表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/115

NEET 怒りに震える

宿を確保した俺達は食事を済ませると、さっそく義母が眠る墓へと向かった。


その道中でお義父さんは懐かしそうに街を歩きながら、エルダに色々と話を聞かせていた。


「ここはフレイヤが好きな店だった」


「あ、よく2人でこの道を散歩したんだ!」


そんな話を興味深げに聞いているエルダを、俺とセリナは優しく見ていた。


しばらく歩くと俺達は無事に目的の場所にたどり着いた。

……その場所は街を見渡せる場所にあった。俺達はお義父さんの後に続いて進むと墓にたどり着いた。


長く掃除していなかったから苔や落ち葉が溜まって汚れていたので、さっそく掃除を開始した俺達は綺麗になった墓に手を合わせた。


「お義母さん。娘さんは俺がしっかり守りますのでゆっくり休んでください」

そう伝えて俺が顔を上げると、エルダとお義父さんは涙を流しながら未だに手を合わせていた。

俺はセリナに先に戻ろうと耳打ちすると、2人で来た道を戻った。


俺とセリナは街に戻ると散歩を始めた。見たことのない景色に目を奪われながら2人でゆっくりと歩いた。


そんな楽しい時間はあっという間に流れ、次第に日が傾き始めた頃……それは俺達の前に現れた。


数人の男達がニヤつきながら進路を塞いできた。

不安そうなセリナの肩を抱き引き返そうとすると、後方にも数人の男達が道を塞ぐように立っていた。

仕方ない……俺は男達に警告する。


「……金銭が目当てならくれてやる。だから道を開けてくれないか?」

その言葉に男達は笑い声をあげると、その中の1人が言った。


「金も持ってるなら貰ってやる。だが俺達の目的は女だ。大人しく置いていけ」

その言葉を聞いたセリナが震えだした。

……前の件を思い出したんだろう。


震えるセリナに「大丈夫!」と声をかけると男達に最終宣告……いや死刑宣告を告げる。


「屑ども……俺は道を開けろと言ったんだ!」

俺はそう怒鳴りつけると、前方の屑を指定して「魔威」を最大出力で発動した。


すると男達は為す手段なく絶命した。そして振り返ると慌てふためく屑を指定して発動……あとは断界を発動して死体を消し去り証拠を隠滅!


道も綺麗になった!

俺は呆気にとられるセリナの手を取ると宿に向かって歩き始めた。


宿に向かう道中で、俺達が雑談しながら歩いていると通り過ぎた男達がセリナを見て言った。


「うわ、すげぇ美人!あんな女とヤりてぇな」

……今なんて言った?

俺は振り返ると男の首を掴む。

そのまま持ち上げ地面に叩きつけようとしたら連れの男が慌てて謝罪してきた。


「すまねぇ兄さん!さっき奴隷市で可愛い女を見て気持ちが昂ぶってんだ。」

俺は手を離すと男は首をさすりながら呼吸を整えていた。

……ん……今……奴隷って言ったか?


「おい。この街は奴隷を売っているのか?」

俺がそう聞くと素直に答えてくれた。


「あ、あぁ!奴隷といっても獣人だけどな。ここ数年男しか出回らなかったのに……えらく可愛い女の奴隷が売られ……」

まさか……俺は話を遮ると「場所はどこだ!」と聞いた。するとこの先の広場だと言う男の話を聞いた俺は、セリナの手を取ると広場へと急いだ。



……


ヴァレさんとセリナ……気を遣ってくれたのかな?


私は静かに離れていく2人に気付いた。

お義父さんは「エルダも行きなさい」と言ってくれたけど「もう少しだけお母さんと3人で居たい」と伝えたら頭を撫でられた。


それから少し経って、私達も宿に向かって歩き始めたらそいつらが現れた。

すると立派な甲冑を着た兵士を引き連れた男が言った。


「フードを脱いで見せよ」

私はお父さんと顔を見合わせた。

意味が分からないけど見られて困るものでもない。


私はフードを脱いで見せると、その男が言った。


「おぉ!これは珍しい!女の獣人か!」

どういう事?

混乱する私達を兵士達が取り囲むと、父さんが兵士達に必死に叫んだ。


「待ってください!僕達は墓参りに来ただけです!問題があるなら直ぐに去ります!」

そう言ってお父さんは必死に抵抗したけど、あっという間に2人とも拘束された。


「情報屋もたまには役に立つな。さて、男は憲兵に引き渡せ。理由は「不敬罪」で良いだろう」

男がそう言うと、お父さんは連れていかれてしまった。


「お前はこっちだよ」

そう言われた私が連れていかれたのは広場だった。


広場には沢山の人がいて、私を見ると歓声が上がった。訳も分からず引っ張られテントの中に入ると、そこにいた男達に服を破かれた。


思わず悲鳴をあげたら顔を平手打ちされ「静かにしてろ!」と怒鳴られた。

服を脱がされると、男達は私の体を隅々までチェックした。そして恐怖で震える私に着替えを渡す。


着替え終わると首枷と手枷をつけてテントの外に引っ張りだされた。


そこにはあの男がいて、私を見ると満足そうに宣言した。


「今日お集まりの皆様は大変幸運です!なんとSS級の奴隷が入荷しました!」

奴隷?

何を言ってるの?

愕然とする私を尻目に男の「商品説明」が始まった。


「実はこの奴隷……つい先程捕らえたのです。見つけた私は奴隷法により正式に捕獲しました。権利書は発行されますので問題はございません!」


「皆様、突然の話で金策などあると思います。今から2時間後にオークションを行いますので、暫くお待ちください。」

男はそう言って沸き起こる広場を後にした。


私はテントまで引っ張られると首枷を鎖に繋がれた。それを確認した男達はテントから離れていった。


逃げ出すチャンスだ!

私は必死に力を込めたけど抜け出すことはできず、手枷や首枷の部分は擦れて血が流れた。


私はへたり込むと、聞こえるはずもない彼に助けを求めた。


「助けて……助けてよぉ。ヴァレさん……」



やっぱり私の願いは叶うことなく……オークションは始まった。


いつも読んで下さりありがとうございます!

ブクマ19件目…感謝です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ