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NEET 第2種接近遭遇

とある日。


俺とセリナは2人で町を散歩していると、聞き覚えのある女性の黄色い悲鳴が耳に入った。

嫌な予感しかしなかった俺はセリナの手を握るとすぐさまUターンを開始した。


しかし時すでに遅し。


俺に気付いたそいつは急加速して先回りすると、俺達の前に姿を現した。


「やぁ!久しぶりだね!」

そいつは相変わらず黒いブーメランをハードボイルドに履きこなしていた。


俺はその変態と目を合わせないように顔を背けると、セリナの手を引いて変態を避けて歩き続けた。


変態はそんな俺の様子を気にも止めずに話しかけてきた。


「もしかして僕を忘れたのかい?「水鉄砲おじさん」だよ?ブーメランを履いて水鉄砲を発射した仲じゃないか?」

俺は変態の言葉を無視すると、その場から逃げるように歩みを進めようとしたその時…


「ベシッ」

俺の背中に変態が何かを投げつけてきた。


…そんなに死に…いや。

前は下手に関わったからあんな目にあった。


下手に関わったら逆に痛い目に遭うと判断した俺は、無視して再び歩き始めたその時…


「ベシッ…ベシッ…ベシッ」

変態は俺の背中に再び何かを連続で投げつけてきた。


すると俺は次第に腰痛が改善していくのを実感すると、腰をさすった。


その様子に気付いた変態は笑いながら言った。


「どうかな?僕の聖水を連射された感想は?腰痛が改善されたんだろう?」

悔しいがその通りだった。

俺は振り返ると、そこには水鉄砲おじさんが満足そうな笑みを浮かべて立っていた。


「やっと僕を見てくれたね!僕の事を覚えているかい?水鉄砲おじさん改め「水風船おじさん」だよ!」

俺は絶句していると水風船おじさんは話を始めた。


「実は先日の水鉄砲キャンペーンが思いのほか評判が良くてね!それで本社から男性向けのキャンペーンを企画しろって言われたんだよ!」


「そして僕は思いついたんだ…そうだ!「水風船を投げつけよう!」ってね!」


…全く意味が分からない。

そんな俺の様子を無視して水風船おじさんは話を続けた。


「僕なら水風船を投げつけられたら嬉しいし悦びを感じる!だから試しに投げつけてみたんだけど…結果は大好評!」

絶対に嘘だろ?

そう思っていたら、水風船おじさんに声を掛ける女性の姿が目に入った。


「水風船を3ダース頂くわ!」

女性は水風船おじさんにそう言って代金を支払うと、商品受け取って満足そうに去っていった。


「あの女王様、いや女性は最近よく買いに来てくれるんだよ!きっと可愛がっているM奴隷がいるんだろうね!」

水風船おじさんは目を細めると羨ましそうに言った。


客層に疑問はあるけど売れているなら良い事だ。

俺は無言でセリナの肩を抱くと、水風船おじさんに背を向けて歩き始めたその時…


「ベシッ」

水風船おじさんは俺の背中に水風船を投げつけると言った。


「実は君に相談があるんだ!」

そう言って俺とセリナに近付くと水風船おじさんの相談が始まった。


「水風船の売り上げは悪くないんだけど、新しい客層を掴みたいと思ってるんだ!」


「対象は「幼い子ども達」を考えているんだけど…どうやったら僕の聖水を喜んでくれるか分からないんだ…」

ここが日本だったら電話一本で迅速に処理する事が出来るのに。


そんな事を考えていると水風船おじさんは話を続けた。


「もちろん僕の聖水を顔に発射したり、水風船を投げつけても良いんだけど…怖がる子もきっといると思うんだ…」

怖がるどころかトラウマ確定だろ?


「それで僕は新しい案を考えた……僕の聖水でお菓子を作れないか?っていうアイデアなんだけど、お菓子なんて作ったことがないから…」


「そこで相談なんだけど、僕の聖水を使った美味しいお菓子の作り方を一緒に考えてくれないかな?」

水風船おじさんの話を聞き終えた俺は即答した。


「悪いですが共犯者になる気はありません」

そう返すと水風船おじさんは首を傾げながら言った。


「共犯者?あぁ共同経営を考えてるなら無理だよ!僕は雇われの身なんだから。でも、君が働きたいなら僕は喜んで上に推薦するよ!」

水風船おじさんは俺の話を脳内でポジティブに解釈していた。


「すみません。俺にはアイデアが浮かびません」

俺はストレートに返事をすると水風船おじさんはため息を漏らしながら言った。


「そうだよね…なかなか難しい相談だから。もしアイデアが浮かんだら教えてほしいな!」

水風船おじさんは俺にそう言うと肩を落として言った。


「僕はお得意様に商品を届けに行かなきゃいけないから、また見かけたら声を掛けるね」

そう言って俺達に背を向けると場を離れていった。


水風船おじさんが見えなくなった頃にセリナが言った。


「聖水を使った美味しいお菓子…アイデアが見つかると良いですね!」

セリナはそう言って俺に笑顔を向ける。


「…そうだね?」



俺はそう返すと、未来ある幼い子ども達の為に水風船おじさんの逮捕を願った。


ここまでお読み頂き

ありがとうございます!



感謝してます!

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