【SS】第2話 ドッペルゲンガー製造所
閲覧ありがとうございます。
起承転結の短さと、伏線回収までの短さに悪戦苦闘しながらも、読みやすさの魅力に魅かれて執筆しています。
「ここはこうした方がいい」等、次作の参考にさせていただきますので、コメントいただけると嬉しいです。
俺の名前はタクミ。自分で言うのもなんだが、学力とスポーツの才能がある。
そんな俺は、周囲から一目置かれる存在であることに気づかないふりをしつつ、しかりと自覚していた。
だが、そんな俺にも一つだけ悩みがある。
何でもこなしてしまう俺は、自分の人生に意味を見出せず、
常に何かを求めているような気持に駆られていた。
ある日俺は、図書館で一冊の本を見つけた。
手に取ったその本には「ドッペルゲンガー製造所」と書かれている。
惹かれるがままに著者の名前を確認してみたものの、
何かで削られたような跡があり、確認することができないようだ。
不思議に思いながらも、その本を読んでみることにした。
「自分の理想を投影したドッペルゲンガーの作り方」
おいおい。そんなまさか。
とはいえ、日ごろ感じている理想と現実のギャップに飽き飽きしていたところだ。
驚きつつも本の続きを読み進めてしまった。作り方はそんなに難しくないようだ。
俺はドッペルゲンガーを作るための手順を幾度となく読み返した。
よし。成功だ。
自分の理想の姿を具現化した、ドッペルゲンガーを作り出すことに成功した。
「タクミ2号」とでも名前を付けておこうか。
こいつと暮らすことで、俺の中の虚さを埋めることができた。
しかし、ある日のこと、驚いたことにタクミ3号が誕生していた。
俺が作ったドッペルゲンガーではない。
タクミ2号が知らぬ間に作り出していたのた。
ああ。気休めのはずなのに、とんでもないものを生み出してしまったのかもしれないな…。
「理想が作る理想」は、「俺の理想」とはかけ離れたものだった。
自分の理想の姿を追求するうちに、ますます現実とのギャップが広がっていく事に絶望した。
俺は今、墓の前に立っている。
生きているうちに自分の墓を見ることになるとは、何とも皮肉なことだな。
俺はドッペルゲンガーに頼ることを辞めた。
目の前に佇む墓石に語り掛けた。「ドッペルゲンガー製造所に頼るのはやめたよ。自分で自分を作り上げられるからこそ、俺が俺である理由なんだよな」と。
もうここに来ることはないだろう。
広がる墓地を眼前に、心の声が漏れてしまった「ははっ。製造所…か。」
立ち並ぶ墓標には、様々な数字や、機械的な名前が書かれていた…。