表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/115

NEET サービスする

俺とセリナがスヤスヤ寝息をたてる部屋にその声はいきなり響き渡る。


「おはよう!ヴァレンタイン!」

驚いて飛び起きる俺の目に笑顔を浮かべるシアの姿が飛び込んできた。


「おはよう。どうした?こんな朝早くに?」

俺がそう聞くとシアはセリナを指差して言った。


「セリナと遊びに来たのじゃ!あたしの話をしっかりと聞いてくれるのはセリナしかいない!」

……セリナは優しいからなぁ。

まぁセリナと仲良くしてくれるのは嬉しいんだけど…未だセリナはスヤスヤ夢の中にいる。


「悪いけど出直してくれないか?」

俺の言葉に「なんでじゃ?」と首をかしげるシア。


「起きるまで待ってるのじゃ!」

…あ、そうですか。俺は着替えるとシアに「散歩してくる」と言った。

シアは「分かったのじゃ!」と答えると椅子に座ってセリナの起床を待っている。


さて、どうするか。

あてもなくぶらついていると灯りがともる「どらねこはくつろぎ亭」が目に入った。


近付いて中を覗くと店内の清掃作業に勤しむエルダの姿が見えた。


俺はその姿をしばらく眺めると…今だ!カシャ。うん…なかなか良い一枚が撮れた。


満足した俺は店内に入るとエルダに声を掛ける。


「おはようエルダ。早い時間からお疲れ様」

振り向いたエルダは嬉しそうに返事する。


「トーヤ?おはよう!こんな朝早くにどうしたの?」

俺は簡単に事情を説明すると…モジモジながらエルダが提案してきた。


「じゃあさ…今日は私と……デートしてくれない?」

あれ…おかしい。

なんだかエルダにキラメキ補正でもかかっているかのような輝きが!?


「もちろん!」

気を取り直した俺の返事に飛び跳ねたエルダは「あ、朝食まだだよね?すぐ作るから待ってて!」と言うとカウンターで料理を開始した。


座って待っていると料理を楽しそうに作るエルダが目に入った。…カシャ!お…これは可愛い一枚。

保存しているとエルダが朝食を持ってきてくれたので2人で食べながら会話する。


「エルダはどこに行きたい?」

そう聞くとエルダは上目遣いで答える。


「えっと…服が欲しかったから一緒に選んでくれる?」

OK任せろ!最高の1着をプレゼントしよう。


「いいよ。気にいる服が見つかると良いね!」

そう言うとエルダは嬉しそうに頷く。


外を見ると天気は悪かったけど雨は降りそうになかったので良かった。


俺達は食事を終えるとさっそく出掛ける。

しばらく2人で歩くとエルダが手を繋いできた。


顔を赤くしながら歩く彼女の表情にシャッターを押すと、俺はゆっくりと歩き続けた。


その後エルダの見たい服がある店に着くと久々にインパクトのある店名に目が止まった。


「仕立て屋・ぷりんあらどーも」

…本当にここで良いのか?俺は止めないけど…。

エルダは繋いだ手を引っ張ると俺は吸い込まれるように店内へと足を踏み入れる。


店内は…店名からは想像できない素敵な空間が広がっていた。

色や種類に応じて整然と並べられた服を2人で見ていると店員さんがその様子を笑顔で眺めていた。


この服屋さん…当たりだ!

店員が話し掛けて来ない服屋は素晴らしい!

そんな事を思っていると、どうやらエルダは候補を何点かに絞り込んで悩んでるみたいだ。


俺は手を上げて店員さんを呼ぶと試着をお願いした。


そして候補の服を何点か持ってもらうと試着室前でエルダの着替えを待つ。


まずは最初の1着目。

縞柄のシャツとパーカースタイル。

店員さんに「頂こう!」と告げる。


2着目。

胸元にリボンがついたシャツと黒のスカート。

店員さんに「頂こう!」と告げる。


3着目。

さりげない装飾が引き立つワンピース。

店員さんに「頂こう!!」と告げる。


4着目。

白いワイシャツにロールアップしたパンツ。

店員さんに「頂こう!」と告げる。


5着目〜12着目。

エルダが忙しく着替える中、俺が選んだ似合いそうな服シリーズ。

困惑するエルダに全て試着してもらった。

確認を終えると店員さんに「全て頂こう!」と告げる。


エルダが服を着ている間に会計を確認。

総額は45万G…安い!ささっと会計を済ませると山積みになった服の袋をアイテムボックスに入れる。


と、ちょうどエルダが試着室から出てきたので2人で店を後にする。


店員さんは店の外で「ありがとうございました!」と頭を下げるとしばらく唖然とした表情を浮かべていた。


手を繋ぎながら歩いているとエルダがワクワクした表情を浮かべながら聞いてきた。


「それでどの服を買ってくれたの?」

そう言って目を輝かせるエルダに答える。


「全部だよ」


「全部って?」

そう言ってキョトンとするエルダ。


「着てもらった服…全部だよ?」

そう言うと、エルダは嬉しさと驚きが入り混じった表情を浮かべる。


「トーヤはそういう人だったよね?すっかり忘れてた」

エルダの言葉に首を傾げていると手を離したエルダが俺の前に来る。


そして俺の首に手を回すとつま先立ちでキスする。


周囲のザワつきを無視して1分程キスを続けると唇を離したエルダが照れ臭そうに言った。



「今日のお礼♪」

そう言って俺の手を握りなおすと、俺達はゆっくりと歩き出した。


いつも読んでくれてありがとうございます!

暇つぶしにでもなっていたら嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ