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ザ・ブラインド  作者: 千勢 逢介
エピローグ
170/172

3

 手紙を読み終え、わたしは目尻に浮かんだ涙をぬぐった。

 こうして同じ手紙を読み、同じ感情が生まれるのはもう何度目になるだろう。

 最近ではすっかり涙もろくなってしまった。まるで心が、ここ二十年の遅れを取り戻そうとしているみたいに、わたしの心の蛇口は緩んでいた。

 だが感情をひた隠しにしようとは思わなかった。これが寂寞の涙なのか安堵の涙なのかはわからないが、いずれにしろ、それはジョンが生きていることへの気持ちのあらわれだからだ。


 いまわたしの自宅では、二丁の拳銃がステンドグラスの笠をかぶったランプの柔らかな光を浴びている。


 ひとつは父の形見であるコルト。

 もうひとつは、ジョンが愛用していた<貴婦人>。


 レオから譲り受け、ジョンの手元を離れた銃は、税関をどうにかしてくぐりぬけた小包によって、手紙とともにわたしのところにやってきた。


 ジョンがこれを使う必要はもうない。彼の戦いは終わったのだ。

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