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ベル 決断の時 後編

料理が運ばれてくると、皆で食事を楽しみながら会話を楽しんだ。


特に魔王の話は聞く機会がなかったようで、ヒジェルとレナはベルの話に釘付けになった。


そんな会話の中でヒジェルがふとベルに聞いた。


「ベルシュタイン殿は「真なる魔王」ではないという事でしょうか?」

ベルはヒジェルの疑問に答えた。


「いえ、私も真なる魔王になります。ただ……自力で覚醒した同胞には力が及びません」

その答えにヒジェルは質問を重ねた。


「なるほど。確かに決闘をこの目で見守っていましたが、トーヤ魔王閣下とシア魔王閣下は桁違いの力でした。あの方々は「覚醒魔王」という事でしょうか?」


「そうなります。もし機会がありましたら2人にご紹介致しますね」

ヒジェルは満面の笑みを浮かべて頷く。するとレナがベルに聞いた。


「ベルシュタイン様。今のところリリスとの結婚はどの程度お考えでしょうか?」

ベルは一瞬戸惑ったが、すぐに答えた。


「真剣に考えています。ですから私からお声掛けしましたし、居城にも招待しました」

ベルの言葉を聞いたレナは真っ赤になったリリスにも聞いた。


「リリスはどうなのですか?」

リリスは俯きながら呟いた。


「私は……その……ベル様さえ良ければ……」

レナは2人の反応を確認すると話題を変えた。


「2人ともごめんなさい。意地悪な事を聞きましたね。実はデーモンロードの家は既に結婚が決まったという話を聞いたものだから……」

デーモンロード?と首を傾げるベルにヒジェルが説明した。


「ゼル殿の見合い相手です。器量の良い娘ですが……デーモンロード家には特殊な性格がありまして……」


「愛情表現が激しいのです。この人と決めるまでは奥ゆかしいのですが、一度決めると相手を愛する気持ちが強すぎる故に……」

他家の問題だからだろうか…話しにくそうにするヒジェルを見たベルは言った。


「存じております。ゼルから話を聞きましたが、仲間達は一様に祝福してましたよ」

その言葉に安心したヒジェルは魔族の家柄について話し始めた。


「当家とデーモンロード家、エビルロード家は魔神様から直接の謁見が認められている数少ない家柄です」


「そのデーモンロード家が魔王閣下と早々に結婚を発表した事で、妻は気が急いてしまったようです」

ヒジェルの説明に納得したベルは言った。


「おふたりのリリスを大切に思う気持ちは、お話していて充分伝わりました。私からも少し話してもいいでしょうか?」

ベルの言葉にヒジェルとレナが頷くとベルは話し始めた。


「私は家族というものがよく分かりません。生後間もなく孤児院に預けられた私には、親という存在が何かを知らないのです」


「それでも魔王として生きているうちに、兄弟と呼べる仲間が出来ました。私が唯一自慢出来る存在です。もし私がリリスと結婚するとなったら、必然的に他の魔王とも関わらないといけない事になります」


「もし先日の決闘のような事態が発生した場合、私達魔王は……魔族だろうと人間だろうと躊躇わずに討滅します」

ヒジェルは、いやレナもリリスも驚いた。

穏やかなベルがそれを口にした途端に「魔王」の風格を確かに感じたからだ。


「それでもリリスに私との結婚を勧めますか?」

ベルの言葉に圧倒されながらも、ヒジェルは答えた。


「ベルシュタイン殿。あなたを過小評価していた事をまずは詫びたい。そしてリリスだが……私はベルシュタイン殿になら、例え魔王でなくとも喜んで嫁がせよう!」

ヒジェルの言葉にレナが続けて言った。


「私も主人と気持ちは同じです。ベルシュタイン様の覚悟をお聞きして信頼に足るお方だと確信しました」

そう言って2人はベルに笑顔を向けると、ベルは立ち上がりリリスにも立つように促した。


リリスが立ち上がるとベルは話を始めた。


「リリスに聞きたい。僕はリリスより少しだけ背が高い。だから君がヒールを履いたら僕より背が高くなっちゃうんだ……」


「それに他の魔王……トーヤやジークに比べると見た目もかなり劣る……それに僕には居城と仲間以外に君に自慢出来るものもない。それでも僕は君の笑顔に「恋」したんだ」

リリスは顔を赤らめながらも静かにベルの話を聞いている。ベルはそんなリリスに話を続けた。


「無表情のリリスに胸が痛んで、リリスの笑顔に恋した。君を誰にも渡したくないと思った。独占欲なんて初めて抱いたから少し戸惑ったけど……」

ベルは話を止めると、アイテムボックスから真っ赤な薔薇の花束を取り出して膝をついた。



「必ず幸せにする。だから僕と結婚してくだい!」


リリスは突然の事態に困惑するとヒジェルとレナに顔を向ける。

するとヒジェルは頷き、レナは「ちゃんとあなたが決めなさい」と言ってリリスの決断を押した。



……リリスは花束を受け取らなかった。

代わりに花束から一輪の薔薇をベルのジャケットのフラワーホールに挿して言った。


「本当に私で良いのですか?」

そう言って涙ぐむリリスに立ち上がると答えた。


「リリスじゃなきゃ嫌なんだ」

ベルの言葉に涙を流しながらリリスは答えた。


「幾久しくよろしくお願いします!」


その返事を聞いた瞬間ベルは歓喜の叫びを上げた……いや、上げたのは ヒジェルだった。


「リリス……良くやった!今宵は宴だ!ベルシュタイン殿……いや我が息子よ!娘をよろしく頼む!」


そう言って祝宴の準備を始めると、レナも慌てて関係各所に連絡を始めた。


その様子にベルとリリスは顔を見合わせると笑い合った。



そしてベルはリリスの手を握ると言った。


「2人で幸せになろうね」



リリスは笑顔を浮かべ涙を一筋流すと……小さく頷いた。


どうもへっぽこです!


年末ですね…

少し更新が遅れますが

気長にお付き合い下さい!


ちなみに次回予告


彼女からは逃げられない!因果応報!?

絶望のゼル

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