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トーヤ 今は遠き日の記憶

朦朧とする意識の中、俺は目を覚ました。


そこは……かつて神に招かれた真っ白な空間で、案の定聞き覚えのある声が俺に声を掛けた。


「やぁ!よく来たね!」

振り返ると以前見た球体が浮かんでいた。


「俺は……死んだんじゃないのか?」

球体は次第に人の形になると答えた。


「うん。今回は間違いなく死んだよ!だからここに来た。君が望んで生き延びた世界はどうだった?」

神は笑いながら俺に聞いてきた。


「感謝してるし、後悔もしてる。1つ聞いていいか?」

その問いに神は「いいよ!」と答えたので聞いた。


「あの時、俺は答えを間違えたって言ったよな。どういう意味だ?」

その問いかけに神はすぐ答えてくれた。


「君がもし逃げていたら、その後は幸せに生きていけたんだよ……フレイヤと一緒にね!」


「君がフレイヤと出逢うことは「運命」だったんだ。そして君たちの運命はあの時の君が決断した」


「そう!もう分かるよね。「敵を殺す」か「逃げる」だよ。あとはもう説明の必要は無いよね?」

神の説明を聞いた俺は納得するともう一つ聞いた。


「俺を殺しにきた少女は誰なんだ?」

神は相変わらず笑いながら答えた。


「あの少女は「真なる魔王」だよ。ボクとは別の神の眷族だね!なんで現れたか理由は知らないよ?何故なら別の神の管轄だからね!」

そう答えると神は話題を変えた。


「それより、君には少し長い話を聞いてもらうから少しだけ静かに聞いていてね?」

俺は頷くと神の話が始まった。


「まずはフレイヤの話。彼女は死後ここに招いて話をしたんだ!」

俺は驚いたけど神の話に集中した。


「彼女の死は理不尽なものだったからね。ボクはそれが嫌いなんだ。だから招いて願いを1つ叶えてあげた。気になるかい?」

俺は頷くと神は話を続けた。


「フレイヤの願いは簡単に言うと「幸せになる事」だった。彼女は生まれ変わると幸せになる事が約束されているから安心してね!」

話を聞いた俺が胸を撫で下ろしていると神が言った。


「彼女から伝言がある。「また出逢えたら今度はヴァレさんが喜ぶ料理を作ってあげる!約束よ!」だって。」

神はその言葉を聞いて涙を流す俺に話し続けた。


「次は君の話だ。君には力を使った「責任」を果たしてもらう。君には転生して貰うんだけど……次はかなりきつい環境だ。救いのない世界で「ある人」の希望になって貰うんだ!」


「君は死ぬ程の苦しみを抱えながら生きて、そして絶対に生き残りたいタイミングで死ぬ事になる。それは君が始めた物語の一頁でもあるんだ」

そう言うと話を終えて静かになった神に聞いた。


「その物語の運命は確定してるのか?」

俺がそう聞くと神は答えた。


「いや?まだまだ決まってないよ。もしかしたら途中で終わってしまうかもしれない。だけど力が欲しいと望んだ時から「君とボクが始めた物語」のエピローグは……幸せな結末だと良いなとは思ってる!」


そう言って笑うと神が俺に手を向けた。

すると俺の体は光の粒子となって霧散していく。

戸惑う俺に神が言った。


「そろそろサヨナラの時間だ!死んだらまた会おうね!」



その言葉を最後に俺は意識をなくした。

そして1人になった空間で神が呟いた。



「頑張って生きるんだよ……」




……


「旦那様?旦那様?」

その声に目を覚ますと、心配そうに俺をゆするセリナの姿が目に映った。

俺が体を起こすと安心したようで笑顔を見せてくれた。


「驚きましたよ?帰ってきたら旦那様がスヤスヤ眠っていましたので、眺めていたら突然苦しみ出して涙を流されました」

その言葉に顔を触ると確かに少し濡れていた。


「それでゆすって起こしてしまいました。怖い夢でも見ていたのですか?」

セリナの問いかけに少し考えだけど……

思い出せない。


「ごめん。忘れちゃった!」

俺はそう答えると……お腹が鳴った。


「セリナ……お腹空いたから何か食べに行かないか?」

俺が提案するとセリナは笑顔を見せて言った。


「ではエルダさんに作ってもらいましょう!旦那様とお話ししたいと言ってましたし!」


「良いね!じゃあさっそく行こう!」

俺とセリナは目からウロコ亭へと向かった。


店に着くとエルダが笑顔で迎えてくれたので、カウンターに座ると料理を作るエルダと3人で話をした。


少しして出てきた料理を食べると……


なんだ?

この味は何処かで食べた事があるような気がした。


手を止める俺の様子に気付いたエルダは、俺の皿に盛りつけられた料理を一口食べると慌てて皿を下げた。


「ごめん!味付け間違えちゃった!すぐ作り直すから待っててね!」

そう言って作り直すエルダの姿に、別の誰かの影が重なっているように見えた。

すると視線に気付いたエルダが恥ずかしそうに言った。


「なにさっ!?そんなに見られたら照れる!」

その言葉に俺は視線を外すと、さっきの味が気になっていた。

どこで食べたんだっけ?

するとテーブルにエルダが作り直した料理が出てきたので、さっそく食べ始めた。


「あ、うまい!」

そう言って笑顔で食べる俺の様子を見たエルダが言った。



「美味しい?それなら良かった!」



俺にそう言うとエルダは幸せそうに微笑んだ。


いつも読んで下さり

ありがとうございます!


評価ポイントありがとうございます!


ちなみにシリアスの後には

ギャグ話が続く予定です!

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