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ベル 決断の刻 中編

湖畔に浮かぶ城。


リリスは一目見るとそう思った。

湖面に写した姿が波紋に揺れる光景に驚いていると、ベルが不安そうに聞いた。


「ごめんね。僕の城は仲間達の城とは比較にならない小さな城なんだ……」

リリスはベルに呟くように聞いた。


「……もしかして「湖面城」でしょうか?」


「よく知ってるね?昔はそう呼ばれてたよ!」

ベルの言葉にリリスは心底驚いた。


2000年ほど前に有名な建築家達の手によって建てられたこの城は、数多くの小説に登場していた。

今では知る人ぞ知る名城だが、古本を読み漁っていたリリスには「湖面城」は聖地のような存在だった。


「この目で見ているのに信じられません。まさか実物を目にする日が来るなんて……しかもベル様の居城だなんて!」

ベルは驚きと戸惑いで胸がいっぱいになったリリスの手を握ると城に入った。


外観の煉瓦造とは裏腹に、城内は木の温かみが感じられる広々とした空間だった。


リリスは城内を見渡しながら歩くと、年季を感じさせる椅子とテーブルが置かれた部屋に案内された。

そして椅子に座るとベルは転移前にした話の続きを始める。


「話の続きだけど、教師になって数年経った頃にさっきの湖でシア……先輩魔王と知り合ったんだ。そして城に連れていかれると、突然ノワール様が僕を魔王に任命したんだよ」

リリスは話に驚きながらもベルに聞いた。


「ベル様はいきなり魔王になって不安はなかったのですか?」


「不安も不満もあったよ!だけど必死に頑張ってるうちにいつの間にか楽しくなってきたんだ。だから今、僕は幸せだよ!」

そうベルが答えるとリリスは聞いた。


「でも……私との見合いの話は嫌がられていたと聞きました。婚約者にして頂いた事は嬉しく思いますが、魔王としての義務とお考えでしたら断って頂いても構いません……」

そう言って表情を曇らせるリリスにベルは言った。


「最初は確かに拒否したんだ。だけどリリスと話してるうちに……もっと話しがしたいと思った。だから義務なんかじゃない。僕はリリスに恋し……」

ベルは途中で話を止めると顔を赤くして沈黙した。

するとリリスもベルが何を口にしたか理解したようで、同じく沈黙する。


場が静まり返る中、ベルは思い出したようにリリスに言った。


「そうだ!書庫に案内するよ!」

そう言ってリリスの手を取ると、動揺する彼女の手を引いて書庫に向かった。


書庫に着くとリリスは目を見開いて驚いた。


「凄い……書庫というより図書館?」

リリスは広さと数多の本棚を見て驚いた。

本は貴重品だ。

一般的な家庭には数冊あればいいほうだろうけど、書庫には数万冊の本が棚に整然と並べられていた。


ベルはリリスの手を引くと、書庫の奥に並ぶ伝記や物語が収められた棚に連れて行くと手を離して言った。


「この辺りに伝記とか物語が並べてあるからみてみるといいよ!」

その言葉を聞いたリリスはさっそく棚を確認し始めた。

数百冊は並ぶ本棚を一通り確認すると、ため息を漏らしてベルに言った。


「凄いです。読みたいと思っていた本や、存在すら知らなかった本がこんなに揃っているなんて……」

そう言って笑顔を向けるリリスにベルは言った。


「僕はもう読んだ本ばかりだから、何冊でも持って帰るといいよ。時間がある時は好きに入ってもらっても構わないし!」

ベルの言葉にリリスは頷くと言った。


「ベル様。本当に嬉しいです!」

そう言ってまた本棚を確認しながら、気になる本を丁寧に取り出すリリスの姿を見たベルは笑顔を浮かべた。


しばらくしてリリスは数冊の本をアイテムボックスにしまうと、満足そうな笑顔を浮かべて言った。


「ありがとうございます。次は私の家に行きましょう!」


リリスは戸惑うベルの手を握ると転移を開始した。


すると戸惑うベルの目にリビングでくつろぐヒジェルと……奥さんと思われる人が映った。


ベルはリリスの手を慌てて話すと頭を下げて言った。


「ヒジェル殿!突然お邪魔して申し訳ありません。先日は大変お世話になりました!」

ヒジェルは慌てて立ち上がると言葉を返した。


「ベルシュタイン閣下!?ご来訪頂く話は魔神様より聞いておりましたが、あまりに突然の事で……見苦しいをお見せしました」

そう謝罪すると奥さんが自己紹介をした。


「ベルシュタイン魔王閣下。私はレナ・ヴァンパイアロードと申します。娘がお世話になっております」

奥さんはベルに挨拶するとベルが言った。


「奥様、お初にお目にかかります。ベルシュタイン・ラビットハートと申します。よろしくお願い致します」

そう挨拶を返すとリリスが言った。


「早くお母様にベル様を合わせたくて、何も考えずリビングに転移したの」

そう口添えするとベルを引っ張って椅子に座るとヒジェルとレナにベルの家の話を始める。


「お父様、お母様!ベル様の居城に招いて貰ったの!凄かったわ!まさか「湖面城」だなんて夢にも思わなかった!」

リリスの話にレナが目を輝かせた。


「リリス……あなた今「湖面城」と言いましたか?」

リリスは首を縦に振るとレナがベルに尋ねた。


「ベルシュタイン閣下は本当に「湖面城」にお住まいなのでしょうか?

レンの問いかけにベルは答えた。


「はい。古い呼び名ですがよくご存知ですね」

そう答えるとヒジェルが首を傾げながら聞いた。


「レン……湖面城とは?」

その質問に烈火の如くレンが言った。


「あなた湖面城をご存知ないの?湖面に浮かぶ伝説の城よ?」

そう言うとリリスに城の話を熱心に聞いていたので、ベルはレンに言った。


「大したおもてなしは出来ませんが、いつでも遊びに来て下さい!」


「必ず伺います!」

レンはベルに即答するとヒジェルが言った。


「早速だが食事にしよう。何か食べながらの方が話も弾むだろう!」



そう言って使用人に指示すると食事会が始まった。


ブクマが64件に。

ありがとうございます!


ところで皆様はギャグ路線とシリアス路線なら

どちらがよろしいでしょうか?


ご希望とか

読みたい話



あれば是非アイデアをお貸し頂けると…


泣いて喜びます!

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