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ミモザの花のお屋敷  作者: 白百合三咲
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プロローグ

「お父様、お母様、ご覧になって。どこまでも広がる海ですわ。」

19世紀末フランス、日本人の春花は海沿いを走る馬車から身を乗り出す。

ピンクの生地に赤い花柄のドレスに身に白い帽子、長く巻いた黒髪が風に靡く。

「春花、しっかり座ってなさい。帽子を落としてしまうぞ。」

「お父様、日本に住んでいた頃は毎日のように部屋から眺めてたじゃないの。懐かしくなってしまったわ。」

 春花は日本にいた頃横浜という海の見える街に住んでいた。家は華族であり、父は外交官をしている。政府からヨーロッパの視察を任命され、1年間パリにある日本大使館で勤務することになった。

 今日は家族で海沿いの街ニースに向かっている。父の同僚でバロンド公爵がニースに別荘を所持しており、招待されたのだ。この季節は花祭りの時期でそれに合わせて、隣のお屋敷の伯爵が近隣の貴族を招いて舞踏会を開いている。バロンド公爵が日本から来た父を紹介してほしいと頼まれ春花も父や母と共に出席することになった。

「さあ、もうすぐ着くぞ。」

再び春花は窓の外を見る。庭に黄色い花が咲き乱れたお屋敷が目に入る。

「可愛い花、お父様、あの家かしらバロンド公爵の別荘は?」

「いや、その隣だと思うが。」

「ということはあちらが明日の舞踏会に招待してくださった方のお屋敷なのね?」

馬車が停まったのは隣の白い屋根の屋敷だった。

御者が扉を開けると父が最初に続いて母が降りる

「さあ、お嬢様」

御者に手を支えられ春花も降りる。



 バロンド公爵に挨拶するとメイドに客室に案内される。春花の部屋は窓からは隣家のバルコニーが見える。

「春花さん?」

丸襟に黄色いドレスの少女が現れる。長い髪を下ろしオレンジ色のカチューシャをしている。

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