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人界に神が顕現した日 前編

エトワールの一件から数ヶ月経ったその日…


人界の最大国家を統治する王「チャールズ」は執務室で書類を読み終えると思考を巡らせていた。


近隣国家群に降り注いだ無数の隕石の影響で、民衆の間に広がる噂についての事だ。


その噂は…商業都市で獣人を奴隷として扱った事が「魔神」の逆鱗に触れた結果、天罰が下ったという内容だ。


チャールズは当初、荒唐無稽な話だと考えていたが…暫く経つと様子がおかしい事に気付いた。

国民には知らされていないが、同時期に世界各地で怪死を遂げる事件が発生していたのだ。


あながち噂は真実なのかもしれない。

チャールズはそう考え始めると、部下に命じて調査を開始した。


そして調査内容が手元に集まるとさっそく内容を確認した。

すると怪死事件が発生した国のほとんど全てに「獣人奴隷」の嫌疑があると記載されていた。


獣人の事を「獣化症」と蔑む時代は遠に過ぎた現在でも、未だに差別が残っている事は知っていた。

しかし未だに奴隷として扱う国家や都市が存在しているとは思いもしなかった。


伝記に登場する「魔神」が存在するなら、確かに腹をたてるだろうな…。


チャールズはそんな事を考えていると、ひとりきりの執務室に声が響いた。


「君が「賢王」かな?」

チャールズは驚いた。

目の前に突然女性が現れたからだ。


「あれ?もしかして間違えたかな?」

首を傾げたの言葉にチャールズが答えた。


「確かに賢王と呼ぶ者もいるが…貴女はいったい?」

チャールズは戸惑いながら尋ねると女性は答えた。


「間違ってなかったんだね!ボクはエトワールだよ。いわゆる「創造神」って言えばいいのかな?」

エトワールはそう言って近くのソファーに腰をおろすと、言葉が出ないチャールズに話を始めた。


「君に話があって来たんだ!人界の管理なんだけど…君の判断で何人か有能な人材を集めて!そして平和を維持して欲しいんだ!」

チャールズは未だ動揺していたが、創造神を名乗る女性の前に座ると聞いた。


「創造神というのが本当ならお聞きしたい。先日の隕石は「魔神」が降らせたのでしょうか?」

エトワールは欠伸をしながら答えた。


「確かシアって魔王がやったって聞いたよ。獣人を奴隷として扱った報いだって言ってたかな?」

その話を聞いたチャールズは震えた。

まさか本当に「魔神」や「魔王」が存在するというのか?


しかし隕石の雨を降らせるなど人間には無理だ。

それこそ伝記に登場する魔王でもなければ……。


チャールズは更に聞いた。


「では、その後に他国や都市で発生した怪死についてはご存知でしょうか?」

エトワールは少し考えると答えた。


「あ!あの事か!あれは天神のヴァイスのが「聖なる裁き」で獣人を奴隷にしたり、差別した者を処刑したんだよ!」


「でも、その程度の被害で良かったね?魔神のノワールが止まらなかったら皆殺しにされてたよ!」

チャールズはエトワールの話に驚愕した。


天神に魔神…実在するのか?

様々な疑問が溢れていたが…話のスジは通っている。

チャールズは創造神の話を真実と判断するとエトワールに尋ねた。


「創造神様。先程お話になられた人界の管理の件ですが…準備がありますので1ヶ月後にもう一度ご来訪頂けませんか?」

チャールズの提案を聞いたエトワールが言った。


「1ヶ月後だね!忘れてなかったら来るよ!」

そう言って立ち上がると転移していった。


突然光に包まれ消えたエトワールに、チャールズは創造神だと確信すると慌しく動き始めた。


チャールズはさっそく主だった国の統治者に親書を出すと、受け取った統治者達は内容に驚愕した。


「創造神」が顕現した。

そして再度面会する機会を得たからすぐに来て貰いたい。


馬鹿げた内容に失笑する者が多かったが、一部の有能な統治者は「賢王」からの親書を読み終えるとすぐにチャールズの元へと向かった。


約束の日までに集まったのはチャールズを含めて6人の統治者だった。


チャールズはエトワールから聞いた話を皆に伝えると、一様に驚嘆の表情を浮かべた。


集まった統治者の多くがチャールズに質問を投げかけたが、答えを持たないチャールズは「創造神に聴くと良いだろう」と告げると、エトワールの顕現を待った。


すると、急に執務室の一角が光るとエトワールが姿を現した。


突然の事態に驚く統治者をよそに、チャールズはエトワールに駆け寄ると膝をついて言った。


「創造神様!お待ちしておりました」

その言葉にエトワールが言った。


「今日で良かったみたいだね?日にちの感覚が無いから間違えてなくて良かったよ!」

そう言ってソファーに腰掛けると、集まった他の統治者達に顔を向けて言った。


「君達がボクの代わりに人界の管理をしてくれるんだね!本当に助かるよ!」

統治者達がその言葉に動揺する中で、チャールズは立ち上がるとエトワールに深く頭を下げてソファーに座った。


「創造神様…こちらにいるのは、私の呼びかけに応じてくれた各国の統治者でございます。しかし余りに突然の事ですので…創造神様が正真正銘の神であると理解できておりません」


「故に、大変恐縮でございますが創造神様のお力を見せて頂けると有り難いです…」

チャールズの提案を聞いたエトワールは、窓に目をやると指をパチンと鳴らした。

そしてチャールズに笑顔で言った。



「あんな感じで良いかな?」


明けまして

おめでとうございます!


今年も

よろしくお願いします!

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