受付帖 11
「すぐやる課」
うちの夫は「すぐやる課」の課長(仮)
先日リビングのエアコンの調子が悪かったので「エアコン壊れた」と呟いた。
築15年、色々とガタが来ている。
「他の部屋のエアコンも?」と聞かれたので
「そりゃみんな同じ年だからねぇ」と答えた。
数日後、エアコンの見積もりが届いた!
4台まとめてジャパネットタカタで頼んだらしい…
既に何度か電話でやり取りもしているらしく
コンセントの状況やボルト数を確認して、と言われるがまま写真を撮って送る。
今、エアコンから暖かい優しい風が吹いている…
今更、壊れてないかもと言えなくなってしまった。
夜にはきっと動かなくなってる。
明日にはきっと。
夏に壊れるとやっかいだし。
と寒空の下マフラーの中で唱えながらパート先へ向かう
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本日のお客様
野中様 50代男性
現在おひとり様の野中様はうちの甲斐さん(40代)を大層お気に入りで、大した用もないのに「甲斐さんいますか?」と接客スペースを通らず直接事務所に押しかけたこともあった。
一時的に野中様には「甲斐は休職中」と言う様にお達しが来たほどである。
しばらくして、野中様の予約が入った。
いよいよ契約になったらしい
「頑張れ甲斐さん!後一息!」
と私達は心の中で応援し、2階の他の人がいないスペースではなく、受付帖の目の届く席に案内した。
めでたく契約が終わってこれでおしまい!
と思いきやその後も、やれ引っ越し業者を紹介してくれ、やれ税金について教えてくれ、と用事を振り絞って会いに来た。
さすがにどんなに振り絞っても用事が見当たらなくなってしまったようで、ようやく甲斐さんは自由になった!
自由になった甲斐さんは、それから少しして退社してしまった。
もしかしてこのことが理由で??
と私達は店長へなのか、社長へなのか、野中様へなのか、はたまたカスハラの横行する昨今の世間へなのか
向けどころのないモヤモヤを抱えていたら
なんと兼ねてよりお付き合いしていた彼と再婚が決まったそう!
それはなによりなにより…
日々、営業さんを母親の様な気持ちで見守る私たちなのである。
流石に甲斐さんを娘と思う様な年齢ではないのだけど。念のため…