。
・2層は、草原の所々に林がある地帯、直線で200キロメートルほど
・一層は、一面の草原。真っ直ぐ進んでも300キロメートルほどの距離
(3)カボーグ家
・当主はカルミア
・母はビオラ
・できるメイドがいる。名前はディナ
(4)金貨は使える 金貨の価値不明
(5)風呂がある (泣き)
(6)エルフは肉も食べる
(7)公務員は単身赴任が多い。住宅あり
以下空白
うわー。異世界に来て初めてあった人類なのに、淡々と書いてある。
まあ、後で覚えていたことを書いたのだから仕方ないか。
さて、これに加筆するか。それと、この以下空白はこの世界ではいらないな。
紙は貴重だからな。不正に加筆する人なんているはずないわ。
[当主]
カルミア・カボーグ
(象徴名)
カルミア・エーレセルビギティウム
*エーレは当主の意味
入り口の町案内人ギルドギルド長兼S級案内人
[母親]
ビオラ・カボーグ
(象徴名)
ビオラネル・セルビギティウム
[長兄]
ナツメ・カボーグ
(象徴名)
ナツメスタッロス・セルビギティウム
エレウレーシス連合王国案内人ギルド ギルドマスター
S級案内人 A級Gスター冒険者
[長女]
ツバキ・カボーグ
(象徴名)
ツバキリーナ・セルビギティウム
音波研究所所長
[次女]
サクラ・カボーグ
(象徴名)
サクラシア・セルビギティウム
C級案内人(風の加護)
まあ、こんなところか。サクラさんにはもう1人兄がいるということだけど、どんな人か気になるぞ、すごく。
そうそう、象徴について少しまとめておこう。
1象徴について
・目覚めの杜人→カボーグ家初代当主
名前「カロス・エニュオン」
・世界樹を眠りから解放した……と言われている
・1人目の探求者として神獣「レティラス」様と一緒に現れた
・大樹暦元年を宣言した
・セルビギティウムは(始まりの大樹)の古代エルフ語
・目覚めの杜人子孫のみがこの名前を名乗れると、初代当主が決めた?
・『世界樹の裁き』は、300年間ほど続いた。
・『世界樹の裁き』以降に入り口の町を作ったとき、各国代表が集まり話し合った
・二度とこの裁きを起こさないために、大樹の森の番人が必要だ
・それにふさわしいのが目覚めの杜人子孫だが、その時の当主が権力はいらないと拒否した
・協議の結果、入り口の町の完全な自治権の確立(いかなる権力者の特権も認めない)
・セルビギティウムの名を持つ一族は、新大陸の名誉貴族とする(領地、特権共にない)
・名誉貴族は、どの国や権力者に対しても命令をする事はできない
・名誉貴族は「セルビギティウム」を名乗るときのみ、いかなる権力者からの命令を拒否できる
・以上のことから「セルビギティウム」の名は、二度と「世界樹の裁き」を起こさないための象徴とする
うーん。長くなった。でも、これ以上簡潔には書けないな。まあ、誰も読む人がいないからいいか。
おっと、入り口の町の『樹魔の壁』のことも加筆しておこう。
1樹魔の壁の成り立ち
(1)樹魔の壁について
・「世界樹の裁き」詳細は教えてもらえないから何とか自分で調べる
・総延長2000キロメートルはある。日本列島の九州から北海道までの直線距離がこのぐらいだったはず(自信なし)
・樹魔の壁とグリーンベルトの間の幅は、平均で3000メートルぐらい
・グリーンベルトは、自然にできたらしい。
・入り口の町を作るときに、『大樹の杜人』の仲介で、樹魔が新たな壁を作ってくれた
・入り口の町には、樹魔車両に乗っていないと入れない。また、出られない(結界あり)
・入り口の町の硬貨は樹貨。樹貨も弾かれ持ち出せない
・金貨などの硬貨は、持ち込めるが、入り口の町では使えない。樹貨との両替が必要
(2)考察
・『世界樹の裁き』は、樹魔の乱獲が原因だと思われる。樹魔は世界樹の子ども(あの女神がそう言っていた)だから、母親が怒ったのだろう
・壁は2層3層にいた樹魔がほぼ全て移動して、作ったはず。でないと、2層3層の樹魔がほとんどいないことの説明がつかない
うん、樹魔の壁についてはこんなものか。
ああ、空から入ろうとしても樹魔に攻撃されるも書いておこう。
まあ、この世界で空を飛べるのは樹魔車両だけなんだけど。
「コンコンコン」
ドアをノックする音がした。
「どうぞ」と返事をすると
「カナデ様、ご準備はよろしいでしょうか」
お風呂に入りピカピカに磨かれたつくも(猫)を抱いた、できるメイド「ディナ」さんが立っていた。
そう、今日は、初任務成功のお祝いを兼ねたディナーに招待されている。
場所は、カボーグ家だ。4月10日、あの日から、約200日、7ヶ月が過ぎている。




