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NEET セリナの怒りに震える

異常な熱気に包まれている会場を、セリナの腕をしっかり握って前を目指して突き進んだ。


それにしてもこんな大規模に奴隷を販売する……しかも獣人を取り扱うなんて可能なのか?

……疑問はあるがこの件は後でベルにでも相談しよう。


そんな事を考えながら進むと……


「それ」は目に飛び込んできた。


エルダが手枷をつけられ、質素で隙間の大きい服を着せられていた。

その傍には意気揚々と「競り」を仕切る男。


セリナは目を見開いて怒りを露わにした。

今にも駆け寄ろうとするセリナを制止すると、俺は熱を上げて入札する会場の客を範囲指定した。


「魔威……」

俺が発動した瞬間……会場は静まりかえった。そして仕切り役の男は突然の事態に呆然と立ち尽くしていた。


すると怒りに震えるセリナが呟いた。


「……あの男は私に任せてくれませんか?」

静かな会場にセリナの声が響く……するとその声にエルダは俺たちに気付くと涙を流した。


「セリナが手を汚す必要はない」

俺がそう言うと……やばい……瞳孔が開いたセリナが俺を睨みつけた。


「私だって怒る事はありますよ?」

セリナはそう言って空に手をかざすと詠唱を開始した。それから数秒後、詠唱を終えたセリナが小さく呟いた。


「ホーリー」

するとセリナを中心に光が拡がっていった。

その光が男に触れた瞬間……悲鳴すら上げず綺麗さっぱり消滅した。


それを確認すると俺達はエルダに駆け寄った。

泣きじゃくるエルダをなだめながら手枷や首枷を外すのは苦労したけど、幸い怪我もなく無事だった。


無事を確認したセリナはエルダを強く抱きしめると、エルダも泣きながらセリナにしがみついていた。


その様子に安心しながらも、俺は怒りをぶつける先をなくして悶々としていた。

すると落ち着きを取り戻したエルダが思い出したように言った。


「そうだ!お父さん……お父さんは無事なの?」

そういえば見当たらない……俺はエルダの傍にいくと聞いた。


「お父さんの居場所に心当たりある?」

俺がそう聞くとエルダは少し考えて言った。


「うん。確かさっきの男が「憲兵に突き出せ」って言ってた!」

なるほど!早速向かうか……


って!?

服の隙間からエルダの赤いさくらんぼが目に入った。


慌てて顔を背ける俺の様子に……俺が何を見たのか気がついたエルダが照れながら言った。


「ヴァレさんのえっち!」

……まぁ認めるが。

俺はアイテムボックスから服を取り出すとエルダに渡した。

エルダはそれを嬉しそうに着ると「ヴァレさんの匂いがする」と言って飛び跳ねた。


さて……次はお父さんか。

俺達は早速街に戻ると、手がかりになりそうな兵士を探して歩いた。


道中で耳を出して歩くエルダを指差す奴等にキレそうだったけど「ホーリー使っていいですか?」と笑顔で怒るセリナのお陰で冷静になれた。


しばらく歩くとエルダが俺の背中に隠れて言った。


「あの甲冑……私達を捉えた人達と同じ……」

そう言って震えるエルダを抱きしめると「大丈夫。今は俺とセリナがいるから」と言って落ち着かせた。


少し待つとエルダが落ち着きを取り戻したので、俺はその甲冑を纏った奴等に近付いた。


その兵士達の中にエルダに気付いた奴がいた。

それを確認した俺はサクッと魔威を発動して一掃するとそいつに詰め寄った。


「お前か?俺の嫁を連れ去ってくれたのは?」

その甲冑野郎は何も言わずに剣を抜くと俺に斬りかかってきた。


……残念。

俺は振り下ろされた剣を鷲掴みにすると手首にチョップ。

嫌な音を立てて砕ける手首の痛みに耐えられず、甲冑野郎は剣を手放して痛みに悶えた。


痛みを堪え逃げ出そうとする甲冑野郎のアキレスを切断すると、悲鳴をあげて崩れ落ちたので俺は騒がしい口を塞いで言った。


「2つ聞きたいことがあるんだ。答えてくれたら命はとらないであげる」

その言葉に涙を流しながら頷く甲冑野郎の口から手を離すとさっそく聞いた。


「まず1つ目。攫った男は何処に連れて行った?」

甲冑野郎は痛みに耐えながら「城の牢屋です」と答えた。

俺は笑顔を見せると質問を続けた。


「2つ目は……いや、やっぱりいいや」

俺はセリナとエルダに「城に向かおう」と言うとその場を離れて歩き出した。


あ……そうそうこの剣返さなきゃ!俺

は剣を放り投げると、必死に這って逃げる甲冑野郎の頭に突き刺さった。



その場所は街の中心にドーンと建てられていたから確認するまでもなかった。

早速向かうと、城の周りには甲冑を纏った兵士があちこちにいたので魔威で瞬殺。


中にいた兵士は見つけ次第潰しながら進むと、牢屋に閉じ込められるお義父さんを発見した。


さっそく助け出し無事を喜び合うと、転移水晶で目からウロコ亭へと戻った。


店に戻ると安心したのかエルダが泣き始めたので、セリナはエルダに付き添うと彼女の部屋に向かった。


俺はお義父さんにエルダの一件を説明すると、自分を責めるお義父さんに言った。


「お義父さんの責任じゃないですよ。ただ墓参りに行っただけじゃないですか?」


「悪いのはあの街に住む獣人に悪意を持った奴等です。そんな場所にお義母さんを眠らせておけない。お義父さん。少しの間セリナとエルダを頼みます」


「え?」

そう言って俺に何かを聞こうとするお義父さんの前で俺はその場所に転移した。


ブクマが21件に!


ありがとうございます!

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