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ミモザの花のお屋敷  作者: 白百合三咲
8/9

カサンドラの復讐

バイオレットはカサンドラに刺されそのまま倒れ込む。カサンドラがナイフを抜いたことで大量に血が飛び散ったが幸い春花のドレスにはかからなかった。

「私の姉さんはこいつに殺された。春花さんに

は特別にいい事を教えてあげる。」

 カサンドラは元々この地域の生まれでかつて父は会社を経営していた。ただ父は詐欺にあって会社を手放さなければならなくなった。その後父は自殺。家族は屋敷を追われ小さなアパートで暮らし始めた。そこで見つけたのが花売り娘の仕事だ。

「だけどそれだけじゃ生活が苦しいからここのメイドの仕事も始めたの。確か5日前だったかしら姉さんがこの屋敷に訪れたのは。姉さんは高級なドレスを着せてもらい喜んでいた。だけどそれから姉さんは家に帰ってこなかった。伯爵に聞いても姉さんなんか知らないって言うし。だけど昨日の朝庭を掃除してる時これを見つけたの。」

カサンドラはペンダントを見せる。

「これは姉さんが子供の頃から大事にしてたの。誕生日プレゼントに父さんからもらったものよ。私確信したの。街で少女達を拐っているのはオルガ伯爵で姉さんも伯爵に殺されたって。」

「でしたらなぜ警察に行かなかったのですか?」

「彼女はこの辺りの領土を治める伯爵よ。行ったところで取り合ってもらえるわけないわ。そうだもっといい事教えてあげるわ。」

カサンドラは春花に顔を近づける。

「隣の家、バロンド公爵の別荘があったところは父の会社があったの。偶然ってあるんですね。うふふ」

カサンドラは笑いながら去っていく。




 翌日ピエールは釈放された。カサンドラが自首してきたのだ。自分がオリガ伯爵とキララを殺したと。カサンドラの父の会社がなくなった原因にバロンド公爵があった。彼は別荘をあの土地に作るためカサンドラの父の会社を無理矢理退却させた。キララとも面識があり花売り娘をしてる時に再会した時に過去の記憶が甦った。キララはカサンドラの事など覚えていなかった。

「落雷は偶然でした。ランプを取りに行って広間に戻ろうとしたとき泣きながら雨の中外に出ていく彼女を見ました。その時思ったのです。やるなら今しかないと。」

 懐中時計は暗闇の中ランプの灯りだけを便りにピエールにわざとぶつかり拝借した。2人は中が悪そうだったから恋路が縺れたと見せかけられると思ったからだ。





 帰りの馬車の中新聞の一面を飾ったニュースを春花の父が読んでいる。オルガ伯爵の庭のミモザの花畑の下から少女達の白骨死体が見つかった。その中にはカサンドラの姉のものもあった。カサンドラがバロンド公爵ではなくキララを狙ったのは公爵に家族を失い苦しみを味わわせたかったからだ。

新聞を読む父の向かいに座る春花が香水を振り掛ける。ミモザの香水でバロンド公爵夫人からもらったのだ。

「あら、貴女がミモザなんて珍しいわね。いつもなら桃の香りを好むのに。」

母が娘の変化に気づく。

「お母様、わたくし桃の花よりミモザの方が好きになりましたの。だってバイオレット様と同じ香りがするんですもの。」

次回最終回です。

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