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城塞町にて side black

 マサトと共に訪れたのは貧民街、ここは、色々な犯罪の温床になっている。

 それに娼婦や闇組織の人間は多くが、この街の出身である。

 そんな場所で何をするかと聞かれれば、闇組織の乗っ取りである。

 マサトには、闇組織との交渉時の護衛とだけ伝えている。

 嘘では無いが、やることの内容はくわしくは伏せておきたい。


「しかし、モリモトという名前には驚きました故郷の呼び名に近い名前ですから」

「そうだったのか。

 だからあの時、驚いた表情をしてた訳か」

「ええ、ところでマリルルさんとは恋人関係なんですか?」

「いや、ちょっと肉体的に関係があるだけだ」


 そう言うとマサトは顔を赤くする。


「やっぱりそういう関係ですよね」


 モリモトは、肩をすくめて歩を進める。


「それで、君は何ですか?」


 そう言ってマサトは、こちらを見る。


「僕?」

「ああ、君は一体何者だ?」

「何でそんなこと気になるのですか?」

「こういう事を面と向かって言うのは普段はしないが敢えて言うよ」


 首を傾げる僕にマサトは言う。


「君の存在は気持ち悪い。

 違和感が拭えない。

 まるで鏡像のようだ。

 そこにいるのにそこに居ない。

 間違いなくこちら側の人間だろう、君」

「うん、そうだよ。

 モリモトの決闘の時手を抜いてくれてありがとう」

「あれは、一応全力だよ」

「そうなんだ」

「ああ、我ながら最近調子に乗り掛けてたから冷水を掛けてくれて助かったと思っているよ」

「どういたしまして」

「で、この町をどうするつもりなんだ?」


 唐突に脈絡のない質問に僕は、少し考えて答える。


「どうなるかは、モリモト次第だね」


 僕の言葉にマサトは、モリモトの方を見る。


「え?

 そ、そうだな。

 別に俺は、この町を滅ぼしたりするつもりはない。

 これで、いいか?」


 モリモトがこちらを見るとそれに釣られるようにマサトもこちらを見る。


「そうだね。

 僕の幼馴染み達に危害が入らないようにするのが取り敢えず目的ではあるからね」


 僕の言葉にマサトは、驚いたような表情をしてこちらを見る。


「モリモトさんみたいな奴が他にもいるのか!?」

「うーん、モリモトは、ある意味特別だからなぁ。

 幼馴染み達は、君が思っているより普通だから安心して」

「そ、そうか」


 マサトは、溜息を吐く。


「期待せずに見てみるよ」




 貧民街、その一画にあるとある組織の拠点、そこに珍妙な集団が現れたと聞いて、その組織のボス、ギルトルトは、嫌な予感を覚えた。

 その髪の毛一本ない頭を撫で呟く。


「あの『拳聖』マサトとそれを負かせたモリモトなる人物が来ているだと?」


 『拳聖』マサトだけでも手に負えないのにそれと同等以上の力を持っている者が来るなど凶事以外の何物でもない。


「何の用で来たのか分からないのか?」

「ここのボスに会いたいと言っています」

「ふん、いくら強くても新参者に俺が会うわけないだろうが」


 そう言って、どう追い返すか考えていると俄に廊下が騒がしくなる。

 そして、部下の一人が飛び込んで来る。


「大変ですボス!」

「おいおい、まさか、踏み込んできたのか?

 用心棒は、どうした」

「『拳聖』マサトに殴り飛ばされて伸びてます」

「使えねぇな。

 しかし、こんなことしてただですむと思っているのか?

 裏社会を全て敵に回すことになるんだぞ!?」


 喚くギルトルトの前に侵入者が現れる。


「よう、ご機嫌か?」


 ギルトルトは、入ってきた男を睨みつける。


「お前が、マサトを負かせた新参者か」

「そうだな」

「何しに来た」

「裏社会に居るなら分かるだろう?」

「バカヤロウが、裏であれ社会なんだよ。

 力押しで何とかなると思っているのか!?」

「ああ、表でも同じだろう?」

「……ふん、で?

 一体何をさせたいんだ?

 態々ここまで来るんだ目的があるだろ?」

「そうだな、失って良い人材の確保だ」

「へ、そりゃ、掃いて捨てるほど居るが、それだけならここに来る必要はねぇよな?」

「ある。

 自分の縄張りから人を引き抜けば怒るのは当然だろ。

 例えそれが要らないものであったとしても」

「分かった。

 だが、それだけか?

 それだけならいきなりここに突っ込んで来る理由にならねぇ」

「なるとは思うが、まあ、良いだろう。

 ここより南、とある村が盗賊によって全滅した話は聞いたこことがあるか?」

「……ああ、誰一人生き残ってないとな。

 ……まさか、ここに生き残りがいると思っているのか?」

「いや、そこの住民の話ではない。

 大事なのは、盗賊がやったと言う情報が出回っていると言うことだ」


 その言葉を聞いて、ギルトルトの背中にゾクリと冷たいものを感じた。


「おい、確かに俺達は裏の人間だが、それでも生活がある。

 それを使い潰すつもりか?」

「言い方が悪いな。

 ちょっと力を借りるだけだよ」

「お断りだ」

「そうか、残念だ。

 そうだな、マサトの着いている娘の中に君に似た娘がいたな」

「……!!

 おい、まて、娘は関係ないだろ!?」

「裏の人間なら分かるだろ?」

「くっ、分かった。

 人選は任せて貰えるんだよな?」

「話が早くて助かるよ」

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