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小さな村の小さな英雄達4

 ゴブリンらしき騒ぎ声が聞こえたので警戒しつつ進むとゴブリン共の住み家らしき洞窟を見つけた。

 草葉の影から覗き込み状況を確認すると洞窟の入り口で五匹ほどゴブリン共が騒いでいた。

 何かを取り合っているようだ。

 カナタが隣で小声で聞いてくる。


「あれって肉だよな?」

「そうだね」


 ゴブリンは雑食だが、肉を好んで食べる。

 その証拠と言うべきか肉の焼けた匂いがこちらまで漂ってきている。


「何の肉だろうな」

「何でも良いよさっさと制圧してしまおう」


 五匹とも肉に夢中で見張りとしては、全く機能していない。


「いつでも魔法を発動していいよ。

 それを合図にして突撃する」


 闇魔法で姿を隠した三人に伝える。

 姿を隠したまま魔法を使えるのは脅威だけどそもそも僕らの存在に気づかないのであまり現時点では意味が無い。

 まあ、あくまでも保険のようなものなので気にはしない。


『火球よ燃やし尽くせ』

『精霊さん力を貸してあげて』


 アリスの炎魔法にミッシェルの精霊の力をのせた魔法、火と風の複合魔法だ。

 二人の魔法が発動すると同時に僕とカナタも走り出す。

 魔法が着弾した直後に僕らの奇襲が入る。

 アリスとミッシェルの魔法がゴブリンの内二匹を巻き込んで爆発する。

 慌てている三匹の内二匹の首を僕が切り飛ばして仕留め残りの一匹をカナタが首を貫いて仕留めた。

 皆の様子を見るとカナタが自分がしたことに驚いているようだった。


「どうしたカナタ」

「いや、あまりにもあっさりと倒せたからびっくりして」


 まあ、無理も無いだろう。

 今までカナタが戦ってきたのは、実戦は無かったと言えども格上ばかりだからね。

 人型の存在で自分より弱い相手は初めての経験だろう。


「ゴブリンなんてこんなもんだよ。

 勿論、ゴブリンと言えども油断して良いわけでは無いけど、奇襲を掛けて戦うことになった今回はあっさりと倒せて当然だよ。

 これ以上無いくらいしっかりと奇襲がうまくいったしね」

「そんなもんか」

「まあ、本格的な戦闘は、洞窟に入ってからが、本番だ。

 索敵は僕がする。

 後ろの警戒を任せるよ」

「ああ、任せろ」


 僕を先頭にして姿を隠した三人、そしてカナタの順で洞窟に入っていく。

 姿を隠している三人がいると分かるのは、僕が魔力を探知出来るからだ。

 と言っても僕でも予め三人がいることを知らなければ見過ごす可能性はある。

 ちょっとした魔力だまりと勘違いする可能性があるからだ。

 なので絶対にバレない訳では無いが、姿を隠せるので人数を勘違いさせられることもできる。

 村の人も気付かなかったんだゴブリンに分かるとは思えない。

 洞窟は一本道になっており奥へと続いていた。

 洞窟内には当然と言うべきか明かりの類は無いため僕達は、自分達で用意した松明を焚いて暗闇を照らし視界を確保する。


「これは」


 暫く進むと骨で組み立てられたトーテムに幾つかの髑髏が飾られていた。

 高さは僕らよりやや高い位だ。


「悪趣味な」


 カナタは不快感を露わにする。


「浅はかな奴らだね。

 けどこれは少々警戒度を上げないと」

「どういうことだ?」

「これを作り出すレベルの知性がある奴がいるってことだよ。

 いつでも戦闘に入れるようにしておくんだ」

「分かった」


 このトーテムは人骨が利用されている。

 この事実は、幾つかの情報を得ることが出来る。

 一つは、人を殺した事があるゴブリンがいるということ。

 二つに、このトーテムは、縄張りを示すものでは無いということ。

 縄張りを示すなら外にないとおかしい。

 最後に呪術師がこのゴブリンの住み家にはいるということになる。


「恐らくは、呪術師かな?

 ゴブリンかそれ以外か、どちらにしろろくなもんじゃ無いのは確かだ」


 呪術師は、その性質上人の死を利用する術が多いし、術師の性格も破綻している。

 だからこそゴブリン程度の知性を持つ存在しか仲間に出来ないんだ。


「さて進もうか」

「ああ」


 歩を進めていると背後からの気配に気が付く。

 恐らくは、ゴブリンだろう。

 お粗末な隠密で後を付いてきている。


「クルス」

「分かってるよ。

 前にも客だよ」


 岩陰にゴブリンが身を潜めている。

 戦略的な動きをしている以上指令役の存在があるはずだ。

 焦れたのだろう一匹のゴブリンが岩陰から飛び出してくる。

 僕がそれを斬り伏せると同時に四匹のゴブリンが飛び出してきた。

 僕は、()()()()()()()()()()()()()


『鏡よ写し出せ火球』


 一匹に火球をぶつけ爆発させそれに怯んだゴブリン二匹の首を飛ばす。

 最後に残ったゴブリンは一目散に逃げ出すが、


『火球よ燃やし尽くせ』


 虚空で唱えられた魔術による火球にやり炎上する。

 前のゴブリンを殲滅すると同時に後ろからゴブリン共が五匹つっこんできた。


「カナタ心を静めるんだよ」

「ああ」


 敵が突っ込んでくると言うのは、あいてが雑魚であってもやはり威圧感があるものだ。

 敵を一掃するすべをもたないかなたにとっては余計だろう。


「カナタ行くよ」

『鏡よ写し出せ突風』


 突風をカナタとゴブリンにぶつける。

 カナタの踏み込みを加速させゴブリンには隙を作り出す。


『風の精霊よ敵を切り裂け』


 更にミッシェルの追撃でゴブリン共が怯む。

 そこに僕の突風で速度を得たカナタが飛び込む。

 剣をゴブリンの喉に切り裂いていく。

 一匹、二匹、三匹仕留めたところで後残り2体ゴブリンが残る。

 二匹はお互いの目を見合わすと持っていた武器を投げ捨てて逃げ出す。

 僕は落ちているゴブリンの武器を拾い投げる。

 カナタも丁度同じ考えだったようだ。

 投げた武器はそれぞれゴブリンの背中に突き刺さる。

 衝撃をうけたゴブリン二匹が前のめりに倒れる。

 僕とカナタが倒れたゴブリンにとどめを刺す。


「挟み撃ちされたな」

「そうだね。

 稚拙だったけど間違いなく挟撃だった」


 さてこの先に進めば奴らのボスに会うことが出来るだろう。

 間違いなくそれなりの知性がある存在だがさてどんな奴だろうな。

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