NEET 嫁を紹介する
翌日
俺とセリナは目からウロコ亭に到着すると、エルダと合流して空中庭園に来た。
そこにはノワールがいたので、4人でお茶会という名の事情説明会を始めた。主な内容は…
・タリスビルムで俺が暴れた事
・それで魔王達に呼び出された事
・怒り狂ったシアがタリスビルム周辺を破壊した事
・慌てた神族が謝罪に来た事
・天神が謝罪に来た事
話を終えると笑顔でセリナが一言。
「説明してくれてありがとうございます!旦那様。お疲れ様でした」
……その言葉に癒された。こちらこそありがとう!
エルダは……見ると頭を抱えていたので「大丈夫か?」と声をかけると俺を見て言った。
「ヴァレさ……じゃなかったトーヤ。まさかトーヤって魔王なの?」
俺は頷くとエルダは嬉しそうに言った。
「信じられない!私、魔王と結婚したの!?嬉しい!王子様と結婚できただけでも満足してたのに……まさか魔王が旦那様なんて!」
……喜んでくれてるなら何よりだったけど、エルダの質問はまだ止まらなかった。
「じゃあトーヤの仲間もみんな魔王様なの?もしかして魔神様も知り合いだったりする?」
俺は頷くと視線をノワールに向けた。
エルダはノワールを見た後……視線を戻して聞いてきた。
「もしかしてノワールも魔王?」
俺は首を横に振るとエルダは少し考えて気付いた。
「ま……まま……まさか魔神様?」
俺は頷くとエルダは慌ててノワールに膝をついた。
「まさか魔神様だったなんて!?ご無礼をお許しください!」
ノワールは膝をついて頭を下げるエルダに近付くと、同じように膝をついてエルダに問いかけた。
「エルダは私の姉妹……それ以上でも以下でもないわ」
その言葉にエルダは顔を上げると、様子を傍観していた俺はエルダに言った。
「ノワールはエルダの扱いを聞いて本気で怒ってた。それに「美味しい食事を作ってくれる私の姉妹」とも言ってた」
エルダは立ち上がるとノワールに謝った。
「ごめんなさいっ!ノワールはそんな風に考えてくれてたんだね。嬉しい!ありがとう!」
2人は席に戻るとセリナが寂しそうに呟いた。
「私もですからね?仲良し三姉妹です!」
それを聞いた俺達は思わず笑ってしまった。
その後しばらく4人で会話をしているとベルとメイがやってきた。
2人は空いてる席に座ると俺の嫁達に挨拶した。
「はじめまして!僕はベル!よろしくね!」
「私はメイよ。2人とも仲良くしてね。」
セリナとエルダは2人に挨拶を返すとみんなでワイワイ話した。
「でもほんとに驚いたよ!ノワール様が本当にトーヤと結婚しただなんて……シアの嘘だと思ってた」
「私も同じね。でも今にして思えば可哀想な事をしたわ。シア本気で泣いてたもの。「お前らなんて大っ嫌いじゃ〜」って」
実際に見てないけどその光景は簡単に想像できた。
「結婚といえばノワール様……何故トーヤを選ばれたのですか?」
メイの問いかけにノワールは即答した。
「一目惚れよ」
「え……でもノワール様らしくな……」
「一目惚れよ」
「そうなのですね。よく分かりました」
メイは追及をやめると話題を無理やり変更した。
「そうそうトーヤ!学校の件だけど3人話したの。生徒も教師も必要なだけどんどん送り込むわ」
「そうしてくれると助かるよ!」
俺の返事にベルとメイは笑顔で頷くと、会話を終えた俺達にノワールが話を始めた。
「みんなに人界の領地について話があるの」
ノワールの真面目な話題に俺達は姿勢を正した。
「魔族は人界から完全に撤退する……という提案をどう思う?」
その提案にベルが質問した。
「それは人界の眷族を見放すという事ですか?」
その問いかけにノワールは答えた。
「いいえ……眷族はまとめて魔界に移住させる。ただし、無理にではなく希望する者は全員という意味よ」
「今回の一件で痛感したの。人族、いえ神族との諍いは無駄な手間になるだけよ」
その言葉にメイは賛同すると言った。
「確かに。ノワール様が君臨されて以来、魔界はかつてないほど安定しております。ただ魔族の一部に亜人を「混血」と揶揄する勢力も存在しますが……」
シアの話にノワールは少し考えると言った。
「彼達はいつも悩みの種になるわ……この案は一旦保留ね。各自持ち帰って検討するように」
俺達は頷くと、こっそりセリナに耳打ちするエルダに気がついた。
「魔王って意外と普通に会議とかするのね?」
もちろんその声はみんなに丸聞こえで、その事に気付いて顔を赤くするエルダを見てみんなで笑った。
話を終えた俺はセリナ、エルダと町に戻ると3人で話しながら町をぶらぶらしていた。
すると不意にエルダがセリナに尋ねた。
「そういえばセリナってトーヤと出会う前は何をしてたの?」
その問いかけにセリナは答えた。
「何って……私は何をしていたのでしょう?」
そう……私は旦那様と巡り合う為に召喚されました。
確信はあるけどそれまで私は何をしていたのでしょう?
俺と巡り合う為に……セリナの考えは正しかったけど、その事を俺が知るのはまだ先のことだった。
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次回予告
☆セリナ 短編でいきます!
多分2話構成になりますが…
お付き合い頂ければ幸いです!
へっぽこ作者でした。




