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NEET 娘の気持ちを知る

「それでは行ってきますね!」


俺がエルダと出掛ける予定のセリナを見送ると、ステラが目を覚まして言った。


「パパおはよう…ママは?」

そう言って起き上がるステラに言った。


「ママはお出掛けしたよ。今日はパパと2人だけど…何かしたい事はある?」

そう聞くとステラは俺に駆け寄って言った。


「わちはパパとおさんぽしたいな」

お散歩ね…無論OKだ!


俺はステラを着替えさせると、食堂でサクッと朝食を済ませた。そしてステラを抱っこすると宿を出て町の散歩を始めた。


ステラを抱っこしてゆっくり歩いていると広場の方から歓声が聞こえてきた。

何があるのか少し気になったのでさっそく広場に向かうと、そこでは領主が群集に向かって話をしていた。


「…という訳で、町の子ども達の初等・中等教育については無償なので安心して欲しい!」

領主の話に再び広場に歓声が起こった。


領主は俺が提案した説明会を開いてくれたんだな…そんな事を考えているとステラが聞いてきた。


「パパ、みんなうれしそうだね!」

そう言って笑顔を見せるステラの頭を撫でていると、俺に気付いた領主が駆け寄ってきた。


「来てくれたのか!さっそく民に学費無料の説明をしてい……ん?その幼子はもしや……」

領主は抱っこされたステラに気付くと驚きながら言った。


「トーヤ殿にまさか子どもがいたとは…よく見れば奥方によく似ておる…」

領主はそう言ってステラを凝視すると、ステラは嬉しそうに言った。


「わちはママににてる?うれしい!」

そう言って満面の笑みを浮かべるステラに、俺がキュンキュンしていると領主がステラに言った。


「おじさんはトーヤ殿…いやお父さんのお友達だよ!お名前はなんていうのかな?」

領主の問いかけにステラは笑顔で答えた。


「わちはステラ!パパとママがつけてくれたの!」

そう言ってニコニコするステラを見た領主が俺に言った。


「トーヤ殿……可愛すぎないか?」

そう言ってステラの笑顔に釘付けの領主に言った。


「俺の娘ですからね!」

俺がそう答えると、領主は踵を返して次の説明会場に向かっていった。


俺も広場を後にしようとすると、聞き覚えのある声に呼び止められた。


「おはようございます!トーヤさんも説明会に参加されていたんですね」

その声に振り返ると散歩中に知り合った…トーマス一家がいた。俺も挨拶を返すとトーマス一家との会話が始まった。


「トーヤさんから聞いていましたが、まさか本当に無償で教育して貰えるなんて…驚きましたよ!」

喜ぶトーマスに俺は言った。


「ステラちゃんを安心して学校に通わせる事が出来ますね!」

俺がそう声を掛けると奥さんが心配そうに言った。


「フローラは人見知りが激しくて学校に馴染めるか心配なんです。ステラちゃんは学校に行かないんですよね?うちの子と一緒に通ってくれたら嬉しいのですけど…」

そう言って奥さんは娘に目を向けると、フローラが寂しそうにステラに聞いた。


「ステラはがっこうにいかないの?」

その問いかけにステラは言った。


「わちは…がっこういかないよ?パパとママとずっといっしょにいるもん」

そう言って俺にしがみつくステラにフローラが言った。


「わたしはステラとがっこうにいきたいよ!」

そう言って笑顔を見せると、ステラはポツリと呟いた。


「わちがパパとママからはなれたら…いなくなっちゃうんだもん…」

その呟きを聞いた俺はステラの心情を考えた。


ステラは両親を亡くした。

ベルからは不慮の事故と聞いていたけど、幼いステラは未だ両親の死を受け止めきれていないんだ。


成人した俺だってそうだったのに、すっかり忘れていた。


幼いステラには凄まじいストレスだっただろう。

今が幸せだからといって、ステラが両親と死別した過去を忘れている訳ではない。


俺はステラに笑顔を向けると言った。


「ステラはもっと自由に生きていいんだよ…ほら?空を見上げてみるんだ!」

ステラは俺の言葉にゆっくりと空を見上げると、そこには雲1つない青空が広がっていた。


青空に目を奪われるステラに言った。


「パパとママは…ステラが自分で生き方を選べるまでずっと傍にいるよ。だからステラにはもっとわがままに生きて欲しいんだ…」


「ステラが頑張ったらいっぱい褒めてあげる。ステラが間違えたら、ちゃんと教えてあげる。俺とセリナはステラのパパとママだからね!」

俺の言葉にステラは顔を向けると言った。


「わちは……」

言葉を詰まらせるステラにフローラが言った。


「ステラ…いっしょにがっこうにいこうよ!」

その言葉に俺はステラを降ろすと、ステラは小声で聞いた。


「…フローラはわちといっしょにいてくれる?」


「うん!ステラがいっしょならうれしい!」

フローラはそう言ってステラの手を取ると、2人で広場を駆け回った。

その様子を見たトーマスが俺に言った。


「トーヤさん…うちの娘はおてんばですが、仲良くして頂けると助かります!」

その言葉に俺は頷くと言った。


「こちらこそステラと仲良くしてくれたら嬉しいです!」



そんな大人の会話を知る由もないステラとフローラは、2人でピョンピョン掛け回っていた。



いつもお読みいただき

ありがとうございます!


そろそろシリアス回を出そうか迷ってますが…

皆さんの読みたい話があれば

ご意見をお聞かせ下さい!


ご要望などあれば、

お聞かせ頂けると嬉しいです!

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