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NEET 買い物に付き合う

その日は大変珍しい事が起きた。


セリナはエルダの手伝いの為に朝早くに出掛けると、俺は椅子に腰掛けて小説を読んでいた。


するとそこにシアが転移してきて、俺を見つけると言った。


「ヴァレンタイン!相談があるのじゃ!」

驚いた。

シアが俺に相談して来るなんて……。


「お、おう。どうしたんだ?」

俺が尋ねるとシアはモジモジしながら言った。


「実は……ジークにプレゼントを贈りたいのじゃが……何を贈るか迷ってしまって……手伝って欲しいのじゃ!」

さらに驚いた。

シアが俺に色恋の相談をして来るなんて……。


「お、おう。とりあえず町で探してみるか?」

俺の提案にシアは頷くと2人で町を歩いた。


町を歩きながらジークの趣味や好きな色をシアから聞いた俺は、シアにお勧めを提案し続けた。


しかしシアは「なんか違うのじゃ……」と言って俺の提案をことごとく撃ち落としていった。


だけど、何かを勧めるとシアは真剣に悩んだり考えたりしていたので、俺は根気強くシアに付き合った。


するとシアが突然俺にお礼を言った。


「そうじゃ!ジークに入れ知恵したのはヴァレンタインなのじゃろ?お前達には世話をかけたのぉ」


「何の話だ?」

俺の言葉にシアは話を続けた。


「とぼけても無駄じゃ!ジークに聞いたのじゃ。トーヤと一緒にデートコースを一生懸命考えたんじゃとな!」


「あたしも感謝してるのじゃ!お前があたしの後始末をつけてくれたから、お姉ちゃんにも会えたしジークとも結ばれたのじゃ!」

そう言って笑みを浮かべるシアに言った。


「俺もお前達には世話になったからな。お互い様って事にしておこうか?」


「そうじゃったな?ヴァレンタインは強かったのじゃ!負けそうになったのは2度目じゃぞ?」

へぇ……シアがそんな事を言うなんて珍しいな。1度目はどんなだったのか聞こうとするとシアが言った。


「1度目は遥か昔……まだ魔王になりたての頃じゃった。凄まじい力が人界で暴走しとるのに気付いたあたし達はノワール姉様の命令で……ってあれはなんじゃ?」

シアは何かに目を向けると話を止めて聞いてきた。 俺はシアの視線の先に目をやると……


……豚がいた。


豚というか……俗に言う「M奴隷」と言うやつだ。

猿ぐつわに亀甲縛り、目隠しをされた小太りの変態が四つん這いになって女王様?にリードを引かれて散歩を楽しんでいた。


「シア……見てはいけない!」

俺はシアに言ったが、シアは怒りの表情を浮かべると俺に聞いてきた。


「あれは「奴隷」ではないのか?」

怒るシアに俺は何と説明するか戸惑ったけど、何とか言葉をひねり出した。


「シア、言いたくないんだけど……リードを引かれている変態の顔を見るんだ…」

シアはその変態の顔を見ると愕然とした。


「何故じゃ?何故あやつは喜んでいるのじゃ?」

愕然とするシアに……説明した。


「シア…俺達には想像のつかない世界というのは確かに存在するんだ。あれは……そういう世界の住人なんだよ……関わってはいけない。「違う世界」の人達なんだから……」

俺は出来る限りオブラートに包んだ表現でシアに伝えたがシアは納得しなかった。


「何故じゃ?もしかしたらあやつは困っとるかも知れないのじゃぞ?」


「それはない……間違いなくない!断言してやる!あの変態はむしろ悦びを感じているんだよ……」

シアはまだ納得しないので…説明を始めた。


「まずは小太りの変態だが、あれはいじめられて悦びを感じる特殊な性格なんだよ。シアも見たら分かるだろ?息遣いが荒いのは「興奮」してるからなんだ……」


「そしてリードを持っている女王様……いや女性は虐める事に悦びを感じているんだ。つまり、あの人達はお互いの欲求を満たすために協力してる関係とも言える!だから俺達は気付かないフリをするのがマナーなんだよ……多分」

シアはようやく納得してくれたようで、怒りを治めると俺に言った。


「そうなのか。まだまだあたしにも知らぬ世界があったのじゃな!勉強になったのじゃ!」


「そうか……なら良かったよ……」

あれから学ぶものなんて無いはずだけど……蒸し返すのはやめた方がいいと判断した俺は、再びジークへのプレゼント探しに奔走した。


すると、シアの目にそれが飛び込んできた。


「ヴァレンタイン!あれはどうじゃろか?」

シアが眺めていたのはプラチナのブローチだった。


デザインも良かったので俺は「シアが選んだなら、ジークは喜んでくれるよ!」と答えると、シアはさっそく購入した。


「ヴァレンタイン!お陰で良い買い物ができたのじゃ!ありがとなのじゃ!」

そう言って喜ぶシアに言った。


「気にするな。ジークもきっと喜んでくれるよ!」

俺がそう返すとシアは転移していった。


それを確認すると、俺は1人町を歩きながら2人の…特にジークが喜ぶ顔を想像しながら部屋へと向かって歩いた。



ちなみに後でシアに聞いたんだけど、やはりジークはとても喜んでくれたみたいで、彼の左胸にはブローチが光り輝いていた。


ブクマ62件…ありがとうございます!


日常に帰還しましたが、いかがでしょうか?


楽しんでいただけてたら幸いです!

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